日本のメイソウで購入した商品。値段は各100~500円程度で、品質も悪くない。気軽に日用雑貨を買う分には重宝しそうな感じはする 日本のメイソウで購入した商品。値段は各100~500円程度で、品質も悪くない。気軽に日用雑貨を買う分には重宝しそうな感じはする

今年7月、日本に上陸した「MINISO 名創優品」、通称“メイソウ”は今、中国でも最も勢いがある雑貨チェーンだ。しかし、同店には数々の日本ブランドからのパクリ疑惑が…。ユニクロさん、どう思います?

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公式ホームページによると、メイソウは中国ですでに55店舗を構えており、アジアを中心に「毎月20~30店舗が新しくオープン」しているという。今年7月には日本にも上陸し、現在は東京で2店舗が営業中だ。

しかし、メイソウのたたずまいは、どうにも日本ブランドの“インスパイア”を感じさせてしまう。例えば、商品のラインアップは生活雑貨やアクセサリーなど小物が中心で、価格は10元(約180円)がほとんど。100均ショップ「ダイソー」のようだ。また、パッケージのシンプルなデザインは「無印良品」を連想させる。

そして、特に気になるのがブランドのロゴだ。赤い正方形の枠に、カタカナでメイソウと描かれたデザイン、文字のフォントや色使いも含めて「ユニクロ」にそっくりなのである。

ちなみに、これは中国国内の店舗の話で、日本の2店舗では赤い正方形の枠に「MINISO 名創優品」とだけ書かれている。

だが現在、中国に328店舗を展開しているユニクロにとって、これは見過ごせない“パクリ”ではないのか。ユニクロ本社に直撃してみた。

「メイソウさんのことは認識しております。しかし、ユニクロの商標権を侵害しているかというと、必ずしもそうとは……。当社としては現時点では何かアクションを起こす予定はありません」(ユニクロ広報)

どう見てもパクってるとしか思えないけど……。

「お店に行かれたらわかると思いますが、そもそも売っているモノが明らかに違いますし」(ユニクロ広報)

なら中国では、どのように受け止められているのか? 中国有数の経済特区・広東省深圳(しんせん)市にあるメイソウを取材した。

中国では日本ブランドとして定着

向かったのは、深圳金世界店。歩行者天国の一角にあり、周囲は洋服屋や雑貨屋、そしてすぐそばには本家ユニクロがある。

国慶(こっけい)節(建国記念日)の休暇シーズンのため、店内は客でごった返していた。壁に張られた白人モデルを起用したポスターには日本語で「生活を愛するから、名創優品を愛している」という、ややわかりにくいキャッチコピーが書いてある。メイソウは“日本発”を売りにしているようで、どの商品にも日本語の記載があった。

携帯用バッテリーを持って、店員に日本製かと尋ねると「日本から輸入している」と、断言。パッケージには「made in china」って書かれているけど…。

「う~ん、でも日本の会社がチェックしている。『日本監製(監督して、作らせること)』って書いてあるでしょ」

さらに、ロゴは日本のユニクロのパクリでは?と聞くと、訝(いぶか)しげな表情でこう答えた。

「偶然の一致です。そもそもユニクロは中国の会社ですよ?」

パクっている感覚がないどころか、ユニクロの出自まで勘違いしているとは…。一般客にも話を聞いたが、メイソウという店は日本には最近まで存在しなかったと言うと、「え、そうなの?」と驚いていた。

どうやらメイソウは、“中国では”日本ブランドとしてすっかり定着してしまっているようだ。

もしユニクロのような服を売っていたら話は別だが、現状ではユニクロはまったく相手にしていないといった感じなので、何かトラブルが起きるということはなさそう。

とはいえ、日本では今後もカタカナのロゴは使わないことをオススメします!

(取材・文・撮影[日本]/頓所直人 取材協力・撮影[中国]/西谷 格)