改良モデルの走りを徹底チェック。古くから「最新モデルこそが最良モデル」といわれるポルシェだが......その実力は!? 改良モデルの走りを徹底チェック。古くから「最新モデルこそが最良モデル」といわれるポルシェだが......その実力は!?

ポルシェと聞いて誰もがパッと頭に浮かべるのは、やはり歴史と伝統が詰まった911ではないだろうか。今回は、911のベーシックモデル・911カレラの最新改良モデルを公道に引っ張り出したら......男心がたぎりにたぎったぞ!!

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■走行モードの切り替えでキャラが激変!

昨年、日本市場におけるポルシェの新規登録台数は前年比16.1%増となる9292台をマークした。ちなみにこの数字は過去最高である。その人気の秘密とは!? 

つーわけで、ポルシェの代名詞ともいえる911に乗ってみた。1964年に初代モデルが発売されてからロングセラーを続ける、言わずと知れた大人気スポーツカーだ。ちなみに今回試乗したのは、8代目ポルシェ911の中で最もベーシックなカレラ。昨年5月に大幅改良が行なわれたピッカピカの最新モデルだ。

「エンジンは3リットルの水平対向6気筒ツインターボエンジン。最高出力は394馬力、最大トルクは450Nmを発生し、時速100キロ到達は4.1秒です。最高速度は294キロになります」(ポルシェ関係者)

ポルシェ 911カレラ 価格:1694万円 注目はヘッドライト。4灯タイプのLEDを搭載。ちなみにバンパーの形状なども変更されている。改良により各部を磨き抜いた ポルシェ 911カレラ 価格:1694万円 注目はヘッドライト。4灯タイプのLEDを搭載。ちなみにバンパーの形状なども変更されている。改良により各部を磨き抜いた

ボディサイズは全長4542㎜×全幅1852㎜×全高1302㎜。新型だが誰が見てもポルシェ911 ボディサイズは全長4542㎜×全幅1852㎜×全高1302㎜。新型だが誰が見てもポルシェ911

911の中では最もベーシックなモデルとはいうものの、高性能なギンギンカーである。車両価格は1694万円。恐ろしいのは今回の試乗車、オプションギガ盛り状態だったこともあり、トータル価格は2370万2000円ナリ......エグっ!

運転席に滑り込む。コックピットは911の伝統的なデザインを踏まえながらデジタル化されている。具体的には12.6インチのフルデジタルメーターパネル、そして10.9インチのセンターディスプレーである。着座位置は低いが、ボンネットが見えるので、スポーツカーならではの〝圧〟を感じることもない。

911に初採用されたというプッシュ式のボタンに触れる。野性的にも程がある排気音が耳に届き、エンジンが始動する。おっかなびっくりアクセルを踏んで走り出す。

ところが拍子抜けするほど軽快で滑らか! スポーツカーなので、やんちゃで荒くれ者なイメージを勝手に抱き、身構えていたのだが、その洗練された乗り心地の良さに舌を巻いた。

街中を走っていてもスポーツカーとは思えぬ扱いやすさ。さらに高速道路で驚いたのは段差などを乗り越えた際に発生する突き上げを丁寧に受け止める足さばきで、不快な振動は感じず、実に快適であった。まるでラグジュアリーカーを運転するような感覚だ。長距離を楽しく快適に走るにはピッタリのクルマだと思った。

デジタル化されたコックピットがバーンと広がる。どのモデルも運転席に座るだけで、ポルシェだとわかる。まさに熟成の味 デジタル化されたコックピットがバーンと広がる。どのモデルも運転席に座るだけで、ポルシェだとわかる。まさに熟成の味

基本ふたり乗りだが、無償オプションでリアに2座を追加できるのはうれしい限り 基本ふたり乗りだが、無償オプションでリアに2座を追加できるのはうれしい限り

ところが、だ。走行モードをノーマルからスポーツやスポーツ・プラスに切り替えると、ポルシェ911カレラが隠し持つ獣性がモロ出しになりキャラは激変!

特にヤバいのがスポーツ・プラス。乗り心地、排気音、アクセルレスポンスなどが超ギンギン化! 週プレ自動車班はスポーツ・プラスの加速時には、思わずこう絶叫していた。

「キモチェェェ~!!」

誤解を恐れずに言えば、公道でプチレーサー気分を味わえてしまうのだ。

リアに鎮座する伝統の3リットル6気筒の水平対向エンジンはツインターボ。男心を刺激 リアに鎮座する伝統の3リットル6気筒の水平対向エンジンはツインターボ。男心を刺激

このポルシェ自慢の〝純エンジン車〟の未来は今後どうなるのか。自動車誌の編集者はこう言う。

「日本では販売好調のポルシェですが、昨年の世界新車販売は前年比3%減。特に中国市場におけるEV販売が急落したことには悶絶しています。これまで2030年に新車販売の80%をEV(とPHEV)にする電動化戦略を打ち出してきましたが、実は昨年、〝EVへの完全移行〟を断念しています」

今後のポルシェの戦略や方針が気になるところ。

「ポルシェの2025年の事業計画によれば、エンジン車の開発などに約1250億円を投じます。これは世界的なEV市場の鈍化を念頭に入れた戦略のようです」

加えて、EVシフトを声高に訴えてきたEUの心変わりも大きな影響を与えている。

「実はEUが2035年以降も再生可能エネルギー由来の合成燃料(eフューエル)であれば使用可能と認める方針を打ち出しています。ポルシェはこれらの状況を踏まえ、エンジン車の販売続行を判断したのだと思います」

とはいえ、生き馬の目を抜く自動車業界。ポルシェは電動化を着実に進めている。

「911シリーズ初のハイブリッドモデルとなるポルシェ911カレラGTSも投入済み。つまり今、ポルシェは純エンジン、PHEV、EVとほぼ全方位をカバーしています」

この充実の品ぞろえが目の肥えた日本市場でウケた!?

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