ランボルギーニ ウラカンEVO フルオカプセル 見た目はもちろんのこと、イエローのド派手なカラー、ド迫力にも程があるエンジンサウンドなどもあり走行中も注目の的だった ランボルギーニ ウラカンEVO フルオカプセル 見た目はもちろんのこと、イエローのド派手なカラー、ド迫力にも程があるエンジンサウンドなどもあり走行中も注目の的だった

今年5月6日に創業60周年を迎えるスーパーカーブランド「ランボルギーニ」。人気モデルの実力とはいかに!? 輸入車に精通したモータージャーナリストの竹花寿実(たけはな・としみ)氏が一般道や高速道路を試乗し、徹底チェックした!!

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■まるで瞬間移動のような驚異的な加速感!

竹花 ランボルギーニは今年、創業60周年を迎えます。今年は世界中で記念イベントが行なわれるそうですよ。

――販売も絶好調とか?

竹花 2022年はグローバルで前年を10%上回る9233台という史上最高の販売台数を記録しました。日本でも前年比22%増の546台を販売しました。現在、納車まで18ヵ月待ちだそうです。

――へぇー、スゲェー!

竹花 世界的にSUVが人気を博していることもあり、スーパーSUVのウルスが5367台(前年比7%増)と半数以上を占めているんですが、これに次ぐのが3113台(前年比20%増)を販売したウラカンです。

ウラカンはアヴェンタドール(753台販売、昨年9月に生産終了)とともに、ランボルギーニのブランドイメージを牽引(けんいん)するモデルで、2013年まで生産されていたガヤルドの後継モデルですね。

ウラカンはアウディR8と基本メカニズムを共用したモデルだが、スーパースポーツとしてのキャラクターは、R8よりはるかに強烈 ウラカンはアウディR8と基本メカニズムを共用したモデルだが、スーパースポーツとしてのキャラクターは、R8よりはるかに強烈

――ふむふむ。ウラカンはどんなクルマ?

竹花 V12エンジンを搭載したアヴェンタドールのようなフラッグシップモデルに対して、それより気筒数が少ないエンジンを搭載した〝ベイビーランボ〟と呼ばれるモデルの最新版ですね。ベイビーと呼ばれていますが、中身は5.2リットルV10エンジンを搭載したモンスターです(笑)。

――売れ行きは?

竹花 昨年4月には累計生産台数が2万台を超えた、ランボ60年の歴史で最大のヒットモデルでもありますね。

――なるほど。今回はそんなウラカンに試乗したと?

竹花 ええ。試乗モデルは、クーペの高出力バージョンであるウラカンEVOの特別仕様車「フルオカプセル」です。車両価格は税込みで3563万185円となっております。

ウラカンEVOは、1933㎜の全幅に対して全高は1165㎜と極端に低い。フルオカプセルはフロントグリルやルーフなどがブラックに ウラカンEVOは、1933㎜の全幅に対して全高は1165㎜と極端に低い。フルオカプセルはフロントグリルやルーフなどがブラックに

フルオカプセルはリアディフューザー(空力パーツ)もブラックで、5枚のフィンにはボディ同色のアクセントが。後方視界に期待してはいけない フルオカプセルはリアディフューザー(空力パーツ)もブラックで、5枚のフィンにはボディ同色のアクセントが。後方視界に期待してはいけない

――家が買えますね!

竹花 はい。試乗モデルの基本スペックはウラカンEVOと同じですが、ビビッドなボディカラーにマットブラックのディテールを組み合わせたエクステリアと、フルブラックに蛍光カラーのアクセントを加えたインテリアで、スーパースポーツカーのキャラクターを際立たせたモデルになっています。

――走りはどうでした?

竹花 これぞスーパーカーという印象です。5.2リットルV10エンジンをかけた瞬間から、クルマ全体に猛烈なパワーが漲(みなぎ)った感覚が味わえます。右側のパドルを一度引いてギアを1速に入れれば、あとは普通のAT車のように運転できるのですが、走りはいわゆる乗用車とはまるで別モノです。

リアミッドに搭載される5.2リットルV10エンジンは、自然吸気ながら640PSと600Nmを発揮。サウンドは冗談抜きに迫力満点 リアミッドに搭載される5.2リットルV10エンジンは、自然吸気ながら640PSと600Nmを発揮。サウンドは冗談抜きに迫力満点

――というと?

竹花 640PSの最高出力と600Nmの最大トルクは、今どきのハイパフォーマンスカーとしては特に秀でているわけではないのですが、車両重量が1422㎏と軽く、しかもトラクション(駆動力)性能に優れた4WDなので、時速100キロ到達は2.9秒、最高速度は325キロと猛烈に速い。

正直言うと、一般道ではそのポテンシャルのほんの一部しか発揮できませんが、まるで瞬間移動のような驚異的な加速感は体験できます。

――瞬間移動!

竹花 しかもキャビンには甲高い排気サウンドに加えて、エンジンやトランスミッションのメカノイズが響き渡り、超高性能な機械を操っている感覚を全身で楽しめます。ロボットアニメで育った世代にはタマりませんよ!

インテリアはヘキサゴンのモチーフを多用。右側のパドルを引くとDレンジに入る。ウインカーはステアリング左側のスイッチで操作 インテリアはヘキサゴンのモチーフを多用。右側のパドルを引くとDレンジに入る。ウインカーはステアリング左側のスイッチで操作

――誰でも運転できる?

竹花 左ハンドルと極端に低い車高、極めて悪い後方視界に気をつければ、経済力がある人なら誰でも運転できると思います。でも、もうひとつ必要なものがあります。

――それは何?

竹花 羞恥心に耐える強いハートです! とにかくルックスがド派手。もちろん、サウンドも迫力満点なので、信号待ちなどで注目の的です。世界中のセレブに人気なのもよくわかりました。ファッションアイテムとしての機能もバツグンですね。

――ズバリ、お金があれば即買いの一台?

竹花 V10搭載のスーパーカーがいつまで存在できるかわからないので、買えるなら買うべきだと思います!

●竹花寿実(たけはな・としみ) 
モータージャーナリスト。自動車雑誌の編集者を経て2010年に渡独。ドイツ語を駆使し、現地でもモータージャーナリストとして活躍。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

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