第1位「トヨタ AE86 BEV Concept(電気じどう車)」今年1月「幕張メッセ」(千葉県千葉市)でご開帳され、大きな話題を呼んだ。電気自動車に魔改造されたレビンは、漢すぎるMT仕様! 第1位「トヨタ AE86 BEV Concept(電気じどう車)」今年1月「幕張メッセ」(千葉県千葉市)でご開帳され、大きな話題を呼んだ。電気自動車に魔改造されたレビンは、漢すぎるMT仕様!

今年発売された新型、取材した話題のモデルの中から、珠玉にも程があるやりすぎカーを勝手に表彰! 選考委員長はこの道40年の大ベテラン、カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が務める。

てなわけで、独断のみの審査を経て、見事に受賞した12台をココにドバッと一挙大放出!

■6600万円のPHEVがランクイン!

――委員長、誌面の都合もあるので1位の発表からオナシャス!

渡辺 はい、発表します。上半期の1位は今年で42回目を迎えた改造車の祭典「東京オートサロン2023」に出展されたトヨタのAE86 BEVコンセプトと、AE86 H2コンセプトです!

――どこがやりすぎ?

渡辺 BEVコンセプトはEV(電気自動車)、H2コンセプトは水素エンジン車です。1983年に発売されたAE86型カローラレビンとスプリンタートレノという、現在も根強い人気を誇る旧車に最新の脱炭素機能をブチ込んだところですね。

第1位「トヨタ AE86 H2 Concept(水素エンジン車)」インジェクション(燃料噴射装置)こそ水素用になっているもののベースのエンジンは懐かしの名機4A-GE型を利用しているという 第1位「トヨタ AE86 H2 Concept(水素エンジン車)」インジェクション(燃料噴射装置)こそ水素用になっているもののベースのエンジンは懐かしの名機4A-GE型を利用しているという

――トヨタはこの魔改造で何を訴えた?

渡辺 今後は日本でも、ガソリンや軽油を燃焼させるエンジン搭載車が全面禁止される可能性があります。燃料の流通も止まったら、われわれの愛車はどうなりますか?

――普通に考えると、もう走行はできませんよね。

渡辺 その対策が、愛車をEVや水素エンジン車に改造することなのです。長年寄り添ってきた愛車と過ごす幸せを諦める必要はありませんよと。トヨタはそれをAE86で表現したわけです。

――なるほど。続いて2位はなんですか?

渡辺 ランボルギーニレヴエルトですね。ランボルギーニはエコロジーとは真逆のイメージですが、レヴエルトはなんとPHEV(プラグインハイブリッド)で登場! 価格は約6600万円の予定です。

第2位「ランボルギーニ レヴエルト」今年3月29日に世界初公開されたレヴエルト。6月6日、ついにニッポンでも初公開となった。ランボのPHEVということで注目を集めた 第2位「ランボルギーニ レヴエルト」今年3月29日に世界初公開されたレヴエルト。6月6日、ついにニッポンでも初公開となった。ランボのPHEVということで注目を集めた

全部が異次元だが、特にリアがハンパない。六角形のマフラーと、大型のリアディフューザーの織り成すハーモニーはド迫力 全部が異次元だが、特にリアがハンパない。六角形のマフラーと、大型のリアディフューザーの織り成すハーモニーはド迫力

――どんなスペックですか?

渡辺 エンジンはV型12気筒6.5Lで、前輪に2個、後輪に1個のモーターを搭載しています。エンジンとモーターを合計したシステム最高出力は1015馬力!

――オー! モーレツ!

渡辺 停車状態から時速100キロに到達するまでの所要時間は2.5秒、最高速度は時速350キロだそうです。もはや法定速度の範囲内でフル加速するのは困難です。

――駆動用の電池の容量は?

渡辺 これまた驚きで、総電力量はわずか3.8kWhです。プリウスPHEVでも13.6kWhですから、レヴエルトの電池容量は約4分の1。

――パワーは大きすぎで、電池は小さすぎ!

渡辺 すべてをやりすぎで造るのがランボルギーニ流。そもそもランボルギーニは、トラクターメーカーとして出発し、スーパーカー市場に乗り込んできました。そういう独特の企業風土がある。まぁ、1015馬力と3.8kWhの組み合わせは、エコに対するランボルギーニ流の皮肉かもしれません。

――そして3位はBMWですね。

渡辺 はい。BMWのEV、i7です。これも実に濃厚なやりすぎカーです。ベースは7シリーズセダンで、全長は約5.4m、全幅も2m近い。セダンなのに全高は1.5mを超えており、異様なほど背が高い。独特の存在感がありますし、伝統のキドニーグリルのフロントマスクは完全にやりすぎ。素直に美しくない。

第3位「BMW i7」BMW自慢のフラッグシップEVセダン。実車の放つアウトローな空気はマジで激ヤバ。加えてフロントマスクのイカツさは極鬼レベル 第3位「BMW i7」BMW自慢のフラッグシップEVセダン。実車の放つアウトローな空気はマジで激ヤバ。加えてフロントマスクのイカツさは極鬼レベル

内装は超ゴージャス。シフトスイッチ周辺は手作業によるガラス仕上げ。また、センターパネルは自動的に色鮮やかにキラキラ発光する 内装は超ゴージャス。シフトスイッチ周辺は手作業によるガラス仕上げ。また、センターパネルは自動的に色鮮やかにキラキラ発光する

――スペックはどうスか?

渡辺 パワフルなM70ⅹドライブは、前後にモーターを搭載し、トータルのシステム最高出力は659馬力、システム最大トルクは1015Nmに達します。停車状態から時速100キロまでの加速タイムは3秒台です。

――セダンなのに加速性能はスポーツカー並み!

渡辺 ただ、その結果、駆動用電池の総電力量も105.7kWhと大きく、200V(32A)の普通充電だと満充電になるまで17時間......。今はEVが普及を始めた段階ですから、「今までのエンジン車とはこんなに違うんだ」と性能の限界をアピールしている面はありますが、やりすぎ!

■ついにレクサスからミニバンが登場!

――4位は?

渡辺 アメリカが誇るSUV、キャデラックエスカレードです。1~3位はモーター駆動を使うやりすぎの電動車でしたが、キャデラックエスカレードは正反対です。エンジンはV型8気筒6.2Lで、電動機能はありません。ボディは超大柄で、全長は5.4m、全幅は2mを軽く超え、車両重量も2.7tです。

第4位「キャデラック エスカレード」週プレが試乗したモデルは1800万円。ボディはワガママにも程があるダイナマイト系で、実車の威圧感は新車最強レベル! 第4位「キャデラック エスカレード」週プレが試乗したモデルは1800万円。ボディはワガママにも程があるダイナマイト系で、実車の威圧感は新車最強レベル!

――うおー、全部やりすぎ!

渡辺 ただしキャデラックの魅力は、昔からやりすぎのクルマ造りにある。ボディは大きく、内外装はギッラギラのメッキ仕上げ。エンジンはV型8気筒で、1970年代の前半には排気量を8.2Lまで拡大し、それこそガソリンをバラまきながら豪快に加速していたもんです。

――古き良きアメリカ車!

渡辺 アメ車、特にキャデラックに対する日本のイメージは50年前と同じです。ですから今でも、SUVになりましたが、むやみに大きなエスカレードが人気を集める。

逆に2Lターボを積んだセダンのキャデラックATSは、力を入れて開発したのに、日本ではサッパリ売れず中古車価格も200万円以下......。ちなみにこのエスカレード、EV版が間もなく発表されます。やりすぎ度に注目ですよ!

――5位はレクサスですか。

渡辺 はい、LMを選びました。LMはLサイズのミニバンで、基本部分はアルファード&ヴェルファイアと共通です。先代は海外専用車でしたが、新型は2023年中に日本で発売されます。

第5位「レクサス LM」日本のレクサスでミニバンが正規販売されるのは史上初。年内に販売開始となる予定。価格は1000万円台というウワサも!? 第5位「レクサス LM」日本のレクサスでミニバンが正規販売されるのは史上初。年内に販売開始となる予定。価格は1000万円台というウワサも!?

――LMのやりすぎポイントはどこですか?

渡辺 LMは、日本で売られた従来のレクサス車と比べ、存在そのものがやりすぎ。1989年に北米で開業したレクサス当初の目的は、トヨタブランドではなじみにくい高級車の売り込みでした。

――ふむふむ。

渡辺 しかし2005年に始まった国内版レクサスの目的は、日本で販売台数を増やすメルセデス・ベンツやBMWから、トヨタの高級車市場を守ることになった。

ただし、05年当時のレクサスは、「日本で扱うのはセダンとクーペのみ。SUVなどは導入しない」と述べていました。日本では高級ブランドに、野性的なSUVは似合わないと判断したわけです。

――ところが、その状況は変わったと?

渡辺 セダンの販売低迷が顕著になり、09年にSUVのRXを導入しました。それでも新型車には慎重でしたが、直近になるとコンパクトSUVのLBX、悪路向けSUVのGX、そしてついにはレクサスがミニバンを導入するまでになったわけです。

――どうして"なんでもアリ"のレクサスになった?

渡辺 レクサスの販売台数は、国内でメルセデス・ベンツを抜けません。そこで従来の車種を厳選してブランドを構築する方針から、フルライン体制に切り替えています。

ヤリスクロスをベースにしたLBX、ランクルプラドが基本のGX、アルファード&ヴェルファイアがベースのLMという具合に、トヨタ車の数だけレクサス車を用意する作戦です。当初の売り方を振り返ると、ミニバンのLMはやりすぎです。

■日産のコンセプトカーは、ピアノを搭載!

――6位は?

渡辺 日産GT-Rの24年モデルです。定番商品ですが、価格がやりすぎ。07年の登場時点では777万円だったのに、24年モデルは、最も安価なピュアエディションでも1375万円です。フルモデルチェンジも受けずに、発売時点と比べて1.8倍の値上げはやりすぎでしょう。

第6位「日産 GT-R 2024」2024年モデル最速となるのが、日産GT-Rニスモスペシャルエディション。カーボンを多用し、最高出力は600馬力。価格は2915万円! 第6位「日産 GT-R 2024」2024年モデル最速となるのが、日産GT-Rニスモスペシャルエディション。カーボンを多用し、最高出力は600馬力。価格は2915万円!

――7位は?

渡辺 今年のオートサロンに出展された日産ルークススイートコンセプトです。ルークスの後席を大きなひとりがけに変えています。車両の後部には小さなトレーラーが連結され、そこにピアノを搭載。親が娘の結婚式にルークススイートコンセプトで乗りつけ、父親がピアノを弾くというコンセプトだそうです。

第7位「日産 ルークス スイートコンセプト」日産の軽自動車ルークスをガルウイング化。リアのトレーラーには電子ピアノを搭載。今年のオートサロンで度肝を抜かれた一台である 第7位「日産 ルークス スイートコンセプト」日産の軽自動車ルークスをガルウイング化。リアのトレーラーには電子ピアノを搭載。今年のオートサロンで度肝を抜かれた一台である

――ズバリ、日産の狙いは?

渡辺 わかりません! まぁ、ひとつ言えるのは、典型的なやりすぎのコンセプトカーなのかなと。

――8位も日産?

渡辺 セレナの最上級グレード「e-POWERルキシオン」。手放しでも運転支援を受けられるプロパイロット2.0を標準装着し、価格は500万円弱です。

上級ミニバンの日産エルグランドが、発売から約13年を経過して売れ行きも下がっている。そこで、エルグランドからの乗り替えを考慮し、最上級グレードを設定したのだと思います。ただ、この価格はやりすぎ。

第8位「日産 セレナ」新型セレナの最上級モデルは479万8200円。税金やオプションを含めると500万円を突破。ぶっちゃけ格上の日産エルグランドが買える 第8位「日産 セレナ」新型セレナの最上級モデルは479万8200円。税金やオプションを含めると500万円を突破。ぶっちゃけ格上の日産エルグランドが買える

――9位は再びランボルギーニの登場です。

渡辺 ランボルギーニウラカンを選びました。ランボルギーニの主力車種ですが、エンジンはV型10気筒です。脱炭素が叫ばれる今の時代に、ガソリン車で、最高速度300キロ超は、誰がどう考えてもやりすぎでしょう。

第9位「ランボルギーニ ウラカン」試乗車は特別仕様車のウラカンEVOフルオカプセル。価格は税込みで3563万185円。このド派手な見た目と音なので、注目の的になる 第9位「ランボルギーニ ウラカン」試乗車は特別仕様車のウラカンEVOフルオカプセル。価格は税込みで3563万185円。このド派手な見た目と音なので、注目の的になる

――ラスト10位は?

渡辺 トヨタのアルファード&ヴェルファイア。最上級のヴェルファイアエグゼクティブラウンジの価格は892万円で、やりすぎ価格ですが、モーレツに売れており納期はすでに1年以上! 販売会社によっては発売直後に受注を止めています。再開時期は不明で、納期もやりすぎです。

第10位「トヨタ アルファード」「トヨタ ヴェルファイア」6月21日、トヨタはフラッグシップミニバン・アルファード(540万円~)とヴェルファイア(655万円~)の新型を発売。販売店からは「完売」の声が乱れ飛ぶ、爆売れ状態 第10位「トヨタ アルファード」「トヨタ ヴェルファイア」6月21日、トヨタはフラッグシップミニバン・アルファード(540万円~)とヴェルファイア(655万円~)の新型を発売。販売店からは「完売」の声が乱れ飛ぶ、爆売れ状態

●渡辺陽一郎(わたなべ・よういちろう)
カーライフジャーナリスト。自動車専門誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長を10年務める。"クルマ購入の神様"。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員