米のセレブ御用達の高級SUVがキャデラックのエスカレードである。1999年に初代がデビューしてから"フルサイズSUVの頂点"に君臨している。その魅力とは? 左ハンドルのダイナマイトボディを徹底チェックした!!
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■とにかくデカい威圧感もハンパない
世界中でSUVの販売が好調だ。その中で特に話題を集めているのが高級SUV。昨年、史上最高の販売台数を記録した高級スーパーカーブランドのランボルギーニは全世界で9233台を売った。
しかし、その販売の中心を占めているのはスーパーSUVのウルスで、実に6割となる5367台(前年比7%増)を販売。要するにランボルギーニの大躍進を支えているのはSUVなのである。
ちなみに現在、メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェ、ボルボ、アウディ、さらにはベントレー、ロールス・ロイス、フェラーリまでもがSUVを用意している。
そんな高級SUV市場で輝きを放ち続けているのが、キャデラック自慢のフラッグシップSUVのエスカレード。アメリカではもちろんのこと、世界中のセレブを魅了する一台でもある。言うまでもないが、キャデラックは世界的な高級ブランドである。
今回、試乗したのはキャデラックのエスカレードスポーツ。ボディもインテリアも全部が黒く、それが売りのモデルなのだという。
このエスカレードスポーツの実車を目の当たりにした率直な感想はとにかくデカい。というか、異次元のデカさである。
それもそのはず。ボディサイズは全長5400㎜、全幅2065㎜、全高1930㎜。骨格はラダーフレーム構造の本格派で車重は2740㎏! まさにレベチのワガママボディである。しかも全身ブラック仕上げ。注目の的になること請け合いだ。
ドアを開け、ステップをよじ登るようにして、運転席に滑り込むと、ゴージャスにも程があるレザーインテリアと、自動車業界初という湾曲型38インチ大型インフォテインメントシステムが目に飛び込んできた。スンゲェー。
ボディサイズから考えれば当たり前だが、室内は問答無用に広い。そのため、カンバセーションエンハンスメントという対話補助機能を装備する。ザックリ言うと、乗員の声をマイクが拾い、スピーカーから流れる。そんな機能を用意するほどに3列の室内は広いのだ。
走り出すと着座位置が高いこともあり視界は良好! 運転は決して苦にならないが、ボディはやっぱりデカい。なので、横幅に関しては常に意識してしまった。
そんなダイナマイトボディを持つエスカレードスポーツだが、高速の合流では6.2リットルV8のOHVエンジンがほえ、瞬く間に制限速度へ。乗り心地はまるで遊覧船のよう。静粛性も高く、シートも適度な軟らかさ。実にゴージャス!
そして、高速道路での試乗では前方のクルマが次々と道を譲ってくれる(笑)。車間距離を十分に取って走っていたのだが、気がつけば「モーゼの十戒」のワンシーンのごとくサッと道が開けてしまう。
実際にエスカレードを見ればわかるが、ゴツ顔が売りの国産のSUVやミニバンがオラつく学生だとすると、エスカレードは超一流の格闘家が放つ威圧感をデフォルトで備える。フツーに考えて後続車にそんなクルマが来たら嫌だわなぁ(笑)。
というわけで、自動車専門誌の編集長のキャリアを持つカーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏に、エスカレードのどこがスゴいのかを聞いた。
「昔から世界を代表する高級ブランドのひとつがキャデラックです。その最大の特徴はアメリカらしいビッグなボディにクロームメッキを多用し、V8のOHVで優雅に走ること。要するに古き良きアメリカンラグジュアリーの現代版であり、その最高峰がエスカレードというわけです」
この巨大にも程があるボディ、そして他の追随を許さない圧倒的な存在感こそがエスカレードスポーツのストロングポイントなのだという。
「これだけド派手ならどこを走っても目立ちます。注目を浴びたい人にはピッタリ。だからセレブ御用達なのです」