日本上陸は昨年6月。ご覧のように見た目は個性大爆発系。ちなみにプジョーはこのモデルを「解き放たれた、新種」とアナウンスしている 日本上陸は昨年6月。ご覧のように見た目は個性大爆発系。ちなみにプジョーはこのモデルを「解き放たれた、新種」とアナウンスしている

自動車メーカーとして長い歴史を持つ仏プジョー。電動化にも意欲的で実はEVにマイルドハイブリッド、そして今回試乗したプラグインハイブリッドまで用意している。その出来は? 試乗したカーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が特濃解説する。

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■試乗したPHEVは1.6リットルターボ+モーター

――今回試乗したのはプジョーです。ただ、名前は知っていてもクルマがパッと思い浮かばない人も多いかと。どんな自動車メーカーなんスか?

渡辺 プジョーの歴史は古く、フランスの製鉄業からスタートし、1889年に蒸気機関で走る三輪車を発表しました。20世紀に自動車生産を本格化させ、1974年にシトロエンと合併しています。21年にはフィアット・クライスラーとも合併し、現在は欧州自動車大手ステランティスのブランドのひとつです。

――クルマ造りの特徴は?

渡辺 フランスで生まれた自動車メーカーではプジョー、シトロエン、ルノーが有名です。この中でプジョーは欧州全体で売れ行きを伸ばすことを視野に入れており、近年は売れ筋であるドイツ車に近い商品開発を行なっています。

プジョー 408GTハイブリッド 価格:641万6000円 ヘッドライトの両端から真下に走るLED式デイタイムランニングランプは、ライオンの牙をモチーフにしているという プジョー 408GTハイブリッド 価格:641万6000円 ヘッドライトの両端から真下に走るLED式デイタイムランニングランプは、ライオンの牙をモチーフにしているという

――今回試乗したプジョーは408GTハイブリッド。外観は個性的な仕上がりというか......クセが強い感じです。

渡辺 5ドアボディですが、リアゲートを寝かせて外観をクーペ風に仕上げました。全長は4700㎜、全幅は1850㎜と少し大柄です。ただし、最低地上高は170㎜を確保しているので、道のデコボコも乗り越えやすい。

――ちなみに、このクルマはハイブリッド車なんスか?

渡辺 正確にはPHEV(プラグインハイブリッド車)です。1回の充電で走行できる距離はWLTCモードで66㎞と短いですが、近所の買い物程度ならエンジンを使わず、EV走行で賄えてしまう。

66㎞のEV走行が可能(WLTCモード)。普通充電のみに対応。満充電の所要時間は約2時間30分 66㎞のEV走行が可能(WLTCモード)。普通充電のみに対応。満充電の所要時間は約2時間30分

――つまり、エコカー的な走りのクルマであると?

渡辺 そう思いますよね? しかし、今回乗った408GTハイブリッドは4気筒1.6リットルターボ+モーター駆動です。システムの最高出力は225馬力で、最大トルクは360Nm。ガソリンエンジンだと、4リットルモデルに匹敵します。

おフランスカーらしく、実に前衛的な仕上がりとなっているコックピット。ちなみにメーターは3Dのフルデジタル おフランスカーらしく、実に前衛的な仕上がりとなっているコックピット。ちなみにメーターは3Dのフルデジタル

――確かに加速は痛快で、しかもチョー静かでした。ちなみに内装も個性的です。

渡辺 逆に言うと、デザインを優先させた内装です。事実、メーターが高い位置に装着されており、ステアリングホイール(ハンドル)の上側から見るため、運転姿勢によってはメーターの視認性が下がる。

また、ステアリングホイールの形状も楕円形で、ユーザーによっては違和感を抱くかも。内装のデザインは輸入車の中でも特に個性的なので、購入時は要チェック!

――最大の魅力はどこです?

渡辺 快適性です。シートはいかにもプジョーらしく、前後席共に腰をしっかりと支えます。そこに快適な乗り心地も加わるので、長距離を移動しても疲れにくい。

バックドアは跳ね上げ式で、いわゆるセダンではない。クーペ風のクロスオーバーSUVである バックドアは跳ね上げ式で、いわゆるセダンではない。クーペ風のクロスオーバーSUVである

――気になった点は?

渡辺 全幅がワイドで、斜め後方の視界も良くない。購入時には縦列駐車などを試したほうがいいでしょう。

――お値段をどう見ます?

渡辺 641万6000円と値は張りますが、PHEV車なので補助金や減税が適用されます。まずは販売店で具体的な金額を確認するべし!

――リセールバリューは?

渡辺 デザインが個性的で、魅力が少々わかりにくいため、数年後に売却するときの条件は特に良くありません。ただし、個性的な内外装を気に入れば長く付き合える一台です。優れた乗り心地と走行安定性の両立はプジョーならではで、日本車ではなかなか味わえません。

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