渡辺陽一郎わたなべ・よういちろう
カーライフジャーナリスト。自動車専門誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長を10年務めた"クルマ購入の神様"&"令和のご意見番"。執筆媒体多数。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
世界的に大人気のカテゴリーがSUV。その中でピカイチの存在感を放っているのが、ランドローバー自慢のディフェンダー。噂の最新モデルの実力をカーライフジャーナリストの渡辺陽一郎(わたなべ・よういちろう)氏が特濃解説する。
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――最近、街中でSUVをよく見かけます。
渡辺 ニッポンの新車販売の約30%がSUVですからね。
――ただ、パッと見はどれも似たような外観です。
渡辺 今、ニッポン市場で売れ筋となっているSUVは、乗用車と基本部分を共通化したモデルが多いですからね。というわけで、今回は個性的にも程があるランドローバー・ディフェンダーに試乗しました。極悪路をしっかり走破できる超ド硬派モデルですよ!
――男心をそそる野性的な見た目が超ヤバいスね! どんな歴史を持つクルマですか?
渡辺 ディフェンダーは、1948年に発売されたランドローバーのシリーズⅠ直系の子孫です。ランドローバーのシリーズⅠは、純粋な悪路向けSUVで、シリーズⅢまで進化しました。
その後、1990年に車名をディフェンダーに変更し、現行モデルは2019年に発表された2代目となります。ライバルは約70年の歴史を持つ、トヨタのランドクルーザーですね。
――今回試乗したのはどんなモデルですか?
渡辺 ディフェンダーには、ショートボディの90とロングの110があります。今回試乗したのはショートの90で3ドアボディです。
――令和の今、3ドアのSUVって珍しくないですか?
渡辺 以前はトヨタのランドクルーザープラドや三菱のパジェロに3ドアがありましたが、今では大半が消滅し、ニッポン市場ではスズキのジムニーぐらいですね。
――3ドアのショートボディとのことですが、実車を目の当たりにすると超ド迫力&ダイナマイト!
渡辺 全長は4510㎜に収まりますが、全幅は1995㎜とワイド。車両重量も約2.3tありますからね。
――実際に試乗した感想は?
渡辺 エンジンは直列6気筒3リットルクリーンディーゼルターボに48Ⅴマイルドハイブリッドを組み合わせています。最高出力は300馬力で、時速100キロ到達は6.7秒です。
――スゴッ!
渡辺 最大トルクは、6リットルのガソリンエンジンに匹敵する650Nmを実用域の1500~2500回転で発揮します。従ってアクセルペダルを軽く踏むと即座に速度が出る。ちなみにディーゼルエンジンのノイズはとても小さかったですね。
――確かにガソリンエンジンかと思うくらい静かで、加速もチョー気持ち良かったス! 肝心の悪路走破性は?
渡辺 水深が850~900㎜に達する川も走破できる性能を備えています。
――マジか! スゲェー!
渡辺 ランドローバーブランドは世界100ヵ国で販売されています。当然ですが、過酷な山岳路や密林など、立ち往生すれば生命に危険が及ぶ地域でも使われています。
――ふむふむ。
渡辺 ディフェンダーのデザインと機能は、このような危機的状況に直面しても、確実に自宅に戻れるように開発されています。見た目のカッコ良さを重視するシティ派SUVとの一番の違いですね。
――なるほど。室内をチェックした感想はどうスか?
渡辺 インパネは水平基調の機能的な形状です。これはランドローバーシリーズⅠからの伝統で、デコボコの激しい悪路を走るときでもドライバーがメーターをちゃんと確認できるようにしてあります。
――エアコンなどの各スイッチ類の使い勝手は?
渡辺 とても扱いやすく、その上、質感も高い。
――ズバリ、どんなユーザーに推しますか?
渡辺 機能的には、雪道を含め、悪路を走る機会の多いユーザーですが、街中メインのユーザーも満足できる本格SUVに仕上がっていますよ。
カーライフジャーナリスト。自動車専門誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長を10年務めた"クルマ購入の神様"&"令和のご意見番"。執筆媒体多数。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員