写真は車両火災のイメージだが、酷暑ニッポンでは全ドライバーに車両火災のリスクが迫っているという。それはいったい? 写真は車両火災のイメージだが、酷暑ニッポンでは全ドライバーに車両火災のリスクが迫っているという。それはいったい?

8月下旬のゲリラ豪雨により都内では冠水した場所で水没するクルマが相次いだが、近年異常気象によるトラブルに巻き込まれるクルマが目立つ。何か対策は? というわけで、取材のじゅうたん爆撃を展開してみた。

■酷暑の車内に置き忘れ絶対NGのアレ

今年5月、長野県でモバイルバッテリーが出火原因とみられる車両火災が2件起きた。2台とも日中の駐車場の車内にモバイルバッテリーを置いたまま、ドライバーがその場を離れて出火したという。

東京消防庁によるとモバイルバッテリーなど、リチウムイオン電池が関連した火災が激増中だ。実は東京都内では今年1~6月に前年同期比35.4%増となる107件もの火災が発生し、過去最悪のペースとなっているのだ。

そもそもリチウムイオン電池は可燃性の有機溶剤(電解液)を使用しているため、強い衝撃や高温に弱い。専門家によれば殺人的酷暑の炎天下に長時間駐車すると、車内の温度は50℃を軽く突破。この車内の熱の影響でリチウムイオン電池を搭載した製品は破裂・発火する恐れが......。

特に駐車場などでは他人のクルマを巻き込み、大規模火災に発展するリスクがあるので要注意。

また、ライターやスプレー缶などを酷暑の車内に放置するのもヤバいという。車内温度の上昇が起因となり爆発し、クルマに引火する可能性があるからだ。クルマから降りる際は、車内にこれらの置き忘れがないか確認すべし!

さらに酷暑ニッポンで全ドライバーがチェックすべきなのがタイヤの空気圧だという。都内の整備士はこう語る。

「当たり前の話ですが、殺人的酷暑の影響で路面温度も上昇しています。そんな高温の路面を空気圧が適切でなかったり、タイヤの溝が減った状態で走行すると、路面とタイヤの接触する面が増えてしまう。

さらに言うと、高温の路面との摩擦によりゴム製であるタイヤの負担はほかのシーズンよりもグッと増す。特に劣化したタイヤはこの熱の影響で亀裂が入ったり、空気漏れやバースト(破裂)の危険性が高まります」

クルマのパーツの中でただひとつ路面と接触するのがタイヤ。そんなタイヤが酷暑によりダメージを受けているという...... クルマのパーツの中でただひとつ路面と接触するのがタイヤ。そんなタイヤが酷暑によりダメージを受けているという......

確かに真夏の国道や高速道路の路肩にはバーストしたクルマをよく見かける。タイヤのトラブルを回避する方法はないものか? 

「運転前にタイヤの空気圧や溝などを必ず確認する。できれば常日頃からディーラー、カーショップ、ガソリンスタンドなどで小まめにタイヤの点検や整備を行ないましょう」

タイヤのチェックポイントはどこか?

「繰り返しになりますが、タイヤはゴム製品なので徐々に劣化していきます。おおよそ新品から3年が経過したあたりから硬化が始まります。加えてタイヤは紫外線などの影響も受けてしまう。

その結果、新品のタイヤが持つ、いわゆる柔軟性は年々薄れていく。タイヤの側面に亀裂やひび割れなどを見つけたら即ディーラーやカーショップなどに相談してください。

劣化したタイヤは燃費にも影響が出ますし、タイヤが原因の事故で他車を巻き込んだら人生を棒に振る可能性もあります。それを防げるタイヤ交換は安い買い物だと思いますよ」

■冠水した道路を見たらどうすべきか

近年、ゲリラ豪雨や洪水により身動きが取れなくなったクルマが水没するシーンをテレビやネット動画などで目にする。実は、週プレも何度かゲリラ豪雨に遭遇している。ゲリラ豪雨が恐ろしいのは瞬く間に低い場所にある道路が、まるで川のような姿となり、道路の冠水や浸水被害が相次ぐこと。

今回の取材で多くの専門家やクルマ関係者が口を酸っぱくして語っていたのは《大雨や台風が予想される場合はクルマを運転しない》。それはなぜか? 理由は簡単で、冠水や浸水した道路をクルマで走ると、ブレーキの効きが著しく悪くなる。

クルマが水に漬かると、電気系統が作動しなくなり窓が開かなくなる。そしてエンジンも停止し、最悪の場合、クルマが水没する可能性も......。

とはいえ、運転中にゲリラ豪雨に遭遇した場合はどうすればいいのか。複数の専門家によると、そのときは、まず視界を確保できるかどうかを冷静に見極めるのが重要なのだという。

具体的にはワイパーだ。ワイパーを最速スピードにしても視界が確保できない場合は、慌てずに急ハンドルや急ブレーキを避けながら道路の左側に即停止させる(ハザードランプを使用)。フツーに考えて前が全然見えていないのに走り続けるのは危なすぎる。

一方、視界は保てているものの、前方に冠水場所がある場合はどうすればいいのか? JAF(日本自動車連盟)が行なった冠水路での自動車走行テストによると、水深30㎝では走行できているが、同じ水深でも速度が速くなると巻き上げる水の量が多くなり、エンジンに水が入りやすくなっていた。

速度を落とせばある程度まで走行できる可能性はあるが、ほかの要因でエンジンが止まるケースも......。

JAFによる冠水路での自動車走行テスト。水深60㎝の時速10キロのテスト。途中でエンジンが停止してしまった(画像提供/JAF) JAFによる冠水路での自動車走行テスト。水深60㎝の時速10キロのテスト。途中でエンジンが停止してしまった(画像提供/JAF)

ただ、リアルワールドでの冠水路は水の深さも水の中がどうなっているのかもドライバーは把握できない。要は高をくくって冠水路に進入したものの、想定外に深い場合だってありえるのだ。なので、JAFはドライバーにこう注意喚起を促している。

「運転中に大雨に遭遇した際は、川沿いや海岸沿い、高架下や立体交差のアンダーパス(周辺より地面などが低い道路)など周囲より低い場所には絶対に進入せず、迂回しましょう」 

今、ニッポンではクルマを運転中、異常気象による災害に巻き込まれる確率がグングン上がっている。もはや人ごとではない。オートバックスセブンにクルマに常備しておきたい異常気象対策カーグッズを聞いてまとめたので、ぜひチェックしてほしい!

オートバックスセブンに聞いた!
備えておきたい!! クルマの異常気象対策グッズ5選

■酷暑対策

カシムラ「ジャンプスターター KD151」実勢価格 7480円 
「夏はバッテリーが上がりやすいため、バッテリー上がりの際のエンジン始動に必須。モバイルバッテリーとしても使えるため、緊急時のスマホなどの充電に便利」(オートバックスセブン広報・IR部)

カシムラ「ジャンプスターター KD151」 カシムラ「ジャンプスターター KD151」

クレトム「断熱・光消臭シェードプラス」(SA390-SA393)実勢価格 1480~2280円 
「2層の生地でしっかり断熱し、車内温度の上昇を防ぐ。光消臭効果で車内のニオイもしっかり消臭」(オートバックスセブン広報・IR部)

クレトム「断熱・光消臭シェードプラス」(SA390-SA393) クレトム「断熱・光消臭シェードプラス」(SA390-SA393)
■ゲリラ豪雨対策

AQ.「緊急脱出用ハンマー」実勢価格 1980円 
「事故や水没で車内に閉じ込められたときに窓ガラスを割ったり、シートベルトを切断して車外に脱出するためのツールです」(オートバックスセブン広報・IR部)

AQ.「緊急脱出用ハンマー」 AQ.「緊急脱出用ハンマー」

ソフト99「ぬりぬりガラコDX」実勢価格 998円 
「ゲリラ豪雨対策として、視界を確保するためにはフロントガラスの撥水加工、撥水剤の王道『ガラコ』を! 本商品は史上最強レベルの撥水性と高い耐久性がポイント」(オートバックスセブン広報・IR部)

ソフト99「ぬりぬりガラコDX」 ソフト99「ぬりぬりガラコDX」
■車内に常備したいグッズ

セイワ「携帯トイレ3個入りZ61」実勢価格 498円 
「尿を尿処理袋が素早く固めニオイを包みます」(オートバックスセブン広報・IR部)
セイワ「携帯トイレ3個入りZ61」 セイワ「携帯トイレ3個入りZ61」