ピッカピカの新型を公道に引っ張り出してチェック。果たして、走りが楽しいコンパクトカーはどこがどう変わったのか? ピッカピカの新型を公道に引っ張り出してチェック。果たして、走りが楽しいコンパクトカーはどこがどう変わったのか?

昨年11月、BMW 1シリーズの4代目が登場して話題となっている。シリーズ初搭載となるマイルドハイブリッドの出来は? 走りにどんな影響を与えている? 4代目がどう仕上げられてきたかを公道でチェックした。

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■激アツ市場に新型を投入!

BMWのエントリーモデルが、小型ハッチバックの1シリーズ。初代が2004年に登場すると、瞬く間に人気に火がつき、累計販売台数は300万台を軽く突破! 今ではBMWの屋台骨を支えるクルマのひとつに成長した。そんな1シリーズが5年ぶりの全面改良を受けて、昨年の11月1日からニッポン市場で販売が開始された。

この1シリーズが属するカテゴリーは〝Cセグメント〟と呼ばれる。その筆頭であり、長きにわたり指標となってきたのが、昨年誕生50周年を迎え、世界累計販売台数3700万台超を誇るフォルクスワーゲンのゴルフ。さらにはメルセデス・ベンツのAクラス、アウディA3、ルノー メガーヌなど、そうそうたるメンツがズラリと並ぶ。

ちなみに国産車だと、トヨタのカローラスポーツ、ホンダのシビック、マツダのマツダ3がCセグメントに属する。言い方を変えると、Cセグメントは、世界の自動車メーカーがしのぎを削るチョー激アツ市場なのだ。自動車誌の元幹部はこう話す。

「Cセグメントの競争が激しい理由はふたつあります。ひとつは販売台数が多いこと。もうひとつはCセグメントでの成果が各社の業績やイメージを左右することです」

つまり、群雄割拠のCセグメントで存在感を示すべく、BMWが心血を注いだのが、この新型1シリーズなのだ。

BMW 120 価格:478万円 専門家によると、4代目は先代の骨格を熟成させることで、直進安定性などが高められているという。見た目も磨かれた BMW 120 価格:478万円 専門家によると、4代目は先代の骨格を熟成させることで、直進安定性などが高められているという。見た目も磨かれた

4代目のボディサイズは、全長4370㎜×全幅1800㎜×全高1465㎜。車重は1460㎏ 4代目のボディサイズは、全長4370㎜×全幅1800㎜×全高1465㎜。車重は1460㎏

週プレ自動車班が今回試乗したのは、BMW1シリーズのエントリーグレードとなる120。しかし、そこはプレミアムブランドのBMWである。お値段は478万円ナリ!

そんな新型のポイントはどこになるのか。BMWの販売店関係者はこう話す。

「1シリーズの全面改良は19年以来5年ぶりで、現行モデルは第4世代になります。確かに骨格はキャリーオーバーですが、大幅に手が入っています。見どころのひとつは、1シリーズで初となるマイルドハイブリッドですね」

シリーズ初のマイルドハイブリッドを搭載。気になる燃費は16.8㎞/リットル(WLTCモード) シリーズ初のマイルドハイブリッドを搭載。気になる燃費は16.8㎞/リットル(WLTCモード)

エンジンは1.5リットルの直列3気筒ターボに、噂の48Vマイルドハイブリッドシステムを組み合わせている。

「トータルの最高出力は170馬力です。試乗されたお客さまからは、1.5リットルよりも大きな排気量のクルマに乗っているように感じたという感想をよくいただきます」

百聞は一見にしかずというわけで、実車とご対面! 週プレ自動車班は先代モデルも取材しているが、それと比べると、実に凜々しい見た目に変身していた。正直、3代目はもっさりした見た目だったので(汗)、4代目の洗練度が際立ったともいえる。

エントリーグレードだが室内はレベチの上質さを誇る。ちなみにコックピット中央部のディスプレーは10.25インチ エントリーグレードだが室内はレベチの上質さを誇る。ちなみにコックピット中央部のディスプレーは10.25インチ

室内をグルリと見回す。〝BMWで最も安いクルマ感〟は一切ない。装備もひととおりそろっているので、格上のBMWの3シリーズなどから乗り換えても〝残念感〟は抱かないのではないか。

このクルマのエンジンスタートボタンと、シフトスイッチは運転席と助手席の間に設置されている。ボタンに触れてエンジンを起動する。想定外に静かだ。

いざ発進して驚いた。エンジンが苦にする低回転域をモーターが絶妙にフォローするため、継ぎ目のない滑らかな加速を実現していたからだ。スポーツカーのようなパワーはないが、気持ちがいい!

加えて、クルマは真っすぐ走り、コーナーも的確かつ俊敏にこなす。ギクシャクさなど一切ない。先代モデルも乗り心地は快適な部類だったが、4代目はさらにアップデートされていた。特に路面からの衝撃を包み込むように軽くいなしてくれる上質さを備えており、走りを堪能できる小さな高級車という感じだ。

フルチェンで走りは徹底的に磨き上げられてきたが、それはあくまでも〝ド真ん中の進化〟といえるもの。BMWが掲げる〝駆けぬける歓び〟を最安値のエントリーグレードでも、シッカリと体現していたからだ。

ただし、繰り返しになってしまうが、BMWの1シリーズの戦場となるのはCセグメント。世界中の強豪がひしめくウルトラ激戦区である。4代目は存在感を示せるか。

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