話題を集めるスズキの「スペーシアベース」(左)とホンダの「N-VAN e:」(右) 話題を集めるスズキの「スペーシアベース」(左)とホンダの「N-VAN e:」(右)

ニッポンの"働くクルマ"のひとつが、軽商用バンである。一方で近年、脚光を浴びているのが個人向けの軽商用モデル。つーわけで、話題を集める2台をピックアップ! 強みはどこ? 弱点はあるの? 徹底取材してきた!!

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■4ナンバー軽は、荷室は広いが後席は狭い

マジでセカンドカーが欲しい! そんな男たちの間で注目を浴び続けているのが、4ナンバーの軽商用車である。では、一般的な軽と何がどう違うのか。まず車検が挙げられる。軽乗用車は購入して最初に受ける車検は3年後だが、4ナンバーの軽商用車は2年後となる。

なぜか。大前提として商用車は〝働くクルマ〟。当然、年間の走行距離も長く、クルマの疲労もハンパないので、早めのメンテナンスを受ける必要がある。というわけで、2年車検なのだ。

お次の違いは荷室の広さ。軽商用車は後席の面積より荷室を広く確保する必要がある。なので、軽乗用車に比べて軽商用車の後部座席は狭い。だが、後席を床下に収納すれば、軽乗用車では考えられない巨大な空間がドーン! 車中泊にアウトドア、リモートワークもこなせてしまう。

しかも、軽乗用車の軽自動車税は年額1万800円だが、4ナンバーの軽商用車は、半額以下の5000円! この維持費の安さが、男たちがセカンドカー候補として注目する理由のひとつ。さらに商用車なのでガンガン使い倒せるのも大きな魅力のようだ。

そんな4ナンバー軽の中で話題なのが10月10日に発売されたホンダの軽商用EV、N-VAN e:。どんなクルマかというと、日本市場の軽新車販売ランキングで9年連続トップに君臨する〝絶対王者〟N-BOXをベースに開発された軽商用N-VANのEVバージョンである。

ホンダ N-VAN e: 価格:269万9400~291万9400円 今年10月にデビューし、注目を集めているホンダの新型軽商用EV。ベースモデルは軽商用ガソリン車のN‐VAN ホンダ N-VAN e: 価格:269万9400~291万9400円 今年10月にデビューし、注目を集めているホンダの新型軽商用EV。ベースモデルは軽商用ガソリン車のN‐VAN

内装の基本はベースとなっているN‐VANだが、シフトセレクターは最新のボタン式へ刷新されている 内装の基本はベースとなっているN‐VANだが、シフトセレクターは最新のボタン式へ刷新されている

開発責任者を務めたホンダの坂元隆樹氏はこう語る。

「積載時や登坂でも安心できるスムーズな加速や、商用車と思えないような静粛性。使いやすく快適な乗り心地を実現しています。ベースとなるN-VANの空間価値をそのままに、EV化を進めてまいりました。航続距離はWLTCモードで245㎞と、競合他社に対して競争力のある性能を実現しています」

ご覧のように車中泊も難なくこなせる室内。アウトドアなどの遊びにガシガシ使いたい ご覧のように車中泊も難なくこなせる室内。アウトドアなどの遊びにガシガシ使いたい

試乗すると、EVなので当たり前だがチョー静か! 早朝や深夜にエンジン音を気にせず住宅街を走れるクルマである。走りは低速から力強く滑らか。静粛性も高く、乗り心地はソフト。さらに運転席以外を床に格納すれば、車中泊もこなせ、バイクやチャリだって載せられる。 

リサイクル素材を使用したフロントの装飾パネルの左が普通充電口、右が急速充電口 リサイクル素材を使用したフロントの装飾パネルの左が普通充電口、右が急速充電口

ただし、N-VAN e:はEVなので、高速道路を利用するような長距離ドライブ時には必ず「充電時間」と「充電回数」がつきまとう......。

■スペーシアベースは商用とは思えぬ乗り心地

スズキ スペーシアベース 価格:147万1800~174万4600円 スズキが誇る軽スーパーハイトワゴン・スペーシア。その先代モデルの骨格を叩き台にして開発を進めたというスペーシアベース スズキ スペーシアベース 価格:147万1800~174万4600円 スズキが誇る軽スーパーハイトワゴン・スペーシア。その先代モデルの骨格を叩き台にして開発を進めたというスペーシアベース

ボディサイズは全長3395㎜×全幅1475㎜×全高1800㎜。燃費21.2㎞/リットル(WLTCモード) ボディサイズは全長3395㎜×全幅1475㎜×全高1800㎜。燃費21.2㎞/リットル(WLTCモード)

一方、4ナンバー軽ですでに高い人気を誇るのが、2022年8月に登場したスズキのスペーシアベース。現行スペーシアは23年11月にフルチェンを受けて3代目へ移行したが、このスペーシアベースは2代目スペーシアの骨格をベースに開発されたモデルである。

軽乗用のスーパーハイトワゴンであるスペーシアを4ナンバー化しているので、乗り心地は軽商用と思えぬレベチのしっとりさを実現し、静粛性も高い。おまけにコックピットには2代目と同等の快適装備が満載である。 

後席の背もたれを倒すとベンチ化! ご覧のようにボードのアレンジで机仕事もこなせる 後席の背もたれを倒すとベンチ化! ご覧のようにボードのアレンジで机仕事もこなせる

特に最高なのがスペーシア ベースの荷室。後席を畳むなどのアレンジ次第で、広々としたデスクスペースが爆誕! 実際に座ってみると、簡単な机仕事なら余裕でこなせる。つまり、軽乗用車の快適性を備えながら、軽商用車の積載性や広い荷室を手にしたクルマなのだ。

スズキ関係者もうなずく。

「スペーシアベースは、〝一般向けの商用車〟です」

では、どんなユーザーが購入しているのだろうか。

「スペーシアベースは趣味のお供としてご購入いただく方が多いです。具体的にはソロキャンプ、アウトドア、プチ車中泊などの趣味をお持ちの中年男性ですね」(関東のスズキ販売店)

2代目スペーシアカスタムと同等のコックピット。軽商用車とは思えぬ充実ぶり。収納スペースなどもたっぷり 2代目スペーシアカスタムと同等のコックピット。軽商用車とは思えぬ充実ぶり。収納スペースなどもたっぷり

パワーユニットは自然吸気エンジンのみ。「ターボを求める声はあります」(スズキ販売店) パワーユニットは自然吸気エンジンのみ。「ターボを求める声はあります」(スズキ販売店)

ちなみにスペーシアベースはデビューから2年しか経過していないため、しばらくフルチェンはないようだが、前述のとおりベースが2代目なので、3代目スペーシアを見てしまうと、アチコチに〝ひと世代前感〟が......。

購入の際はどちらのクルマもシッカリ試乗すべし!

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