小田原先生の新しい愛車「キャンパーアルトピアーノ」。ベース車はトヨタのタウンエース。価格は282万6000~351万4320円 小田原先生の新しい愛車「キャンパーアルトピアーノ」。ベース車はトヨタのタウンエース。価格は282万6000~351万4320円
車中泊をしながら日本一周を達成した漫画家の小田原ドラゴン先生が、クルマを買い替えたという。しかも、新しい愛車はダイハツの不正問題で話題となったモデル。そこで、小田原先生を直撃し、アレコレ話を聞いてきた!!

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──愛車ホンダN-VANで全国各地を車中泊で旅し、その体験を描いたセミドキュメント漫画が『今夜は車内でおやすみなさい。』(講談社)です。今年1月に最新巻が発売されましたが、実は相棒ともいえるN-VANを買い替えたそうで?

小田原 これまでの漫画家人生で、僕は腰とか痛くなったことがありません。ところが、N-VANで漫画を描きながら日本一周したら、腰を含めカラダが凝り固まってしまった。

──SNSに金タ●が痛いと書かれていました。アレももしや車中泊のせい?

小田原 金●マが痛いのは昔からですね。

──ぶっちゃけ、大丈夫なんスか?

小田原 担当医からは、「銀座に金タ●の名医がいる。我慢できない痛みが出たら、その名医に紹介状を書くから」と言われているので安心はしています。

新しい愛車や車中泊の魅力などについてたっぷり語ってくれた小田原先生 新しい愛車や車中泊の魅力などについてたっぷり語ってくれた小田原先生
──話を戻すと、要するにN-VANの中で作品を描くのはしんどかったと?

小田原 それで新しく、トヨタモビリティ神奈川オリジナルの「キャンパーアルトピアーノ」を買ったんです。トヨタのタウンエースをベースにしたキャンピングカーですね。

──タウンエースって......型式指定申請における不正行為で注目を集めたダイハツのOEM(相手先ブランドによる生産)供給車じゃないスか。やっぱりモヤモヤしてます?

小田原 そこに関しては、僕はまったく気にしていません。特に不都合もありませんしね。

──新しい愛車の魅力は?

小田原 室内が広いし、シートなどをアレンジすれば、仕事も食事も普通に足を下ろしてできる。N-VANより格段に楽になりましたね。

シートアレンジによって、ご覧のように仕事も食事も普通に足を下ろしてできる シートアレンジによって、ご覧のように仕事も食事も普通に足を下ろしてできる
──なるほど。ズバリ、クルマで旅をする醍醐味って何ですか?

小田原 醍醐味というか、旅に出ると、日常生活では決して起こり得ない、不思議な出来事に遭遇するんですよ。

──例えば?

小田原 僕はこれまでの人生において、少なくとも5000回以上、牛丼屋に通っている。当たり前ですが、そこでは何も起こらない。ただ普通に牛丼を食べ、店を出る。その繰り返しです。ところが車中泊の旅で沖縄に行ったら、深夜の牛丼屋で奇妙な出来事に巻き込まれてしまった。

──詳しく教えてください。

小田原 ふたり組みの泥酔女子に絡まれましてね。たぶん相手は20代前半です。

──どう絡まれたんですか?

小田原 店内に空席はいくらでもあるのに、ふたりの泥酔女子はわざわざ僕の両サイドに陣取ると、腕にへばりついてきたんです。

──ほお!

小田原 そして注文してあったタコライスをスプーンで掬(すく)うと、陽気な感じで僕の口元に運んできた。

──さすがに「いい加減にしなさい」と叱った?

小田原 実は......僕の肘に彼女たちの胸が当たっていたんですね。ここで下手に拒んで、身をよじったりすると、肘から伝わる柔らかな感触を失ってしまう。なので、目の前に差し出されたタコライスが乗ったスプーンをしばし眺め、それから僕は、まるで小鳥のごとく、静かについばみ続けました。

新しいクルマに愛犬ちょんぴーを乗せ、再び全国各地を車中泊で旅するという 新しいクルマに愛犬ちょんぴーを乗せ、再び全国各地を車中泊で旅するという
──えっと、ほかに車中泊の旅で心に残ったのは?

小田原 実は全国各地を車中泊で旅しながら、ファンの方に作品を手売りしていたんです。そこで、うつ病だという男性から、「小田原さんの漫画を読むと、車中泊の旅を疑似体験的に味わえ、リフレッシュできます」という言葉をもらいました。自分の作品が、ほんの少しでも誰かの生きる支えになっているのはうれしかったですし、何よりそれを直接聞けたのが、漫画家である自分にとっては大きな財産になりましたね。

──また、愛犬と一緒に車中泊の旅に出るんですか?

小田原 ちょんぴーを親に預けるとエサをたくさんもらって太ってしまうので(笑)、確定申告が終わったら、またちょんぴーを連れて、ニッポン全国を新しいクルマでウロウロしようかと思っています。

●小田原ドラゴン(Doragon ODAWARA)
漫画家。"残念な男性"を題材にしたギャグ作品多数。『コギャル寿司』で第47回文藝春秋漫画賞受賞。代表作に『おやすみなさい』、ドラマ化された『チェリーナイツ』など