スズキがブチカマしてきた新型ジムニーノマド。人気車特有のオーラがビシバシ。ネット上では正式発表前から大騒ぎになっていた スズキがブチカマしてきた新型ジムニーノマド。人気車特有のオーラがビシバシ。ネット上では正式発表前から大騒ぎになっていた

男心を刺激する小型四輪駆動車、スズキのジムニーシリーズ。今回、史上初となる5ドアモデル「ジムニーノマド」が登場した。

ところが、1月30日の受注開始と同時に壮絶な奪い合いバトルが繰り広げられ、わずか4日間で販売目標の3倍超となる約5万台をマーク。注文を一時停止する異常事態となった。複数の販売店からは「納車は数年待ち」という声が......。

一躍脚光を浴びたジムニーノマドとはどんなクルマなのか? 発表前の報道陣向け撮影会で開発者を直撃し、いろいろ聞いてみた!!

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■待ちに待った5ドアのジムニー

とうとう出たね。

ジムニーファンが待ちに待った5ドアモデル、その名もジムニーノマドが爆誕したのだ。実は数年前から自動車誌やネットには、ジムニー5ドアの噂が出回っていた。そして、昨年6月に事態が大きく動く。なんとインドでジムニー5ドアが発売されたのである。

だが、残念なことにこのジムニー5ドア、インドから中南米、中東、アフリカ地域などには輸出されているものの、そこにニッポンの名前はナシ......。当然、ファンはじだんだを踏んできたのだが、ついに4月3日のニッポン発売が正式決定(※2月3日に受注を一時停止)。

スズキ ジムニーノマド 価格:265万1000~275万円 ジムニーシリーズ共通の5スロットグリルを採用しているが、専用塗装などで上質感を演出 スズキ ジムニーノマド 価格:265万1000~275万円 ジムニーシリーズ共通の5スロットグリルを採用しているが、専用塗装などで上質感を演出

そもそも世界累計販売台数349万台を誇るジムニーシリーズは、1970年にガチ系小型四輪駆動車として登場。その高い悪路走破性能で世界を魅了。さらに2018年にフルチェンした4代目ジムニー&ジムニーシエラが国内で鬼売れ。スズキもここまでの人気爆発は想定しておらず、納期は数年待ちに!

販売店に聞くと、現在、納期の長期化は改善傾向にあるというのだが、それでも半年以上......。

エンジンは1.5リットル。4速のオートマと5速のマニュアルトランスミッションを用意する エンジンは1.5リットル。4速のオートマと5速のマニュアルトランスミッションを用意する

今回登場したジムニーノマドは1.5リットルエンジンを搭載する。つまり、ジムニーシエラの5ドア版だ。ジムニーとジムニーシエラは静岡県にある湖西工場生産。一方、ジムニーノマドはインド産だが、品質はそう変わらない。むしろ実車を見て、爆売れするのではという予感しかしなかった。

ジムニーノマドのアシスタントチーフエンジニアを務める縫村利喜氏を直撃。縫村氏は3ドアの4代目ジムニーの開発も行なってきた ジムニーノマドのアシスタントチーフエンジニアを務める縫村利喜氏を直撃。縫村氏は3ドアの4代目ジムニーの開発も行なってきた

ちなみにスズキが設定するジムニーノマドの月販目標は1200台である。ジムニーノマドのアシスタントチーフエンジニアを務める縫村利喜氏はこう言う。

「確実にお客さまがご購入できるよう準備を進めておりますが......やっぱりフタを開けてみないとなんとも言えないところがありますね」

そもそもの話だが、ジムニーがロングセラーを続ける秘密を聞いてみた。

「ジムニーは1970年のデビュー当初から一貫してラダーフレーム(はしごのような形状をした骨格構造)と副変速機付き。その構成を変えず、味を深め、進化を続けてきた世界的にも珍しいクルマです。同じ軸上にあるクルマは、他社だとマツダのロードスターやポルシェの911」

ジムニーシリーズ伝統のラダーフレームは、ジムニーノマド用に新しく造ったという ジムニーシリーズ伝統のラダーフレームは、ジムニーノマド用に新しく造ったという

つまり、ジムニーというクルマは玄人をうならせる趣味性の高いクルマだ。なぜ史上初となる5ドアモデルを投入したのか。背景には何が?

「4代目ジムニーの登場により、購入層の裾野が一気に広がったのが大きいですね」

裾野が広がった結果、ユーザーからこんな声が。

「実は『3ドアだと〝家庭内稟議〟が下りない』というお客さまの声が増えまして。加えてジムニーシリーズは、スズキブランドの中で中核を担うクルマです。5ドアの投入により、裾野をさらに広げられる可能性が高いと会社が判断したのだと思います」

オフロードなど過酷な環境下での操作性にこだわったシリーズ伝統の内装に仕上がっている オフロードなど過酷な環境下での操作性にこだわったシリーズ伝統の内装に仕上がっている

とはいえ、ジムニーシリーズは高い悪路走破性能をメインに据えた商品である。

「5ドアでも高い悪路走破性能を誇る。その軸は変えず、乗降性はもちろん、ゆったり座れる後席空間を確保する。それには全長を伸ばすのが一番の解決策なので、ちょうどいい全長を探しました」

後席に座ってコックピットを撮影していたカメラマン、「後席は広くて、座り心地もいい」 後席に座ってコックピットを撮影していたカメラマン、「後席は広くて、座り心地もいい」

ラゲッジルームは、悪路走行時に荷物が滑りにくいカーペットを採用している ラゲッジルームは、悪路走行時に荷物が滑りにくいカーペットを採用している

車重は3ドアから100㎏増に抑えた。乗り味はどうか。

「当然、5ドア特有の乗り味に仕上げています」

最後に今回の5ドア登場で現行ジムニーシリーズは〝完全体〟になったのか。それとも隠し玉がまだあるのか。縫村氏はニコニコしながらサラリとこうにおわせた。

「なんとも言えませんが、隠し玉があるといいですよね」

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