圧倒的なオーラを放つメルセデスAMGの最新SUV。ゴッリゴリのイカチー見た目もあってか、どこを走っても注目の的だった 圧倒的なオーラを放つメルセデスAMGの最新SUV。ゴッリゴリのイカチー見た目もあってか、どこを走っても注目の的だった

長年、男をたぎらせ続けているメルセデスAMG。今、注目を集めているのがGLEクーペの高性能モデルだ。その出来栄えはどうよ? カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が解説する。

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■クーペを名乗るが背は高い!

――今回試乗したクルマは昨年11月にニッポンに上陸した「メルセデスAMG GLE63 S 4マチック+クーペ」というSUVでした。

渡辺 現在、メルセデス・ベンツには電気自動車まで含めると、SUVだけで14車種あります。ただ、SUVの歴史は意外と浅い。軍用車をベースにした現在のGクラスにつながるゲレンデヴァーゲンでも、1979年の登場です。そのほかの大半のSUVは2000年以降に発売されていますね。

――なぜメルセデスのSUVは歴史が浅いんスか?

渡辺 欧州にはアウトバーンもあり、高速走行の機会が日常的に多い。そのため重心の高いクルマは敬遠されていました。ただ、00年頃になると、高重心のSUVでも走行安定性の確保が可能になった。加えて、北米での需要も伸びたので、メルセデスはSUVに本腰を入れたわけです。

メルセデスAMG GLE63 S 4マチック+クーペ 価格:2420万円 AMGはフロントグリルが縦方向の格子状に。オラオラ系ミニバンもはだしで逃げ出す、無双フェイスに仕上がっている メルセデスAMG GLE63 S 4マチック+クーペ 価格:2420万円 AMGはフロントグリルが縦方向の格子状に。オラオラ系ミニバンもはだしで逃げ出す、無双フェイスに仕上がっている

――なるほど。今回試乗したのはどんなモデルですか?

渡辺 GLEは、メルセデス・ベンツのセダン&ワゴンでいえば、Eクラスに相当する上級車種です。標準ボディも選べますが、今回試乗したのはリヤゲートを寝かせたクーペ。ちなみにGLEクーペは20年に現行2代目にフルチェン。23年9月に改良を受けて対話型インフォテインメントシステムなどを採用しました。

――ちなみに男の憧れであるAMGっていつ創設スか?

渡辺 AMGは、メルセデス・ベンツの伝統を受け継ぐスポーツブランドで、1967年に創設されました。モータースポーツを支えるブランドで、今ではメルセデス・ベンツのさまざまな車種にグレードの一種としてAMGが用意されています。

車重は2480㎏! この威風堂々とした爆裂ボディのトランスミッションは9速AT 車重は2480㎏! この威風堂々とした爆裂ボディのトランスミッションは9速AT

――実車を目の当たりにして、そのオーラや圧にビビりました!

渡辺 全長は4960㎜、全幅は2020㎜だから2mを超えます。クーペを名乗りますが、全高も1715㎜と背が高い。まぁ、存在感に関してはピカイチのクルマですよ。

アクセルを踏むとスポーツカー顔負けのウルトラ加速を披露。最高出力612馬力に偽りナシ! アクセルを踏むとスポーツカー顔負けのウルトラ加速を披露。最高出力612馬力に偽りナシ!

――エンジンは?

渡辺 V型8気筒4リットルのガソリンターボで、マイルドハイブリッドを装着しています。最高出力は612馬力、最大トルクは850Nmで、自然吸気のガソリンエンジンでいうと8リットルの排気量に相当します。

マフラーは問答無用の4本出し。男心を刺激するエキサイティングな音がタマらない マフラーは問答無用の4本出し。男心を刺激するエキサイティングな音がタマらない

――エグッ! 実際乗ると?

渡辺 アクセルペダルを半分ほど踏み込んだだけで、モーレツな加速を開始します。試しに高速道路の合流でアクセルペダルをフルに踏んだら、ボディの前側が持ち上がるような激しい加速が始まり、怖くなってすぐにアクセルペダルを戻しました(苦笑)。

――鬼加速!

渡辺 ただ、全高が1.7mを超えるボディに、この動力性能ですから、走行安定性とのバランスが難しく、足回りの設定や乗り心地は、かなり硬い。

古典的なスポーツカー風にガッチリと仕上げたため、細かな路面のデコボコを伝えやすい。タイヤが路上を細かく跳ねる粗さは抑えましたが、段差の乗り越えでは相応の突き上げがあります。

近未来感ハンパないインフォテインメントシステムは標準装備。豪華な室内は至れり尽くせり 近未来感ハンパないインフォテインメントシステムは標準装備。豪華な室内は至れり尽くせり

――しかも、このモデルは左ハンドル専用車です。

渡辺 視線が高く、全幅も2mを超えるため、右側の死角が大きい。特に狭い裏道や駐車場では、乗降時を含めて気を使いましたね。

――どんな人に推します?

渡辺 一番似合うユーザーは、個性的なクルマに乗りたい人ですね。このクルマなら黙っていても目立ちますよ。

――購入時の注意点は?

渡辺 かなり個性的な外観で、価格も高い。購入を検討する場合は家族などと一緒に見ること。そして試乗を入念に行ない、乗り心地、狭い場所での取り回し性、駐車場でのドアの開閉性や乗降性など、実用性を確認すべし!

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