5月18日にホンダが発売した新型「CL250」の販売がすこぶる好調だという。そこで、モーターサイクルジャーナリストの青木タカオ氏がCL250の試乗会に特攻! 公道試乗をブチカマして徹底チェックした。その人気の秘密と実力をドバッと一挙大放出!
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■30代以下の若者が熱狂!
ホンダが5月18日に発売したニューモデル「CL250」が売れに売れている。ホンダモーターサイクルジャパンによれば、国内の年間販売計画台数は7000台だが、すでにその半分となる3500台ものオーダーがわずか1ヵ月で入ったそうな。しかも見逃せないのが、30代以下の若いライダーたちから熱い支持を受けているという点だ。
日本自動車工業会の二輪車市場動向調査報告書によると、昨今の二輪車ユーザーはバブル景気と重なる1980~90年代のバイクブームを経験した中高年が大半を占めており、定年退職後に再び乗り出すリターンライダーの姿も目立つ。
つまり、現在のオートバイ人気を支えているのは主にオジサマ世代だが、新登場のCL250はバイクやクルマへの憧れや関心度が低いといわれる若い世代に人気なのだ。CL250の開発責任者代行の小数賀 巧(こすが・たくみ)氏はこう胸を張る。
「これからのバイク文化の担い手となる若者に焦点を当て、自由で楽しい移動の喜びを提供すべく開発しました」
百聞は一見にしかずということで、アオキはCL250を公道に引っ張り出した。まず目を引いたのはシンプルなスタイル。派手な装飾はなく、ボディカラーもオレンジ、グレー、ホワイトの単色が設定されるのみ。
ちなみにアップマフラーやフォークブーツ(フロントフォークにつく蛇腹状の部品)、タンクパッドといった特徴的な装備は、オンロードバイクをオフロードも走れるようにカスタムした1960年代の〝スクランブラースタイル〟をオマージュしたもの。
機能性を重視した部分も若年層の好みにハマったらしい。正直言って、性能的には特筆すべきスペックはない。単気筒エンジンの最高出力も24馬力だ。
しかし実際に乗ってみると、日常の街乗りをメインに、休日の郊外へのツーリングに使うには十分すぎる動力性能を持つ。一般道で多用する低中回転域でトルクを発揮する扱いやすいエンジンに加え、重量が172㎏しかない車体は実に扱いやすい。都会からワインディングまで軽快に駆け抜けることができる。
高速道路もクルマの流れに乗って巡航できるのはもちろん、DOHC4バルブらしく高回転域で粘り強くパワーを絞り出し、追い越しでの加速ももたつくことがない。
また、グリップ位置の高いアップハンドルやストローク量に余裕を持たせたサスペンションのおかげで視線が高く、混雑した市街地でも遠くまで見渡せ、目からの情報が得やすい。前かがみで乗るレーシングタイプやヘビー級の大型車より小回りが利き、操作もイージーだ。
また、セミブロックタイヤを履いているので、荒れた路面もお構いなしに走破できる。キャンプ場などで未舗装路を走ることになっても躊躇(ちゅうちょ)せずにガンガン進めてしまう。
そんなCL250のライバルは5年連続で軽二輪セールストップを誇るホンダのレブル250。しかも、この2台は同じエンジンを搭載する。好みの問題はあるが、ガチで比較すると、足つき性に関しては、CL250のシートが10㎝高く、レブル250に軍配が上がる。
さらにCL250の弱点を挙げると、在庫数に触れないわけにはいかない。ぶっちゃけ、早い者勝ちの世界。欲しい人は販売店に急ぐべし!
●青木タカオ
モーターサイクルジャーナリスト。著書に『図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み[第4版]』(秀和システム)など。『ウィズハーレー』(内外出版社)編集長。YouTubeチャンネル『バイクライター青木タカオ【~取材現場から】』を運営