わずか5年の間に、日本のレンタカー業界はふたつの波によって大きく変わった。
ひとつは、ニコニコレンタカーによる価格破壊。もうひとつは、タイムズカープラスのカーシェアリングによるレンタカーの概念の破壊だ。
ニコニコレンタカーは中古車を使用、自動車整備工場やガソリンスタンド、中古車販売店に“営業所”をやってもらうことによる人件費や運営費の削減などでコストカットに成功。1000㏄クラスの乗用車が12時間レンタルで2525円という低価格を実現し利用者を伸ばした。
タイムズカープラスは、コインパーク「タイムズ」の駐車場にレンタカーを配備。ネットや携帯サイトで予約して、駐車場に置いてある車に会員カードをかざすと車のロックが解除され、車が借りられるシステムだ。
価格はガソリン代込みで15分206円から。東京23区内に1500近くもステーションがあることや、ちょっとした買い物で利用しても1000円かからないことから都心部で人気のサービスだ。
両陣営は現在、既存のレンタカーの顧客を奪って成長している。だが、このまま双方がぶつからずに成長を続けられるのだろうか? ニコニコレンタカーの営業所であるガソリンスタンドと、タイムズカーシェアリングのステーションであるコインパークで双方の利用者の話を聞いてみた。 まずは、ニコニコユーザーから。
「ガソリンスタンドが営業所なので、返す前にガソリンスタンドを探して給油する手間が省けて便利」、「タクシーより安いので、義理の母を病院へ連れていくときに利用する」、「駅から遠い。借りに行くのに、誰かに車で送ってもらわなければならない」
続いて、タイムズ。
「月5万円の駐車場代がもったいない。だから車を売って、カーシェアリングにした」、「7人乗りの車もコンパクトカーと同じ値段だから、大きい車を借りるときに使う」、「駅に近いステーションは数台しか置いてない、便利なステーションから出発するには前々から予約しなければならない」、「会費が月1030円かかるので、使わないともったいないと思ってしまう」
ウイークポイントはあるものの、お互いにぶつかり合う要素はなさそうだ。今後は格安レンタカーとカーシェアリングが既存のレンタカーに取って代わる存在となるだろう。
(取材/井出尚志、渡辺雅史、高山 恵[リーゼント] 鈴木晴美)