R32EVのベースとなるのは1989年式のR32型スカイラインGT-R R32EVのベースとなるのは1989年式のR32型スカイラインGT-R
今年1月に開催された東京オートサロン2025。日産ブースで異様な輝きを放っていたのが「R32EV」。いったいどんなクルマなのか?

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今、リアルに〝崖っぷちの日産〟だが、多くの専門家筋はこう口をそろえる。

「日産のエンジニアは非常に優秀です」

そんな日産のエンジニアが東京オートサロン2025でブチカマし、大きな話題を呼んだのが、日産ブースに展示されていたR32EVである。ザックリ言うと、1989年にデビューしたR32型スカイラインGT-RをEV化したモデルだ。ご存じの方も多いと思うが、R32型スカイラインGT-Rは〝国宝級〟の名車だ。商品化したらガチで売れそうだ......。

「残念ながらR32EVの市販化予定はないそうです」

EVなので当たり前の話だが、マフラーはない EVなので当たり前の話だが、マフラーはない
こう話すのは自動車誌の編集者だ。だとすると、日産の狙いはなんなのか?

「日産としては伝説のクルマの〝走りの味〟をEV化して残すのが狙い。例えるなら、1989年に一世を風靡した紙の漫画をデジタル化し、後世に残すような感じですかね」

ネットやSNSなどにはR32EVの賛否が巻き起こっていたが、実車を間近で見ると、伝説カーのオーラがハンパなかった。ただし、R32型スカイラインGT-Rのエンジンは外されており、モーターとバッテリーを積んだ四輪駆動EVに魔改造されていた。逆に言うと、日産が自らの手で魔改造したからこそ価値があり、その期待度も高くなる。

実は現地ではこんな声も耳に。

「R32EVが本当にR32型スカイラインGT-Rならではの楽しさや面白さをシッカリ継承しているなら、値は張っても欲しいですね」(会社員・40代・男性)

いっそ日産はR32EVを商品化すればいいと思うのだが、自動車ジャーナリストの桃田健史氏は首を横に振る。

「今の日産は奇をてらうことなく、主力はコンパクトカーとコンパクトSUV。そして軽EVを売る。加えて収益性の高いミニバンのさらなる強化が必要です。具体的にはエルグランドの刷新と、セレナの販売促進強化ですね」


変更点はあるそうだが、ノーマル風に仕上げてあるとしいう 変更点はあるそうだが、ノーマル風に仕上げてあるとしいう だが、このR32EVを放置するのは宝の持ち腐れでは......。

「実はEVコンバージョンビジネスは、トヨタKINTOでも展開しています」

トヨタのサブスクを手がけるKINTOは旧車のレンタカーを手がけており、そこでAE86をEV化した魔改造モデルが用意されていたことも。

「日産がエネルギーマネージメントの事業化を真剣に始めるのであれば、その中にR32EVを組み込むことも可能では」

日産には〝伝説のお宝カー〟がワンサカある。やっちゃえ日産!