若者世代(15~34歳)の8.9%=約243万人がフリーターとニートである現在の日本。彼らが定職に就けるよう、国や地方公共団体は「若者向けの就労支援施設」を設置しており、その数は年々増えつつある。

具体的に挙げると、以下のような施設がある。

・「わかものハローワーク」(全国に22ヵ所。年内に28ヵ所に増設予定) ・「新卒応援ハローワーク」(同56ヵ所) ・ハローワーク内に設置された「わかもの支援コーナー」(同37ヵ所) ・ハローワーク内に設置された「わかもの支援窓口」(173ヵ所) ・「ジョブカフェ」(同113ヵ所) ・「地域若者サポートステーション(通称“サポステ”)」(同160ヵ所)

合計すると全国に約550ヵ所。数が多いに越したことはなさそうだが、埼玉県の某市役所で就労支援事業を担当する職員は、こう告白する。

「市内には国、県、市、民間企業、NPO法人が運営する施設が混在し、どの事業者(運営側)も全体像をつかめていません」

つまり、日本の若者就労支援は重複が多く、非効率な運営方法が残されたままに“箱”だけが増え続ける構図にあるのだ。

例えば、JR浜松駅近辺。駅前ビルに厚労省直轄の「新卒応援ハローワーク」と「わかものハローワーク」、そこから徒歩5分のビルに静岡県が民間企業に委託する「しずおかジョブステーション(ジョブカフェの一種、通称“ジョブステ”)」、1本通りを挟んだ眼前の建物には「サポステはままつ」、さらに10分歩いた先には市から委託されたNPOがニート支援などを行なう「パーソナル・サポート・センター」がある。

さて、正社員雇用を目指す若者は、どこに行けばいいのだろうか? わかものハローワークの相談員が答える。

「求人の斡旋を行なえるのは、ハローワークの2施設と、ジョブステのフロアにあるハローワークコーナーのみです」

つまり、仕事の斡旋(あっせん)をしているのはハローワークのみ。ジョブカフェは多くの場合ハローワークを併設するため、個別相談、就職セミナー、職業紹介まで1ヵ所で受けられる。一方でサポステは、職業訓練を行なっている施設だ。

サポステ登録者はスムーズに就職できない?

とはいえ、サポステとパーソナル・サポは両方とも「ニート向け支援」という名目で事業を行なっており、内容がかぶっているように見えるが? サポステ職員が語る。

「いいえ、違います。あちら(パーソナル・サポ)は『自力で就活できる意思や能力を有するが、本人を取り巻く種々の問題等の理由で求職活動が困難になっている者』が対象。うち(サポステ)は『自身の将来に向けた取り組みに意欲はあるものの、自力で就活できず、自立できない者』が対象。そういう線引きなのです」

違いが理解できただろうか? いずれにせよ、事業がかぶっているなら、ひとつに集約するなり、せめて連携するなりしたほうがいいと思うのだが、「それがダメなのです」と地元新聞社の社会部記者が、首を横に振りながらこうささやく。

「サポステは主に国の予算、パーソナル・サポは市の予算で運営してますから、職員の採用基準など細かな運用方法が違うんです。市役所内部では同じ課の管轄ですが、担当者間の調整も行なわれておらず……。両施設にはお互いに『一緒にしないで』的な空気すら漂っています」

若者向けの自立支援を行なうNPO法人の職員であるB氏はこう言う。

「ハローワークは就労支援機関ではなく、労使の“需給調整機関”で、そこに集まるのは高度な人材を含めた一般の求職者です。このフィールドで、ニートなどの就労困難者が勝てる見込みは薄い。

本来なら、サポステは訓練だけでなく、訓練を終えたニートの方に仕事を斡旋する“出口”をつくらなければなりません。しかし、サポステはその権限を持っていない。サポステ登録者がスムーズに就職できないのは、こういったところにも理由があるのです」

B氏が続ける。

「引きこもりの若者を支援するなかで、企業の方から『求人あるけど、どう?』と言われてもわれわれでは職業紹介ができない。だから『ハローワークに出してください』と返すしかないんです。企業の方には『週○時間程度の仕事だからハロワに出すまでもないんだけどね』とよく言われてしまうのですが、そのたびに歯がゆい思いをしています」

横同士の連携が無い、完全な縦割り行政。これが日本の若者就労支援の現実なのだ。

(取材/興山英雄)

■週刊プレイボーイ22号「厚労省の縦割り行政が若者を“ニート・フリーター漬け”にする!!」より