3月17日まで受付中の、今年の確定申告。もうお済みだろうか?

サラリーマンだから関係ないと思っている人、今年の確定申告から「特定支出控除」という制度が改定されたのをご存知だろうか。これによりサラリーマンにも一定の必要経費が認められるようになり、しかも控除が可能になるハードルがグンと下がったのだ。

では、どんなものが控除の対象になるかというと、資格を取得するための専門学校の授業料、スーツ着用が慣行である会社のスーツ代などが該当する。社内でTOEIC700点以上が義務付けられ、こっそり英会話学校に通ったなんて人は、申告に行くべし!

そしてもうひとつ、控除のハードルが下がった点について、税理士の久保直人さんに聞いた。

「自営業者と同様に、仕事で必要な接待費も経費として認められるようになりました。例えば、今までは自腹で払ってきた取引先との飲食代なども、控除の対象になる可能性が出てきたんです」(久保さん)

どうしても契約を取りたくて、自腹で接待。そんな社畜的経験のあるサラリーマンは、ついに報われる日が来たということだ。

それはどんな店でもOKなの? たとえば、おっぱいパブとか……。

「むむっ。きわどい質問ですね。可能性はあると思いますが、特定支出とするためには勤務先から『仕事に直接必要だった』という証明書をもらって提出する必要があります」(久保さん)

会社に「おっパブを経費と認めてくれ」と掛け合うのは、ちょっと勇気がいるうえ、「公になって困るようなものは、基本的に経費として認められません(笑)」(久保さん)とのこと。エッチ系のお店だったらあきらめたほうがいい。

はじめての確定申告なら、こんなおトクなことも!

それ以外に、サラリーマンが確定申告をする際、気を付けなくてはいけないポイントは何か?

「この特定支出控除というのは、特定支出が給与所得控除額の2分の1を上回ったときに、その上回った分を年収から控除できるというものです。例えば、年収が400万円のサラリーマンの場合は、67万円を上回った分が控除の対象となります。また、本代、スーツ代、飲食代は年間65万円が限度額など、いくつか注意点があります」

つまり、実際に経費をたくさん使っていなければ、それほど恩恵は受けられないということ。そして、限度額があるということ。

とはいっても、今までに比べたら申請できるだけおトク。久保さんによるともうひとつ、確定申告にはうれしいことが。

「サラリーマンなど過去に確定申告をしたことがない人に限り、5年前までさかのぼって還付申告が可能になります。この記事を読んで控除の対象となる大きな出費を思い出した人は、ぜひとも払いすぎた税金を取り戻してください」(久保さん)

たとえ額は少なくても、税金を払いすぎる必要はない。サラリーマンのあなた、「はじめての確定申告」、行ってみては?

(取材/浜野きよぞう)

※個々の事例によっては、控除の対象となるかどうか難しい判断が必要になる場合があります。申告の際には所轄の税務署や税理士に相談を。