2023年も数多くのニュースが飛び出したクルマ業界。そこで、週プレ自動車班が取材したニュースをガチ厳選し、ランキング形式で発表。舞台裏なども大放出するぞ。まずは10位から紹介しよう!!
■10位から4位までを一気にカウントダウン!
デスク 今回は2023年に週プレ自動車班が注目した「クルマ業界のニュース」をベスト10形式で紹介するんだよね?
記者 はい。先に断っておくと、週プレ自動車班が取材を基に選んだ順位なのであしからず。
デスク それでは10位からどうぞ!
記者 師走のニッポンに激震が走った「ダイハツ不正問題」です。
デスク 国土交通省がダイハツ工業の本社(大阪府池田市)に立ち入り検査を行なったね。
記者 はい。国内にあるダイハツの全工場が停止する事態になっています。取り引き先や地域経済への致命的ダメージを危惧する声も広がっています。
記者 ダイハツは国の認証取得で不正を行なっていました。要はインチキをしていたと。
デスク インチキの中身は?
記者 クルマの衝突試験や排ガスや燃費試験などで不正を行なっていました。第三者委員会の調べでは174件もの認証不正が発覚! ちなみに認証不正が行なわれたのは64車種にものぼります。この中にはトヨタ、マツダ、スバルに供給している車種も含まれており、SNSにはダイハツユーザーの「年末にコレは最悪だわ」「オワタ」「販売店から何の説明もないんだけど!」という怒りの声が乱れ飛んでいます。
デスク ダイハツの認証不正はいつから?
記者 30年以上前から続いていました。
デスク 人間の命を託される自動車メーカーが「安全」と「安心」をないがしろにするのは、ユーザーに対する重大な裏切り行為で、言語道断と言わざるを得ないね。クルマ業界の声は拾った?
記者 それが......「リコールみたいなもん」とか「たいした話ではない」という認識を持つ人が多くあぜんとしました。一般社会との認識のズレを強く感じましたね。
デスク ちなみにダイハツがトヨタの完全子会社になったのはいつ?
記者 2016年です。
デスク ダイハツが認証不正に手を染めた初手は?
記者 1989年です。
デスク つまり、ダイハツは34年間もユーザーの安全性を軽んじてきたと。監督官庁である国交省の責任を追及するメディアは?
記者 ほぼ皆無です。
デスク ダイハツの販売最前線の声は?
記者 ディーラーに話を聞くと、「不安を抱える購入者が店に殺到、問い合わせの電話も鳴りっぱなし」とのこと。別の店舗のセールス担当は、「(ダイハツからユーザーに向けた)ロードマップ的なものが何ひとつなく、とにかくお客さまにお詫びするしか手立てがない」と途方に暮れていました。
デスク 購入者はモヤモヤするね。
記者 はい。販売店関係者からも、「あまりにもお客さまを軽んじている」という怒りの声が巻き起こっています。
デスク このダイハツ認証不正問題は引き続き取材を続けてください。続いて9位は脱炭素関連だっけ?
記者 はい。スズキの「牛糞」戦略です。
デスク スゴいのブッ込んできたねぇ。まず牛糞と脱炭素がどうリンクするのか説明してもらえる?
記者 これまでスズキはインドで、「牛糞でクルマを動かす」というCN(カーボンニュートラル)燃料「CNG(Compressed Natural Gas=圧縮バイオメタンガス)」事業に取り組んできました。
記者 スズキのインド市場におけるシェアは約41%(389万台・22年度)。そんなドル箱市場のインドには牛が約3億頭いるとされ、牛10頭の1日の牛糞がクルマ1台の1日の燃料になるそうです。もともとは牛のゲップやふん尿に含まれる温暖化ガスを減らすのが目的です。
デスク 要するに、CNGで牛のゲップやふん尿に含まれる温暖化ガスを相殺するという取り組みであると。牛糞の調達先は?
記者 インドの農家から牛糞を買い取り回収しています。値段は1㎏当たり2円程度ですが、農家にとっては収入源にもなり、農村経済の活性化につながるとのこと。
デスク スズキが一丸となってこのCNGの事業に力を入れている?
記者 スズキの鈴木俊宏社長は、23年秋に開催された「JMS(ジャパンモビリティショー2023)」の会見で、「(各国、各地域により)さまざまな電力事情があるなか、バッテリーEVだけで(脱炭素を)補おうとするのは現実的とは言えません。そんな中、スズキは、CNG車の導入やバイオマス資源の活用にも着目しています。さらにこの事業は、牛糞を取り扱う農村の所得向上など、SDGsにも貢献できると考えています」と胸を張っていました。
記者 東京モーターショーから名前を変えて4年ぶりに開催されたJMSは、東京ビッグサイト(東京都江東区)などを中心に行なわれました。足を運んだのは実に111万2000人。まさに大盛況でした。クルマやバイクだけでなく、関連企業やスタートアップも参加したことで、出展は過去最多となる475社!
デスク そのなかでピカイチだったのは?
記者 マツダの試作スポーツカー「アイコニックSP」です。見た目がとにかくカッコいいと評判でした。しかも、マツダの伝家の宝刀・ロータリーエンジンを発電機として使用。さらにこのエンジンはCN(カーボンニュートラル)燃料で回り、最高出力は370馬力を誇ります。伝説の名車RX‐7を彷彿とさせるサイズ感やリトラクタブルヘッドライトもあり会場もSNSも沸きに沸きました。
デスク 7位はスバル。これはUFO? それともデカいドローン?
記者 JMSでスバルが世界初公開した〝空飛ぶクルマ〟ですね。
デスク スバルは中島飛行機がルーツの会社だから空飛ぶクルマを手がけても違和感ないね。スペックは?
記者 機体は全長6m×全幅4.5mで、スバルがクルマで培った電動技術などの知見がブチ込まれています。
デスク 試乗はした?
記者 試乗はずいぶん先の話かと。ただ、スバルによると、「飛行試験は成功している」とのことです。
デスク 飛んでる写真が見たいね。続く6位は中国EVがニッポン上陸!
記者 2023年1月31日にニッポン上陸を果たしたのが中国BYDです。まず登場したのが世界戦略EV「アットスリー」。価格は440万円で、ドアポケットにはゴム製の弦が装備されています。もちろん、指ではじくと音が出ます。さらに内装に目をやれば筋肉をモチーフにしたインパネが輝きます。
デスク BYDからもう1台国内デビューしていなかった?
記者 ドルフィンですね。内外装はイルカをモチーフにした新感覚EVで、中国ならではの独創的なクルマに仕上がっています。
デスク 23年は中国のEV墓場も話題を呼んだ。
記者 中国はEVを普及させるため製造や購入に補助金をガンガン投入しました。その結果、ピーク時には500社近くのEVメーカーなどが乱立。その生存競争を勝ち抜いたのがBYDです。一方、事業撤退に追い込まれた一部の会社にはEVを処分せずにバックレた連中も......。それがEV墓場誕生のカラクリのようです。
記者 レギュラーガソリンの全国平均価格が15年ぶりに更新され、記録的な価格高騰となりました。
デスク なぜガソリン高騰時代にEVが普及しない?
記者 自販連(日本自動車販売協会連合会)、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)、JAIA(日本自動車輸入組合)の発表を見ると、2023年上半期に国内で販売された新車は245万600台です。その内の約2%がEVでした。国と自治体がタッグを組み、〝EV補助金〟という名の血税をジャブジャブ投入して2%です。
デスク EVってまだ2%とかのレベルなんだ。
記者 しかも、2023年夏は地球沸騰の酷暑にも関わらず、国は東京電力管内の国民に対して節電要請を行ないました。その節電要請の最中も、国や自治体は1回の満充電で一般家庭の7日分の電気を食らうような海外ブランドのデカい高級EVにも補助金を注いでいたわけです。SNSには「この国の電力政策はデタラメすぎる」「これはアカンやつ」というツッコミが入っていました。
デスク ちなみに日本で売れているEVはなに?
記者 パイオニアである日産自慢の軽EV「サクラ」です。ニッポンのEV市場で約4割のシェアを占めています。
記者 漢(おとこ)がたぎる日産のニスモ版が超絶人気で、予約段階で注文が殺到、〝お宝カー〟と化しています。特にエグいのがGT-Rニスモスペシャルエディション。価格2915万円ですが、中古価格は5000万円以上となっています。
デスク 価格高騰の背景は?
記者 転売ヤーが暗躍しているのも事実ですが、生産の規模が需要に対してあまりにも小さいのが原因ですね。プレミアム価格にも程がある中古車相場はしばらく続きそうです。
デスク 残るベスト3は明日発表します!