新型EVコンセプト ランボルギーニ ランザドール ランボルギーニ史上初となるEV「ランザドール」。あくまでコンセプトモデルとのことだが、いつ市販されてもおかしくない仕上がりである 新型EVコンセプト ランボルギーニ ランザドール ランボルギーニ史上初となるEV「ランザドール」。あくまでコンセプトモデルとのことだが、いつ市販されてもおかしくない仕上がりである

今年、創業から60周年を迎えたランボルギーニは、次世代に向け電動化へと大きくかじを切っている。そして、8月にはド派手なEVをご開帳! いったいどんなクルマ? 発売時期は? カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎(わたなべ・よういちろう)氏が濃厚解説する。

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■試作EVのモチーフは〝宇宙船〟

――昨年、過去最高の売り上げを叩き出したランボルギーニ(以下、ランボ)。まさに黄金期到来という感じですが、実は今年創業60年を迎えたんスね?

渡辺 はい。1963年にランボの初号機となる350GTVを発表し、ファンらの度肝を抜きました。その後、350GT、ミウラ、カウンタックなど数々の名車を矢継ぎ早に誕生させて一世を風靡、世界中にスーパーカーブームを巻き起こしました。

――そんなランボが8月18日(現地時間)に60年の歴史で初となるEV(電気自動車)のコンセプトモデルを初公開して大きな話題を呼びました。

渡辺 ランザドールですね。

――このクルマはSUV?

渡辺 ランボ得意のスーパーカーと、現在ランボの屋台骨を支えているSUVのウルスを融合させた、ランボいわく、〝ウルトラGT〟です。デザインのモチーフは宇宙船という4人乗りになります。

――ウ、ウルトラGT!

渡辺 ランボらしく、スペックもスゴいですよ。前後輪2基の高出力電気モーターを搭載し、システム全体で1MW(メガワット)、つまり、1000kWを誇ります。これを馬力に換算すると約1360馬力になりますね。

未来的な内装で目を引くのはふたつのディスプレーと、Y字のセンターコンソール。内装は地球環境に優しい素材を使用 未来的な内装で目を引くのはふたつのディスプレーと、Y字のセンターコンソール。内装は地球環境に優しい素材を使用

――約1360馬力! もはや空を飛びそうですが、ちゃんと曲がるんスか?

渡辺 ランザドールは、前後にモーターを搭載するフルタイム電動4輪駆動車です。実はモーターというのは、エンジンに比べて動力性能の増減を機敏に行なえる利点があるんですね。この電子制御により車両の挙動はコントロールしやすくなる。

また全幅も約2mとワイドで、走行安定性を向上させやすいボディスタイルになっています。走行安定性に問題はありません。

――1回の充電で走行できる航続距離などは?

渡辺 このランザドールはコンセプトモデルです。航続距離を含めたスペックは公開されていません。ただし、ランボはすでに「量産EVを2028年にデビューさせる」と宣言しています。

――なるほど。ちなみに約1360馬力のEVってエコ?

渡辺 細かなスペックが公開されていないので、あくまでも推測ですが、約1360馬力のパワーをフルに引き出すような加速を繰り返せば、当然、電力消費量も増えます。言うまでもなく、エコロジーとは逆行しますよね。

■ランボの原点は〝トラクター〟

――もともとランボルギーニはトラクターを造っていたんスよね?

渡辺 ええ。元イタリア軍人のフェルッチオ・ランボルギーニは、トラクターの製造と販売を手がける実業家でした。その事業が成功し、さらに言うと、彼は生粋のクルマ好きでもあった。

富を得た人に多いパターンですが、フェルッチオ・ランボルギーニはフェラーリを買い求めます。ところが、快適性、整備性、耐久性などに不満を抱き、一念発起したわけです。

――ほお!

渡辺 まず、先にも話した350GTVというコンセプトモデルを発表し、次いで量産タイプで居住性や実用性を向上させた350GTを造った。この350GTの製作はクルマの車体などを手がけるカロッツェリア・トゥーリングです。

――要はフェルッチオ・ランボルギーニがフェラーリに乗っていたから、スーパーカーを手がけるようになったと?

渡辺 これは一説なのですが、フェルッチオ・ランボルギーニは前述のとおりフェラーリの商品力に不満を持ち、フェラーリを訪ね文句を言おうとしたらしい。ところがフェラーリは取り合わず、彼は門前払いを食い、「だったら、自分で造ろう」と。まぁ、彼には造れる自信と勝算があったんでしょうね。

――では、最後に次の60年に向かうランボの未来を大予想してください!

渡辺 ランボは今年、V型12気筒エンジンに3個のモーターを組み合わせたPHEV(プラグインハイブリッド)のレヴエルトも発表しています。今後は他社同様、電動化の方向に向かいますが、クルマ造りの方向性が大きく変わることはありません。

――どういうこと?

渡辺 ランボは抜群にカッコ良くて速く、フェラーリを含めたほかのどのブランドよりもド派手に目立つ。そこにランボの存在価値があるわけです。誰からも「スゴい!」と思わせなければ、ランボではありません。

今後の電動化時代を生き残るには、パワートレインを変革しながら、いかにそのブランド固有の価値を保てるか。そこが重要になると思います。これはランボに限らず、日本の自動車メーカーにも当てはまる話ですね。

■ランボルギーニ「伝説の名車たち」

ランボルギーニ 350GTV 
ランボルギーニが初めて造ったスポーツカーが「350GTVプロトタイプ」。

ランボルギーニ 350GT 
1964年に120台を生産。搭載エンジンは12気筒の3.5リットル。最高出力は320馬力。

ランボルギーニ ミウラ 
ミッドにV12エンジンを積む2シーター。最高出力は350馬力。1966年に登場。

ランボルギーニ カウンタック 
伝説のスーパーカーの登場は1974年。4リットルのV12エンジンは375馬力を誇る!

●渡辺陽一郎(わたなべ・よういちろう) 
カーライフジャーナリスト。自動車専門誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長を10年務めた"クルマ購入の神様"。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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