昨年8月に日本市場に導入されて話題を集めているのが、ルノーがF1で培った技術をブチ込み、独自開発したというハイブリッドモデルだ。てなわけで、公道でその実力と魅力に迫ってきた!
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■初代は世界累計170万台以上
昨年、仏ルノーは日本市場で過去最高となる8615台を販売! その中で最も売れたモデルはコンパクトSUVのキャプチャー。2655台を売ったという。
キャプチャーの現行モデルは2代目で、2019年にデビューした。初代は世界累計170万台以上を誇る怪物SUVだ。もちろん、2代目も大人気で、欧州では2020年にSUV販売台数トップをマークするなど、ルノーの屋台骨を支えるドル箱モデルである。
ちなみにキャプチャーはBセグメントと呼ばれるカテゴリーに属する。このセグメントはチョー激戦区。果たして人気の秘密はどこにある?
今回試乗したのは、昨年8月に日本市場に導入されたキャプチャーE-TECHフルハイブリッド。ルノーが誇るHEV(ハイブリッド)である。付け加えると、欧州ブランドは、MHV(マイルドハイブリッド)は増えてきているが、現在、HEVを用意しているのはルノーだけだ。
ルノーはディーゼルエンジンに代わる存在がHEVだと考えている。環境規制で、ディーゼル車から乗り換えるのに、EVだと価格やインフラがネックになる。しかし、HEVならディーゼル車からの乗り換えもスムーズ。そういう考えでルノーはHEVを用意している。
要するにEV全振りではなく、ルノーは全方位戦略を敷いているわけだ。
さて、実車を見た率直な感想は、とにかく見た目がいい! 昨今だとルッキズムの権化と言われかねない感想かもしれないが、キャプチャーが売れる要因のひとつはこの見た目だ。上品かつ洗練された外観は、ライバルを大きくリードするストロングポイントと言える。
そんなキャプチャーの骨格は日仏3社連合製の「CMF-Bプラットフォーム」が採用され、先代の骨格より50㎏ほど軽量化されている。この骨格の採用により剛性は飛躍的に向上し、滑らかな乗り心地や正確なハンドリングを実現したという。
では、このルノー独自開発の1.6リットル直4エンジンとモーターを組み合わせたHEVの走りはどうか? 実際に走行してみると、スタートは100%EVモード。つまり、モーター走行である。アクセルを踏み、速度を高めるとエンジンが始動する仕組みだが、可能な限りエンジンを使わない味つけとなっていた。
ルノーによればガソリン車と比較すると、このEVモードにより、最大40%の燃費低減が期待できるという。
もちろん、アクセルペダルを踏み込めばエンジンは一気に覚醒するが、EVからハイブリッド走行へのバトンタッチは実にスムーズ。
加えてF1の技術がフィードバックされているATということもあり、スポーティに走れてしまう。エコカーの感覚でアクセルを踏むと、そのパワフルさに驚く。室内の静粛性も高く、滑らかでシームレスな乗り心地を実現している。
サスはしなやかで高速道路の荒れた路面も上手にいなす。上質というか高級感さえある。ワインディングを走っても、変なクセがないニュートラルなハンドリングと、高いボディ剛性が相まって、クルマとの一体感を楽しめる。
車両重量は1.3リットルのガソリンターボモデルよりも110㎏重く、1420㎏となっているが、燃費は約34%優れ、WLTCモードで22.8㎞/リットルを実現している。
価格は389万円スタート。同じBセグメントの国産車と比較すると、正直言って値は張る。だが、おフランス製のしゃれた見た目と、F1由来の技術がブチ込まれたHEVは魅力的。人と違うHEVが欲しい人は要チェック!