山本シンヤやまもと・しんや
自動車研究家。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ワールド・カー・アワード選考委員。YouTubeチャンネル『自動車研究家 山本シンヤの「現地現物」』を運営。
ドイツの高級車ブランド「ポルシェ」。庶民には高根の花カーと思っていたら、ネットで予約すれば誰でもポルシェに乗れる施設を発見!! てなわけで、自動車研究家の山本シンヤ氏が取材してきたぞ!
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――ドジャース・大谷翔平の〝日替わりポルシェ〟が大きな話題を呼びましたね?
山本 大谷はドイツの高級車メーカー・ポルシェが誇るパナメーラ、カイエン、911タルガ4Sを日替わりで駆って球場入りしました。実は、ポルシェは古くから「日本市場は重要なマーケット」と語っているんですよ。そういう戦略もあって、2022年からポルシェジャパンはスーパースターの大谷翔平とアンバサダー契約を結んでいます。
――ポルシェが本腰を入れている日本市場の販売状況は?
山本 ポルシェが創設75周年を迎えた昨年、日本国内における新規登録台数は過去最高となる8002台(前年比11.2%増)をマーク! ポルシェの価格帯を考えると、販売は絶好調といえます。
――そんな注目の的のポルシェに誰でも乗れるってマジ?
山本 はい。21年に千葉県木更津市に爆誕した「PEC東京(ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京)」で憧れのスポーツカーを気軽に運転できます。ちなみにPEC東京は館山自動車道木更津北インターチェンジから10分ほどの場所にあります。
――ほかの国にもこのポルシェの施設はあるんですか?
山本 日本は世界で9番目の施設となります。設計者はドイツ人建築家のヘルマン・ティルケ氏。日本の富士スピードウェイを筆頭に数々のF1サーキットを設計してきた人物として有名です。
――この施設はサーキット?
山本 違います。文字どおり、さまざまな体験(エクスペリエンス)ができるドライビング施設です。
敷地面積は43haで、メインは1周2.1㎞の「ハンドリングトラック」と呼ばれる周回コース。ドイツのニュルブルクリンク、アメリカのラグナセカ、そして日本の鈴鹿サーキットを参考にしたコーナーで構成されています。ただし、サーキットではないので、抜きつ抜かれつのバトルは禁止。
――ほかにコースは?
山本 スプリンクラーで水をまいて路面を滑りやすくしたドリフトサークル、全開加速を試せるダイナミックエリア、さらに最大傾斜38度のオフロードコースなども用意されており、どれも走り放題!
――そんなPEC東京で乗れるポルシェはどれ?
山本 約40台あり、911シリーズに718、マカン、カイエン、パナメーラ、タイカンなどを豊富に用意。もちろん、911の最高峰となるGT3やGT3RSもありますよ。
――ヤバッ! 料金は?
山本 90分で5万3000円スタートです。
――ヒィー、セレブ価格!
山本 ひとりひとりに専属のインストラクターがレクチャーを行なってくれる上に、体験メニューも個々でアレンジが可能です。しかも、90分みっちり走れる。内容を考えればチョーお得! 予約もスマホから簡単にできます。
――太鼓判を押すと?
山本 僕も実際体験しましたが、リピート確定です(笑)。PEC東京を走るとポルシェを正しく、安全に、そして楽しく理解できると思います。クルマ好きには激推しです。
――施設は試乗のみ?
山本 施設内には地元・木更津市で生産された有機米や食材を使用したこだわりメニューがズラリ並ぶレストランやカフェ、オフィシャルアイテムショップ、運転を体験できるシミュレーター、そしてレーシングマシンなども展示してあります。
また、近隣にはアウトレットモールもあるので、ご家族や恋人同伴でも楽しめます。
――PEC東京の狙いって?
山本 単純明快で、ポルシェファンを増やしたいんです。そのためには誰でもポルシェを体験できる環境が必要になる。だから、PEC東京を建設した。ちなみに土地の取得などを含め、ポルシェジャパンはPEC東京に約50億円を投じたそうです。
――スゴッ!
山本 今、日本でポルシェが人気なのはクルマの魅力はもちろんですが、僕はこういうブランドの取り組みが実を結んでいると思いますね。
自動車研究家。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ワールド・カー・アワード選考委員。YouTubeチャンネル『自動車研究家 山本シンヤの「現地現物」』を運営。