今年は25ブランドが55車種を出展。そのうちの約6割となる32車種が電動車だった 今年は25ブランドが55車種を出展。そのうちの約6割となる32車種が電動車だった

今年で42回目を迎えたJAIA(日本自動車輸入組合)主催の試乗会が、大磯ロングビーチ(神奈川県中郡大磯町)で開催された。モータージャーナリストの竹花寿実(たけはな・としみ)氏が人気EVをガチ検証!!

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■輸入EVが日本市場で売れるワケ

――昨年は日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得した日産サクラ/三菱eKクロスEVの登場もあって、日本でEV(電気自動車)が大きな注目を集めました。

竹花 そうですね。EVの普及はヨーロッパや中国が先行していますが、日本も徐々に販売が伸びてきました。

バッテリーの価格が高いので、車両価格は割高なのですが、補助金や優遇税制の効果もあって、2022年は国内で3万1592台のEVが販売されました(軽を除く)。乗用車市場のシェアはまだ1.4%ですが、21年比では49.4%も伸びています。

――中でも輸入モデルは好調みたいですね?

竹花 昨年、輸入EVは1万4341台が販売されました。国産EVより値が張るモデルが多いにもかかわらず、史上初めて1万台を突破し、21年(8610台)を66.6%も上回っています。ちなみに日本で販売された乗用EVのうち、輸入モデルが半数に迫る45.4%を占めました。

――ほお!

竹花 昨年の乗用車の輸入車シェアが10.8%だったことを考えると、輸入EVの存在感はかなり大きいです。

――輸入EVの販売が好調な背景には何が?

竹花 やはり15ブランド78モデルという選択肢の多さが大きな理由だと思いますね。普及価格帯のコンパクトなモデルから、高価格帯のラグジュアリーモデルまでありとあらゆるEVが用意されているため、幅広いユーザーを獲得できています。

――なるほど。とはいえ、「EVってどれも乗り味が同じでは?」なんて声も聞こえてきます。

竹花 いやいやいや、実は違います。ブランドやモデルで走りや乗り心地はかなり異なるんですよ。クルマづくりはそんな単純なものではありません。モノになっている新興EVメーカーがごく少数しかないのがその証拠です。

EVでも操縦安定性や快適性、衝突安全性などの要求はエンジン車と変わらない。むしろさらに厳しい。正直、EVは白物家電のようにいきませんよ。

■韓国、欧州、米国のEVを一気乗り!

【第1位】ヒョンデ アイオニック5 価格:479万~589万円 今回試乗したのはアイオニック5の最上級モデルとなるラウンジAWD。航続距離はWLTCモードで577㎞ 【第1位】ヒョンデ アイオニック5 価格:479万~589万円 今回試乗したのはアイオニック5の最上級モデルとなるラウンジAWD。航続距離はWLTCモードで577㎞

――というわけで、今回は神奈川県中郡大磯町で行なわれた第42回JAIA(日本自動車輸入組合)輸入車試乗会に突撃! 黎明期(れいめいき)からEVの取材を続ける竹花さんに最新輸入EV5台を乗り比べていただき、勝手に順位をつけてもらいました。第1位は?

竹花 ヒョンデ・アイオニック5です。このクルマは、まずそのルックスが超個性的。ボディ形状は5ドアハッチバックで、意識的に微妙な違和感を抱く周到なデザインに仕上げている。

ボディ全体は幾何学的な造形が特徴的な「パラメトリックピクセル」デザインでまとめられ、ドットを用いた前後のLEDライトも絶妙な未来感です。

コックピットで目を引くのは、メーター用とインフォテインメント用の2枚のスクリーン コックピットで目を引くのは、メーター用とインフォテインメント用の2枚のスクリーン

ボディサイズは全長4635㎜×全幅1890㎜×全高1645㎜。ホイールベースは3000㎜ ボディサイズは全長4635㎜×全幅1890㎜×全高1645㎜。ホイールベースは3000㎜

――走りは?

竹花 今回は最上級の4WDモデルであるラウンジAWDに試乗したのですが、305PSと605Nmを発揮する前後のモーターによる加速は猛烈! 乗り味は比較的硬質ですが、フラット感が高くて快適。目隠しして乗ったら、今どきのドイツ車と思ってしまうかもしれません。

昨年4月にワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したほか、昨年末には日本カー・オブ・ザ・イヤーでインポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しましたが、それも納得です。日本市場では韓国車であることがネガティブに受け止められていますが、一度その走りを体験したら、そんなモヤモヤは吹っ飛ぶと思います。非常に良いクルマですね。

【第2位】アウディ Q4 e-tron 価格:620万~710万円 ボディサイズは全長4590㎜×全幅1865㎜×全高1630㎜。ホイールベースは2765㎜。航続距離はWLTCモードで594㎞ 【第2位】アウディ Q4 e-tron 価格:620万~710万円 ボディサイズは全長4590㎜×全幅1865㎜×全高1630㎜。ホイールベースは2765㎜。航続距離はWLTCモードで594㎞

ハイテク感ハンパない室内なのだが、よくよく見ると、空調などはボタン式の操作となる ハイテク感ハンパない室内なのだが、よくよく見ると、空調などはボタン式の操作となる

――第2位はアウディ!

竹花 はい。Q4 e-tron(イートロン)です。昨秋、日本に上陸したこのモデルはVW(フォルクスワーゲン)グループのEV専用プラットフォーム「MEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブ・マトリクス)」を採用したコンパクトSUVで、リアに電気モーターを搭載した後輪駆動のEV。

クリーンなエクステリアと、モダンでハイテク感が感じられるインテリアは、とてもアウディらしい。204PSと310Nmのスペックは、EVとしては特にパワフルというわけではありませんが、加速は十分に力強く、しかも運転しやすい。低重心でハンドリングも気持ちいいです。

――乗り心地はどうですか?

竹花 とても上質です。しなやかでありながらコシがあり非常に快適。アウディの上級モデルであるA6を彷彿(ほうふつ)とさせる上質感は、さすがです。

【第3位】ボルボ C40 リチャージ 価格:659万~759万円 ボディサイズは全長4440㎜×全幅1875㎜×全高1595㎜。ホイールベースは2700㎜。航続距離はWLTCモードで484㎞ 【第3位】ボルボ C40 リチャージ 価格:659万~759万円 ボディサイズは全長4440㎜×全幅1875㎜×全高1595㎜。ホイールベースは2700㎜。航続距離はWLTCモードで484㎞

ブレーキペダルを踏むだけで起動するため、スタートやストップのスイッチ類がない。スゲッ ブレーキペダルを踏むだけで起動するため、スタートやストップのスイッチ類がない。スゲッ

――第3位はボルボですね。

竹花 C40 リチャージです。ボルボのバッテリーEV第1弾であるこの電動コンパクトSUVクーペは、オンライン販売のみという点でも話題になりました。今回は前後に電気モーターを搭載した4WDのツインに試乗しました。

――気になる走りは?

竹花 スタイリッシュなクーペフォルムですが、内外装とも従来のボルボのイメージを踏襲しているので、走りもエンジン車の延長線上かと思ったら大間違い。前後モーターは合計で408PSと660Nmも発揮するので、アクセルペダルを深く踏み込むと、首が後方に持っていかれるんじゃないかと思うほど加速は強烈。

ハンドリングもスポーティで、走りが楽しめるモデルに仕上がっています。一方、乗り心地はしっとり系で、日常使いでの快適性は十分です。

【第4位】フォルクスワーゲン ID.4 価格:514万2000~648万8000円 ボディサイズは全長4585㎜×全幅1850㎜×全高1640㎜。ホイールベースは2770㎜。航続距離はWLTCモードで618㎞ 【第4位】フォルクスワーゲン ID.4 価格:514万2000~648万8000円 ボディサイズは全長4585㎜×全幅1850㎜×全高1640㎜。ホイールベースは2770㎜。航続距離はWLTCモードで618㎞

メーターパネルは液晶。このメーターパネルの右側にシフトセレクターが装着されている メーターパネルは液晶。このメーターパネルの右側にシフトセレクターが装着されている

――第4位は?

竹花 VWID.4です。2021年にワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したコンパクトSUVですね。基本的にはアウディQ4のVW版といったモデルで、こちらも後輪駆動。上級グレードのプロは204PSと310Nmのスペックも同じなんです。

――ということは、乗り味もアウディのQ4と同じ?

竹花 ところが違うんです。確かに加速フィールなどは近いんですが、ID.4はより軽快感がある。乗り心地もスポーティ方向です。

装備内容が比較的シンプルということもあって、500万円台から購入可能という点も魅力ですが、日本仕様はオプションでもナビの設定がない点はちょっと残念です。ヨーロッパ仕様にはIDファミリー専用のナビがあるので、今後の進化に期待したいところですね。

【第5位】テスラ モデルY 価格:643万8000~833万3000円 ボディサイズは全長4751㎜×全幅1921㎜×全高1624㎜。ホイールベースは2890㎜。航続距離はWLTCモードで507㎞ 【第5位】テスラ モデルY 価格:643万8000~833万3000円 ボディサイズは全長4751㎜×全幅1921㎜×全高1624㎜。ホイールベースは2890㎜。航続距離はWLTCモードで507㎞

インパネ中央には15インチサイズのタッチ式パネルがあり、灯火類などの操作もここで行なう インパネ中央には15インチサイズのタッチ式パネルがあり、灯火類などの操作もここで行なう

――そして第5位は!

竹花 テスラ・モデルYです。日本でも熱狂的なファンを獲得しているテスラの最新コンパクトSUVで、全身からテスラの世界観があふれています。

――確かに見た目のインパクトは抜群です。

竹花 エクステリアも個性的ですが、巨大なディスプレイがインパネ中央に備わったインテリアは、ボタン類がほぼ皆無で、事前にしっかり操作を学ばなければ運転できません。ただ、スマホやタブレットの操作に慣れている人であれば、特に問題はないかと。

――走りはどうです?

竹花 スゴいです。今回は前後に電気モーターを積んだ4WDのパフォーマンスに試乗したのですが、加速がとにかく強烈です。時速100キロ到達は3.7秒で、ほとんどスーパーカー級! これだけでも一度体験する価値アリです。

――快適性は?

竹花 そこがこのモデルのウイークポイントですね。ベースとなったモデル3の初期の頃と比べると、確かに改善されてきているんですが、まだまだゴツゴツ感が強い。ヨーロッパ系の同クラスのEVに対して引けを取っているのは否めません。

今回も走行中に内装がギシギシと音を立てていて、ボディ剛性や建てつけに難がある印象を受けました。とはいえテスラは、改良もスピーディなので、今後はどんどん良くなるかと。

――EVもモデルごとにそれぞれ個性がありましたね?

竹花 だから面白いんです。特に輸入EVには、各ブランドのフィロソフィーやお国柄も強く感じられます。ユーザーにはそんなところを、ぜひ楽しんでもらいたいですね。

●竹花寿実(たけはな・としみ) 
モータージャーナリスト。自動車雑誌の編集者を経て2010年に渡独。ドイツ語を駆使し、現地で自動車ジャーナリストとして活躍。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

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