昨年10月に日本デビューを飾ったジープの2代目コマンダー。初代はチョー大型ボディとV8エンジンだったが、2代目はミドルサイズに大変身した! しかも、ジープ初となるディーゼルエンジンを搭載。というわけで、公道試乗し、その魅力に迫ってきた!!
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■野性的な音と振動のディーゼルターボ
今回試乗したコマンダーは2代目となる。初代は2006年に日本デビュー。当時はジープのフラッグシップ的な存在で、ジープ初となる3列7人乗りを売りにする4WDモデルでもあった。
ちなみに骨格はトップモデルのグランドチェロキーとシェア、エンジンもジープが誇るV8エンジンを搭載していた。残念ながら販売的にパッとしなかったらしく、09年を最後に日本市場から姿を消してしまった。
そして月日は流れ、13年ぶりに日本再上陸を果たしたのが、昨年10月に販売開始となった2代目コマンダー。3列7人乗りのシートアレンジと4WDは初代を継承しているが、エンジンは2リットル4気筒のディーゼルターボとなり、ボディサイズもミドルサイズに。もちろん、骨格もグランドチェロキーとは異なる。
では、この2代目はどんな立ち位置なのか? 現在、ジープは欧州の大手自動車グループ「ステランティス」の傘下にある。そこで、ステランティスに2代目コマンダーを日本に導入した理由を聞いてみた。
「グランドチェロキーではボディサイズが大きすぎる。でも、3列シートは欲しい。そういうお客さまの声が多かったんですね」
要するに日本市場にマッチングする3列シートを備えたミドルクラスSUVを導入したというわけ。3列シートを用意しておらず、昨年末に生産を終了したチェロキーの実質的な後継モデルと考えるとわかりやすい。
そんな鳴り物入りで登場した2代目は、顔面がフラッグシップのグランドチェロキーを彷彿(ほうふつ)とさせる仕上がりになっていた。
運転席に滑り込むと、まず感じたのはすこぶる良好な視界。開放感抜群で早く走り出したくなる。ちなみにメーターは10.25インチのフルデジタルディスプレー。この未来感は男心を刺激する。
日本仕様の生産国はインドとのことだが、インテリアに目を向ければゴージャスのひと言。シートはダイヤモンドキルティング加工が施された本革。上質にも程がある。
ダッシュボードなどにはソフトパッドが多用され、インパネ中央にはスマホ接続対応の10.1インチタッチパネルモニター付きオーディオナビがドーンと鎮座する。
優雅な気分に浸りながら、エンジンをスタートさせて驚いた。9速ATと組み合わされるディーゼルターボエンジンの音と振動があまりにも野性的なのだ。
とはいえ、運転時間がある程度経過すると、〝ジープのSUVに乗っている感〟が高まってきて、それほど音や振動は気にならなくなる。ちなみに走りは力強く軽快で、約1.9tのボディも気にならない。
では、2代目のキモとなる3列シートの使い勝手はどうなのか? レイアウトは1列目が2人、2列目が3人、3列目が2人の7人乗りとなっている。
ドアが80度開くこともあり3列目への移動はスムーズなのだが、正直言うと3列目の足元スペースはタイト。大柄な人だと膝を抱える感じになってしまう。自動車専門誌のデスクもこう指摘する。
「ガチで使える3列シートを希望する方には、国産のミニバンを推します」
とはいえ、ADAS(先進運転支援システム)も充実し、後部の荷室扉はハンズフリーオープン機能を備える。乗り心地もゆったり快適だ。3列シートを備える個性輝くSUVを狙うのなら、コマンダーは注目の一台である。