認証不正の影響で、残念ながら2024年の初売りを自粛したダイハツ。反転攻勢の試金石となる25年の初売りに大きな注目が集まる 認証不正の影響で、残念ながら2024年の初売りを自粛したダイハツ。反転攻勢の試金石となる25年の初売りに大きな注目が集まる
毎年、年始に開催される自動車販売店のお祭り的な大イベントが「初売り」である。ズバリ、その魅力は? カーライフジャーナリストの渡辺陽一郎氏が足を使って稼いできたマル秘情報を一挙大放出!!

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■ダイハツは初売りの先取りフェアを実施!

――ダイハツの初売りのCMがガンガン流れています。やはりニッポンの年末年始には、ダイハツとスズキの初売りCMが欠かせません。

渡辺 ダイハツは認証取得に関する不正問題により、2024年の初売りを自粛しました。しかし、12月7~15日まで開催された「初売りサキドリフェア」(27日までアンコール開催中)のCMを活発に流していましたね。

――この初売りCMの大攻勢は、"軽の盟主"としてニッポン市場に君臨してきたダイハツ完全復活ののろし?

渡辺 そのとおり! 事実、ダイハツはやる気満々で、25年1月4日から初売りフェアを開催する予定ですが、なんと2月28日まで用品5万円分プレゼントも実施している。

――マジか!

渡辺 余談ですが、以前の初売りは1月3日から実施していましたが、近年は働き方改革などの影響もあって1月4日スタートが主流です。

【大本命①】ホンダ N‐BOX 左からN-BOX、N-BOXジョイ、N-BOXカスタム。車両値引き目標10万円。納期1~2ヵ月。下取り価格の予想はAランク 【大本命①】ホンダ N‐BOX 左からN-BOX、N-BOXジョイ、N-BOXカスタム。車両値引き目標10万円。納期1~2ヵ月。下取り価格の予想はAランク
――販売店にとって、初売りにはどんなメリットが?

渡辺 販売店によると、正月休みに店を開けると目立つ。結果、散歩のついでにフラリと来店する人や、正月休みを利用してクルマの商談をしたい人が数多く訪れる。しかも、いざ商談を開始すると、瞬く間に成約なんて夢みたいな話も(笑)。当然、販売店もディーラーオプションの特別割引やサービス装着、出血覚悟の目玉車、さらに来店記念や成約記念には豪華ノベルティグッズ、福袋、お米、産地直送ギフトなどを用意。

――大盤振る舞い!

渡辺 実際、数多くの販売店から「初売りだけの"特別条件"もご用意してます」なんて声が飛び交っていました。

――そこで、初売りで狙うべき大本命カーについてお聞きしたいのですが、その前に24年は"新車が売れない"という報道が多かった。これはどう受け止めればいいですか?

渡辺 12月時点で把握している24年1~11月期の国内新車販売の状況でいうと、前年の同時期よりも7%少ない。小型・普通車は5%、軽自動車は11%減りました。ちなみに最も数字を下げた自動車メーカーはダイハツです。

――具体的な数字は?

渡辺 認証取得不正問題による出荷停止のため、24年1~11月は前年の同時期に比べて39%減っています。

加えて23年度の軽の新車販売台数と、24年上半期の軽の新車販売台数で、ダイハツは18年ぶりに首位陥落。これまで軽の国内新車販売で3割超のシェアを誇ってきた盟主でしたが、その座をスズキに明け渡しました。それだけダイハツの生産・出荷停止の代償は大きかったわけです。

【大本命②】スズキ スペーシア 飛ぶように売れている3代目スペーシアカスタム。車両値引き目標8万円。納期2~3ヵ月。下取り価格の予想はAランク 【大本命②】スズキ スペーシア 飛ぶように売れている3代目スペーシアカスタム。車両値引き目標8万円。納期2~3ヵ月。下取り価格の予想はAランク
――そんな盟主ダイハツが、王座奪還のため、25年の初売りから〝反転攻勢〟に打って出るわけですね。やはり初売りの大本命カーは軽ですか?

渡辺 ダイハツとスズキの初売りCMがすべてを物語っていますよね(笑)。何しろニッポン国内で24年に販売された新車の約35%が軽自動車です。言うまでもありませんが、超激戦区です。

しかも、国内販売の1位はご存じホンダの軽スーパーハイトワゴン・N-BOX。24年の累計販売数は19万台超(11月時点)で、12月分を含めたら20万台の大台に達するはず。

――24年も安定の"N-BOX無双"だったわけですね。

渡辺 実はそうとも言い切れません。3代目となる現行N-BOXは23年10月に登場しました。本来、24年1~11月は新車効果で売れに売れる時期なのですが、前年比を見ると10%近く減っている。

――3代目N-BOXが売れ行きを下げた理由は?

渡辺 ざっと挙げると、外観が地味、収納設備の数が減った、値上げで140万円台のお手頃グレードが消滅......。

【大本命③】ダイハツ タント 軽スーパーハイトワゴンSUVのタントファンクロス。車両値引き目標10万円。納期2~3ヵ月。下取り価格の予想はCランク 【大本命③】ダイハツ タント 軽スーパーハイトワゴンSUVのタントファンクロス。車両値引き目標10万円。納期2~3ヵ月。下取り価格の予想はCランク
――なるほど。

渡辺 実際、24年5月にはスズキの軽スーパーハイトワゴン・スペーシアの売れ行きがN-BOXを超えました。たった1ヵ月間ではありますが、これまで"絶対王者"としてニッポン市場に君臨してきたN-BOXがスズキの軽に1位を奪われたのは24年最大の番狂わせでした。

そんな背景もあってか、24年9月にはシートや荷室をチェック柄に仕上げたN-BOXジョイを加えました。

――初売りの大本命カー筆頭は、ニッポン市場の売れ筋ツートップのN-BOXとスペーシアで決まりですね。

渡辺 ダイハツの軽スーパーハイトワゴンのタントを忘れてはいけません。11月の軽新車販売ランキングでN-BOXとスペーシアに次ぐ3位です。

【大本命④】三菱 デリカミニ 三菱渾身の力作が軽スーパーハイトワゴンSUVのデリカミニ。車両値引き目標8万円。納期2~3ヵ月。下取り価格の予想はBランク 【大本命④】三菱 デリカミニ 三菱渾身の力作が軽スーパーハイトワゴンSUVのデリカミニ。車両値引き目標8万円。納期2~3ヵ月。下取り価格の予想はBランク
――ホンダ、スズキ、ダイハツがバッチバチの仁義なき販売バトルを繰り広げる軽スーパーハイトワゴンは、初売りの大本命カーにふさわしいですね。 

渡辺 三菱のSUV風味マシマシの軽スーパーハイトワゴン・デリカミニも推したい。

――ほかには?

渡辺 SUV風味の軽でいうと、スズキのハスラーも見逃せません。そもそも現行ハスラーの発売は20年1月ですが、売れ行きは絶好調! 24年1~11月は前年に比べて13%も多い。SUV風味の見た目だけでなく、収納など便利な機能も特盛り。ロングセラーも納得の逸品カーです。

【大本命⑤】スズキ ハスラー 2024年上半期の軽新車販売ランキングで3位に入った人気カー。車両値引き目標12万円。納期2~4ヵ月。下取り価格の予想はAランク 【大本命⑤】スズキ ハスラー 2024年上半期の軽新車販売ランキングで3位に入った人気カー。車両値引き目標12万円。納期2~4ヵ月。下取り価格の予想はAランク
■初売りの目玉は特価の在庫車

――今回、軽を扱う販売店の初売りに対する意気込みがスゴかったそうで?

渡辺 鼻息が荒い理由は、大前提として軽自動車は薄利多売な上、限られた市場を奪い合うため、どこもライバルを制し、幸先の良いスタートを切りたいからです。

――そんな初売りの注目は?

渡辺 いつの時代も初売りの目玉は特価の在庫車です。前述のとおり軽自動車は薄利多売なので車両本体の値引き額が少ない。しかし、在庫車なら感涙必至の好条件が! 好みに合った在庫車があれば狙い目です。販売店に向かう前にホームページなどをチェックして情報収集をしておくと商談もスムーズですよ。

【軽じゃない大本命カー①】ホンダ フリード 2024年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを戴冠したのが、ホンダの小型ミニバン・フリード。同社の大賞受賞は14年ぶり。大本命カー!! 【軽じゃない大本命カー①】ホンダ フリード 2024年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを戴冠したのが、ホンダの小型ミニバン・フリード。同社の大賞受賞は14年ぶり。大本命カー!!
――商談時の賢い交渉術は?

渡辺 実はディーラーオプションには販売会社の儲けが多く含まれるため、車両本体やメーカーオプションに比べて値引きを拡大させやすい。また下取りに出す愛車があるなら、買い取り店と査定額を競わせましょう。初売りならではのサプライズも!? 

――最後に総括を!

渡辺 軽の盟主であるダイハツには初売りをキッカケに元気を取り戻してもらって、スズキやホンダなどと激戦区の軽自動車市場を盛り上げていってほしい。今や軽はニッポンの国民車ですから。

【軽じゃない大本命カー①】ホンダ フリード 2024年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを戴冠したのが、ホンダの小型ミニバン・フリード。同社の大賞受賞は14年ぶり。大本命カー!! 【軽じゃない大本命カー①】ホンダ フリード 2024年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを戴冠したのが、ホンダの小型ミニバン・フリード。同社の大賞受賞は14年ぶり。大本命カー!!
●渡辺陽一郎 Yoichiro WATANABE 
カーライフジャーナリスト。自動車専門誌『月刊くるま選び』(アポロ出版)の編集長を10年務めた"クルマ購入の神様"&"令和のご意見番"。執筆媒体多数。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員