3月29日に世界初公開されたレヴエルト。今回、ニッポンで実車を初披露となった 3月29日に世界初公開されたレヴエルト。今回、ニッポンで実車を初披露となった
6月6日、ランボルギーニ・ジャパンは新フラグシップモデル「レヴエルト」をニッポン初公開した。この新型は少量生産を除けば、ランボルギーニ初のPHEV(プラグインハイブリッド)で世界的に大きな話題を呼んでいる。いったいどんなクルマなのか?

■お披露目は有明アリーナ

「有明アリーナ」(東京都江東区)の最寄り駅のひとつが、ゆりかもめの「有明テニスの森駅」。改札を出てランボルギーニの新フラグシップ「レヴエルト」のお披露目が行なわれる有明アリーナへと向かう。スマホのナビ機能に従い10分ほど歩く。恐ろしく閑散とした街だった。会場までの道すがら人にもクルマにもすれ違わず、この道で本当に大丈夫なのかと不安になったほど。

会場前で顔見知りのベテラン自動車ジャーナリストがいた。ほっと胸をなでおろす。ふとジャーナリストの手に目をやると、右手にはスマホを装着した自撮り棒が握られていた。これから行なわれるレヴエルトの発表会見を撮り、自身のYouTubeチャンネルに上げるのだろう。

「それにしても、なぜランボルギーニは有明アリーナを選んだんですかね?」

そう尋ねると、ジャーナリストは間を置かずに答えた。

「新たな戦いに挑むクルマだからね。手垢のついていない場所でお披露目したかったんじゃない」

■時速100キロ到達は2.5秒

昨年、ランボルギーニはグローバルで9233台という史上最高の販売台数をマークした。その世界的な爆売れを支えたのが、半数以上となる5367台を占めたスーパーSUVのウルスだ。日本でもランボルギーニは売れに売れており前年比22%増を記録。控えめに言ってもアゲアゲ状態である。

最高出力1015馬力を誇る。パワーユニットは6.5LのV12エンジン+モーター3基 最高出力1015馬力を誇る。パワーユニットは6.5LのV12エンジン+モーター3基 インパネはスペースシップのコックピットをモチーフにしたという インパネはスペースシップのコックピットをモチーフにしたという
しかも、今年はブランド生誕60周年。そんな中、今年3月29日に世界初公開され、大きな話題を呼んだのが、今回ニッポンでお披露目となったランボルギーニ初のPHEV(プラグインハイブリッド)のレヴエルト。ちなみにレヴエルトとはスペイン語で「かき混ぜる」や「混ぜ合わせる」などの意味を持つ。

ランボルギーニの会長兼最高経営責任者(CEO)であるステファン・ヴィンケルマン氏は、レヴエルトを脱炭素化に向けた「電動化戦略の重要な柱」と位置付けている。また、同社は脱炭素戦略として全モデルのHEV(ハイブリッド)化を来年末までに完了するとも発表済みだ。

助手席側から見たインパネも、スペースシップのコックピットを感じる 助手席側から見たインパネも、スペースシップのコックピットを感じる 六角形のマフラーと大型のリアディフューザーの織り成すデザインは異次元のド迫力 六角形のマフラーと大型のリアディフューザーの織り成すデザインは異次元のド迫力
しかし、この脱炭素の柱になるレヴエルトのスペックがハンパない。新開発の自然吸気V型12気筒に3基の電気モーターを組み合わせた6.5リッターのエンジンをミッドシップに搭載。システム最高出力は1015馬力で、時速100キロ到達は2.5秒。最高速度は350キロ以上を誇る。電動4WDで、トランスミッションは8速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)。

まさに〝ランボルギーニ流の脱炭素車〟である。気になるレヴエルトの価格は消費税込みで約6600万円前後の予定だという。ただし、日本向けの割り当てについては、向こう数年分が完売しているというから驚いた。

フロント部分はトランクとなる。スーツケース2個を収納できる容量があるという フロント部分はトランクとなる。スーツケース2個を収納できる容量があるという ホイールは前後でサイズが異なる。フロントが21インチ、リアが22インチ ホイールは前後でサイズが異なる。フロントが21インチ、リアが22インチ
薄暗い有明アリーナはプレゼンと質疑応答が終わり、レヴエルトの撮影時間になっていた。中高年のみの自動車ジャーナリストたちが、顔を輝かせ、熱心に動画やスチール撮影に励んでいる。これだけド派手だと、見ているだけで自然と口角は上がるが、庶民には縁のないクルマだし、メンタルが化け物でないと乗れないクルマな気もする。

薄暗い会場を出て、有明テニスの森駅へと歩を進める。やっぱり人にもクルマにもすれ違わない。頭の中には「脱炭素って......何かね?」という声が脳裏を渦巻き続けた。
ランボルギーニ初のPHEVということで、世界的に大きな話題を呼んでいる ランボルギーニ初のPHEVということで、世界的に大きな話題を呼んでいる