受付はなく、会員証兼カードキーで入るのが基本的なシステム。スタッフがいる時間も限られており、夜間は無人。その代わりセキュリティカメラが設置されている。バスはなく、シャワールームのみ完備の店舗が多い

2020年の東京五輪に向け、スポーツ需要の増加が予想されるなか、大手参入でますます競争激化の予感!

24時間営業の小型フィットネスクラブが都内に急増中だ。プールやスタジオはなく、あるのはトレーニング用のマシンのみ。受付はなく、会員はカードキーの機能も持つ会員証を入り口でかざして入る。もちろん滞在時間に制限はなく、誰もが黙々とトレーニングをして帰っていく。

大型の総合フィットネスクラブにはない手軽さと料金の安さ、そして24時間365日いつでも利用できる自由さが支持されている理由だ。『月刊ジャパンフィットネス』編集部はその背景を「客のニーズの多様化」と説明する。

「マシン、スタジオ、プールとすべてそろっているのが総合フィットネスクラブのメリットですが、会員の中には目的が決まっていて『プールはいらない』『スタジオでヨガだけやりたい』という人も多い。そんな人にとって総合フィットネスクラブの月会費は割高。利用しない施設の料金まで払っていることになりますからね。だから、目的を絞った小型フィットネスクラブが増えてきた。ホットヨガ教室などもその一例です」

出店する側にもメリットがある。小規模だから初期投資がかからず、駅から数分といった条件の良い場所に店舗を構えやすい。また、「仮に失敗したときも撤退しやすいでしょうね」(『月刊ジャパンフィットネス』編集部)。つまり、小回りが利くのだ。

そんな状況のなか、今、最も勢いがあるのが「ジョイフィット24」。運営は北海道から進出してきたウェルネスフロンティア。2012年1月に1号店をオープンさせると、わずか3年で64店舗まで拡大。総合フィットネスクラブ「ジョイフィット」を加えると全国に100店舗を有する。

それを追うのが、総合フィットネスでおなじみのティップネスとメガロスがそれぞれ運営する「ファストジム24」「デイオス24」。どちらも1号店をオープンさせたのは2014年初旬。まだ店舗数は少ないが、ティップネスは2020年までにファストジム24を200店舗まで増やすという。

ここへきての大手参入の理由を、『月刊フィットネスジャパン』編集部は「カーブスの成功がある」とにらむ。アメリカから進出してきたカーブス(運営はコシダカホールディングス)は女性専用をうたうと、瞬く間に店舗を増やし、現在は1500店舗を突破。小型フィットネスクラブとしては最大手。

初期投資がかからず参入しやすい小型スポーツジム事業。さらに大手が参入し、ますます競争が激化する可能性もありそうだ。

(取材・文/井出尚志、渡辺雅史、高山 恵[リーゼント] 鈴木晴美)

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