サラリーマンの悩みのひとつといえば、社内の人間関係。なかでも「後輩との接し方」に頭を悩ませている人も多いのでは?

上司に対しては、何でも笑顔で「ハイ!」と答えておけばそこそこうまくやっていけるが、後輩は一筋縄ではいかない。仕事のアドバイスをしても薄い反応、飲みに誘っても断られ、かといって怒ると反抗される――そんなお手上げ状態の人もいるはずだ。

後輩から慕われる、いわば“先輩力”は、どうすれば身につくのか? マーケティングライターの牛窪恵氏は、「一番は、今どき20代前半の若手世代と自分世代のギャップを理解し、彼らに合わせた対応力を身につけること」にあるとして、次のようにアドバイスする。

「まず、相談に乗る際の場所や時間にも20代前半と30代の間では感覚のズレがあります。若手世代の男子たちは、仕事で悩んでいたとしても、アフター5の時間を使ってまで相談したいと考えません。30代の感覚だと『それなら一杯行くか』と言ってあげるのが理想の上司像かもしれませんが、彼らにとっては、ありがた迷惑。缶コーヒーを飲みながらリフレッシュスペースなどで相談に乗ってくれるのがいい上司なのです」

自分の価値観ではなく、相手に合わせたコミュニケーションをとってあげることが重要なのだ。世代間ギャップによる価値観のズレは、こんなところにも表れる。

「今の若手はプライベート重視派が多いのも事実です。憧れるのも仕事をバリバリこなす上司ではなく、プライベートが充実している上司。なので、普段は仕事をきっちりしているけど、ノー残業デーには自ら率先して帰るようなメリハリある姿勢を見せると、後輩から『将来はあんな大人になりたい』と思われるはずです。しっかり休んで、仕事を楽しそうにしていると憧れられますね」(牛窪氏)

とにかく褒める、説明する!

では、実際に接する際の注意点は何か?

「とにかく褒(ほ)めることです。競争よりも、手をつなぎ合い協力して仕事をしたいと考える若手世代は失敗して周囲に迷惑をかけるのをいやがるため、リスクのあるチャレンジを避ける傾向にあります。そんな彼らには、チャレンジして失敗したときこそ『君が挑戦してくれたおかげでチームの空気が活性化したよ』などと褒めてあげたいところです。給料アップや昇進につながるような成功を褒められるよりも、仲間に貢献できたというポイントを褒められて喜ぶのも今の男子の特徴ですね」(牛窪氏)

また、仕事を頼むとき、「コレをやっておけ!」という命令口調は厳禁だ。

「若手社員は無理な仕事量を強引に任せられると、自分を責めるのでなく、上司の判断力に問題があるととらえるので注意。きちんと『期限』『範囲』を相談した上で、なぜ君に任せたのかという『理由』もきっちり説明して頼むことで『デキる上司』と思わせることができます」(牛窪氏)

もうすぐ4月。今年の新入社員にとって、よき先輩となれるか? 最初が肝心だ。

(取材/黄 孟志)