■EV推しメディアが触れない〝不都合な電気の真実〟
長年、トヨタに〝言論リンチ〟をくわえてきたEV推しメディア。具体的には「トヨタはEVシフトに乗り遅れた」「EV周回遅れのトヨタに未来はない」「ハイブリッドはエコカーと呼べない」「EV時代にエンジンやハイブリッドはオワコン」「自動車業界の新王者はテスラだ」というような妄言や暴言を繰り返し浴びせ、負のレッテルを貼ってきた。だが、EV推しメディアの妄想とリアルワールドには大きな隔たりがある。
昨年トヨタは4年連続で世界新車販売トップに輝き、過去最高益もマーク。オマケにオワコン扱いされてきたハイブリッドは欧米で売れに売れている。実は〝ハイブリッドシフト〟も急ピッチで進んでおり、7月9日には世界新車販売4位の欧米自動車大手のステランティスが26年までに36のハイブリッド車の投入を発表した。
一方、推しがゴリ押ししてきたEVはというと、ご存じのように逆風が吹き荒れている。これまで崇め奉ってきたEV専売の米テスラは販売低迷にもがき苦しみ、EV大国の中国も増殖を続ける〝EV墓場〟の対応に苦慮......。
つまり、長きにわたってEV推しメディアは大ウソを垂れ流してきたわけだが、平然と国の太鼓持ちができる連中なので反省などするわけもなく、安定の〝陰湿論点ずらし〟で性懲りもなくトヨタに因縁をつけて大騒ぎしている。しかも、「EV普及は既定路線だ!」とか「将来的には必ず自動車のEV化が進むんだぞ!」などと喚き散らす狂乱ぶりだ。
ロシアによるウクライナ侵略を例に出すまでもなく、現代は何が起こるか予測不能な、いわゆる「VUCA(ブーカ)」の時代と言われて久しい。そんな先を見通せない時代に〝既定路線〟とか〝将来的には必ず〟という言葉ほどキナ臭く、いかがわしいものはない。
話が長くなってしまったが、なぜEV推しメディアはトヨタにまとわりつき、カスハラ的に罵詈雑言を浴びせ続けているのか?
実はEV推しメディアは、PHEV(プラグインハイブリッド)を〝EV(電気自動車)〟としてカウントする身勝手の極意を持つ。だが、ザックリ言うと、PHEVは充電機能の付いたハイブリッド車である。
前述のとおり、これまでEV推しメディアはトヨタに対し、「ハイブリッドはエコカーではない」とか「ハイブリッドはオワコン」などと負のレッテルを貼り続けてきた。なのに、充電機能を搭載したらEVと同格となる。奇妙奇天烈な話だ。
その背景にはいったい何が? 答えは簡単だ。電気を使うクルマが増えれば、高笑いが止まらない連中がいるという話だ。そして、脱炭素の皮を被り、ステルス支援を続けてきたのがEV推しメディアである。だから、電気を使わない脱炭素カーは一切認めないし、〝巨人トヨタ〟の全方位戦略を是が非でも変えたいのだ。つまり、EV推しメディアの化けの皮を剥がすと、そこに現れるのは「電気推しメディア」の顔なのである。
10年に1度の殺人的な酷暑により、7月8日、東京電力管内では冷房の使用が爆増、電力需給が逼迫する事態に陥った。つまり、ニッポンは電力不足の懸念があるのだ。ちなみにEVは1回の満充電で一般家庭の2~7日分の電力を必要とする。国はそんな電力不足の懸念と物価高騰に悲鳴をあげる庶民をガン無視し、今も1291億円のEV補助金を垂れ流している。そもそも高額なEVを購入できる富裕層に補助金が本当に必要か甚だ疑問だし、EVを購入しない国民に恩恵は一切ない。普通に考えて不公平だ。
さらに言うと、大手電力会社8社が庶民踏みつけの値上げなどにより過去最高益を叩き出し、ウホウホ状態の事実も完全スルーしている。当然、7月24日に経済産業省が新たな原発や脱炭素の発電所などの建設を進めるため、その建設費などを電気料金に上乗せする制度を検討中との報道が出ているが、これもガン無視確定だろう。
なぜなら、EV推しメディアはこの手の〝不都合な電気の真実〟に関しては、知らぬ存ぜぬでダンマリを決め込むからだ。控えめに言ってデタラメの極みである。
EV推しメディアのトヨタ叩きを見ていると、「国の言うことは絶対に正しい」「国は失敗しない」という香ばしい前提が漂ってくる。しかしだ。本当に国は失敗しないのか? 「原発は安全」と言い張ってきたのはどこの誰だったか。EVを隠れみのに国とメディアがまたぞろタッグを組んで、〝いつか来た道〟に突き進んでいる気がしてならない。
間もなく終戦から79回目の8月15日を迎えるが、トヨタへの「カスハラ的妄言」は終わりそうにない。