佐藤可士和氏をディレクターに迎え、シンプルかつオシャレ感を前面に押し出した「スーツセレクト」(上)など、店構えはどこも高級ブランドのようなたたずまいだ 佐藤可士和氏をディレクターに迎え、シンプルかつオシャレ感を前面に押し出した「スーツセレクト」(上)など、店構えはどこも高級ブランドのようなたたずまいだ

若者向けスーツショップとして大都市圏を中心に展開するブランド。

実はこれら、運営はコナカやAOKIといった、おなじみの大手紳士服チェーンだ。誕生は、いずれも2000年前後。高価なイメージだった紳士服を1万9000円と2万9000円に設定する“ツープライス”という手法で割安感を出し、順調に店舗を増やしていった。

ところが、その手法も次第に頭打ちに。そこでスーツダイレクトはブランド名を「オリヒカ」に変えイメージを一新。「スーツセレクト」も、ユニクロのロゴデザインなどでおなじみの佐藤可士和氏をディレクターに迎え、シンプルでベーシックでありながら、オシャレ感を強調したブランドイメージづくりに挑戦。「ザ・スーツカンパニー」は店舗数こそ少ないが、クールビズアイテムなどに力を入れている。

だが、若者のスーツ離れは依然、進行しているのが現状だ。紳士服業界は今後どうなるのか? 元繊維業界記者の南充浩氏が解説する。

「就職活動期間が短くなり、クールビズも普及。特に若者においては人口減も手伝って、今後、スーツ需要の増加は期待できません。運営会社も異分野へ参入することで、スーツ事業の収益をカバーしていくはず。あるいは、洋服の青山が100円ショップを併設した店を出したように、コラボに活路を見いだしていくのかもしれません」

新たなビジネススタイルの提案に期待したいものだ。

(取材・文/井出尚志、渡辺雅史、高山 恵[リーゼント] 鈴木晴美)

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