ルノー 3代目カングー 価格:384万~424万5000円 本国フランスでは2020年11月にフルモデルチェンジを受けている3代目カングー。待望の日本導入にファン感涙 ルノー 3代目カングー 価格:384万~424万5000円 本国フランスでは2020年11月にフルモデルチェンジを受けている3代目カングー。待望の日本導入にファン感涙

3月2日に発売となった新型「カングー」。ルノー自慢のハイトワゴンの実力とは? モータージャーナリストの竹花寿実(たけはな・としみ)氏が特濃試乗をブチカマし、3代目を徹底検証した。

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■世界累計は400万台超!

竹花 本国から約2年遅れで日本市場に導入された3代目カングーを試乗しました。

――どんなクルマ?

竹花 欧州では主に小型商用バンとして販売されているカングー・エクスプレスの乗用モデルです。現地では仕事グルマのド定番で、1997年の初代デビューから世界累計400万台超の販売台数を記録しています。

先代カングーとパチリ 先代カングーとパチリ

――日本での売れ行きは?

竹花 絶好調です。2002年に導入された初代と、2009年に発売された2代目は累計で3万台以上が販売されており、ルノー・ジャポンのラインナップでは売れ筋モデルのひとつです。

――人気の秘密は?

竹花 小型商用バンならではの優れた使い勝手と、フランス車らしい、しなやかで快適な乗り心地、そして日本車にはないポップなキャラクターが人気の秘密です。

カングーは小型商用バンがベースということもあり、最大2800リットルもの荷室容量を実現。キャンプなどのアウトドアレジャーにピッタリ カングーは小型商用バンがベースということもあり、最大2800リットルもの荷室容量を実現。キャンプなどのアウトドアレジャーにピッタリ

両側スライドドアは手動式だが、操作は特に重くない。乗降性と荷物満載時の荷室へのアクセスの良さは、カングーの大きな魅力 両側スライドドアは手動式だが、操作は特に重くない。乗降性と荷物満載時の荷室へのアクセスの良さは、カングーの大きな魅力

――どんな人が買っている?

竹花 クルマに走りや実用性に加え、「楽しさ」を求める人ですね。小型商用バンがベースということもあり、多彩な使い方ができます。キャンプやアウトドアスポーツはもちろん、ペットとの旅行などにもピッタリ。カングーならではの個性的なスタイルは、街中でも大自然の中でも輝きを放ちます。

ブラック無塗装の前後バンパーと、観音開きのバックドアは乗用モデルでは日本仕様のみのアイテム。独特な道具感が男心を刺激する ブラック無塗装の前後バンパーと、観音開きのバックドアは乗用モデルでは日本仕様のみのアイテム。独特な道具感が男心を刺激する

――ブラックのバンパーもインパクトがありますよね?

竹花 これは日本のカングーファンに人気で、日本仕様専用に採用されたものです。本国では小型商用バン専用で乗用モデルにはありません。

――へぇー。

竹花 観音開きのバックドアも本国では小型商用バン専用です。カングーのある生活を楽しむ文化は日本で独自の進化を遂げており、フランス本社も驚いているそうですよ。

――なるほど。ズバリ、新型はどこが進化した?

竹花 すべてが進化しています。まず基本の骨格は日仏3社連合の「CMF-C/Dプラットフォーム」を採用。これは日産のエクストレイルなどと共通のものです。

先代と比較すると、全長は+210㎜の4490㎜、全幅は+30㎜の1860㎜とひとまわり大きいのですが、その分、ラゲッジは最大で2800リットルもの大容量を実現しています。

エンジンは1.3リットル直4ガソリンターボと、1.5リットル直4ディーゼルターボの2種類。出来が良く、甲乙つけがたい仕上がり エンジンは1.3リットル直4ガソリンターボと、1.5リットル直4ディーゼルターボの2種類。出来が良く、甲乙つけがたい仕上がり

――ほかにはどんな進化が?

竹花 エンジンは、131PSの1.3リットル直4ガソリンターボと、116PSの1.5リットル直4ディーゼルターボが用意されており、どちらも7速デュアルクラッチ式ATが組み合わされています。

――走りはどんな感じ?

竹花 ルックスと同様、とても現代的になった印象です。ガソリン、ディーゼルとも実用上まったく不足を感じない力強さで、振動やノイズもしっかり抑えられています。ボディはとてもしっかり感があって、乗り心地も絶妙なしなやかさ。風切り音も小さめで、とても快適です。

そして何よりハンドルを切った瞬間に感じられる、サスペンションがしっかり動いてタイヤが路面をとらえ続ける感覚が、とてもカングーらしくて、自然と笑みがこぼれました。特にスポーティというわけではありませんが、ドライバーも楽しめるクルマに仕上がっています。

インパネ周りはとても洗練されたデザイン。小物入れやUSBポートなどを備え、使い勝手もバツグン。開放感もとても高い インパネ周りはとても洗練されたデザイン。小物入れやUSBポートなどを備え、使い勝手もバツグン。開放感もとても高い

――安全面はいかがです?

竹花 エマージェンシーレーンキープアシスト、ストップ&ゴー機能付きアダプティブクルーズコントロール、レーンセンタリングアシストを組み合わせた「ハイウェイ&トラフィックジャムアシスト」など、ADAS(先進運転支援システム)や先進安全装備がついています。

――気になる点は一切ない?

竹花 好みの問題ですが、先代までのかわいらしい雰囲気が若干薄れた点くらい。とても魅力的なクルマに磨き上げられたと思います。

――ガソリンとディーゼルならどっちが推し?

竹花 どちらかといえばガソリンです。ディーゼルより軽快感のある走りが好印象でした。ただ、高速道路を使った長距離移動が多い人には、燃費に長たけ、力強いディーゼルのほうがいいかもしれません。

●竹花寿実(たけはな・としみ) 
モータージャーナリスト。自動車雑誌の編集者を経て2010年に渡独。ドイツ語を駆使し、現地でもモータージャーナリストとして活躍。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

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