渡辺陽一郎わたなべ・よういちろう
カーライフジャーナリスト。自動車専門誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長を10年務めた"クルマ購入の神様"&"令和のご意見番"。執筆媒体多数。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
昨年12月に日本デビューを飾ったメルセデスAMGのワゴンの走りがハンパないと話題だ。その実力を試すべく、カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が公道試乗をブチカマし、アチコチ徹底チェックした!!
* * *
――メルセデス・ベンツにはセレブカーのイメージがありますが、スポーツカー的なド迫力モデルも見かけます。
渡辺 その代表がAMG。AMGは1967年に創設されたメルセデス・ベンツのスポーツブランドです。現在はあらゆる車種にAMGの名を冠しています。
――今回試乗した車種は?
渡辺 メルセデスAMGのC63SEパフォーマンスステーションワゴン。ちなみに日本市場におけるメルセデス・ベンツの売れ行きは、フォルクスワーゲンやBMWを上回り輸入車トップです。現在、正規輸入車市場に占めるシェアは20%超! 日本市場では9年連続で輸入車首位に輝いています。
――問答無用の絶対王者!
渡辺 そんなメルセデス・ベンツの中で、売れに売れている車種がCクラスです。実は今回試乗したモデルのベースになっているのが、メルセデス・ベンツの売れ筋であるCクラスのワゴンなんです。
――ボディサイズは?
渡辺 全長4835㎜で、全幅は1900㎜に達します。現在のCクラスというのは、以前のEクラス並みに室内が広い。後席も実に快適です。加えてワゴンなので荷物も積みやすく非常に実用的です。
――パワーユニットは?
渡辺 直列4気筒2リットルターボに、充電可能なPHEV(プラグインハイブリッド)を採用しています。
――EV走行できる距離は?
渡辺 WLTCモードで15㎞です。
――一般的なPHEVだと100㎞前後のEV走行が可能ですよね?
渡辺 確かに航続距離は短いのですが、その代わり今回試乗したモデルのバッテリーは、メルセデスAMGがF1で磨き抜いた最新技術が注入されているんです。要するにメルセデスAMG流のPHEVです。
何しろエンジンとモーターの相乗効果によるシステム最高出力は680馬力、システム最大トルクも1020Nmを誇ります。
――怪物スペック! おっとりしたエコカーではないと。
渡辺 発進直後はモーター、その後はターボの相乗効果によりアクセルペダルを深く踏むと速度は急上昇! 試乗時は怖くなり、アクセルペダルを慌てて戻したほど。メーカーによると、停車時から時速100キロまでの加速タイムは3.4秒。ランボルギーニなどのスーパースポーツカーと同等の数字です。
――鬼の爆速ワゴン!
渡辺 この高い動力性能に合わせ、直進安定性などもシッカリ磨き抜かれています。また、ステアリング操作に対する反応も鋭く、四駆なのでカーブも正確に曲がっていく。
――乗り心地はどうです?
渡辺 動力性能が際立って高いスポーツモデルなので、ショックアブソーバーの減衰力を最も快適なコンフォートモードに調節しても、かなりの突き上げ感があります。
――試乗を終えての感想は?
渡辺 昔の日産スカイライン2000GTやGT-Rは、〝羊の皮を被った狼〟と呼ばれていました。その理由は一般的なファミリーセダンなのに、スポーツカー顔負けの獰猛な性能が与えられていたからです。
今回試乗したモデルも実用的なワゴンなのに途方もない動力性能を誇っていた。まさに令和に登場した〝羊の皮を被った狼〟という感じのクルマでしたね。
――ライバル車は?
渡辺 アウディRS4などがありますが、動力性能は今回試乗したメルセデスAMGのほうが高いです。
――購入時の注意点は?
渡辺 正直、昭和の時代を思い出させる超ド硬派なスポーツワゴンです。購入を検討するなら入念に試乗すべし!
5月29日、メルセデス・ベンツ日本はEVの特別限定車「EQE350+エレクトリックアート」の予約受注を開始したと発表。スマホに対応したデジタルキーを標準装備し、開錠や施錠、始動が可能に。さらにヒートポンプを標準装備することで消費電力を削減。
電圧バッテリーには10年または25万㎞以内での保証がつく。30台限定のモデルで、デリバリーは6月以降。気になるお値段は1040万~1169万9000円。
カーライフジャーナリスト。自動車専門誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長を10年務めた"クルマ購入の神様"&"令和のご意見番"。執筆媒体多数。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員