ロータリーエンジンを搭載したコンパクトSUVが、この「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」(欧州仕様)ロータリーエンジンを搭載したコンパクトSUVが、この「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」(欧州仕様)
4月14日から3日間、幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催されたモーターショー「オートモビルカウンシル」のマツダブースにて、発電用ロータリーエンジンを搭載したPHEV(プラグインハイブリッド)モデルをご開帳! そこで気になるのはロータリーエンジンの完全復活だ。長年マツダを取材するカーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏に聞いた。

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渡辺 マツダが発電用のロータリーエンジンを搭載したコンパクトSUV「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」(欧州仕様車)を日本初公開しました。

――確か、今年1月13日にベルギーのブリュッセルで世界初公開したクルマですよね?

渡辺 はい。今回、満を持して母国でのお披露目となりました。

――いわゆるEVなんですか?

渡辺 いいえ。〝マツダの魂〟とも言えるロータリーエンジンを発電用として搭載したPHEV(プラグインハイブリッド)です。発電用とはいえ、ロータリーエンジンがマツダのクルマに搭載されるのは実に11年ぶりなので注目を集めています。

――なぜロータリーエンジンは"マツダの魂"と呼ばれているんですか?

渡辺 1967年にマツダが世界初のロータリーエンジンを量産化したからですね。この高い技術力が今もマツダの柱になっています。

ーーしかし、11年前に生産中止になったんですよね?

渡辺 ロータリーエンジンは、一般的なエンジンと比較すると、軽くて高出力です。しかし、動力性能の割に燃費が悪い(笑)。そういう面もあって2012年に生産を終了しました。

――なるほど。

渡辺 とはいえ、高い動力性能をコンパクトで軽いパワーユニットで発揮できるため、今回、発電用ではありますが、復活の舞台を与えられたというわけです。

――でも、燃費が悪いんですよね?

渡辺 そこはしっかり手を入れていると思います。

――今回の発表時にマツダからコメントは出ている?

渡辺 マツダの青山裕大専務執行役員は、「ロータリーには新たな可能性がある。ロータリーをあきらめたくない。今後もロータリーを作り続けたい」と力を込めていました。

――なるほど。このクルマはいつ日本で発売するんですか?

渡辺 すでにヨーロッパでは予約が開始されています。ちなみにドイツでの価格は3万5990ユーロ(約530万円)ですね。日本でも近く発売を予定しています。販売店は「価格や正式な発売時期は今のところ不明ですが、受注の開始は23年の秋頃」と言っていましたね。

――発電用でないロータリーエンジンの完全復活はあるんでしょうか?

渡辺 ロータリーエンジンはマツダにとって至宝です。私は長年マツダを取材していますが、経営が苦しい時代は、規模を縮小しながら、それでも研究開発を続けていました。生産を終えた後も、50人くらいの規模で、ロータリーエンジン専門のチームを組んでいます。

上層部も「マツダはロータリーエンジンを絶対にやめない」と明言しており、「今後のロータリーは発電用エンジンになるのか」という質問に対して「それは違う。発電は用途のひとつにすぎない」と返答していました。

つまり、世界的な脱炭素の流れに適応した形で、ロータリーはホイールを駆動する純粋なエンジンとして、これからも継承されていくと思います。いつの日か本格的に復活するでしょう。

●渡辺陽一郎(わたなべ・よういちろう) 
カーライフジャーナリスト。自動車専門誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長を10年務める。〝新車購入の神さま〟。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員