“コンビニの雄”セブン-イレブンが新たに目をつけたのは、ドーナツ!
昨年10月末から一部店舗で販売を始め、今夏から全国販売予定だという。迎え撃つのは、ドーナツ市場でシェア8割以上を誇る、ミスタードーナツ。突如勃発した“ドーナツ戦争”の行方は!
■セブン本格参入で王者ミスドが危機?
昨年11月、コンビニ大手のセブン-イレブンがドーナツ販売事業への本格参入を発表した。
これにより、過去にコンビニのフライドチキンやコーヒーがほかの飲食チェーン店のシェアを大きく奪ったことから、ドーナツ業界の雄であるミスタードーナツにダメージを与えることになるのでは、という声も聞こえてくる。
そこでコンビニ業界唯一の専門誌、『コンビニエンスストア速報』の清水俊照編集長に、セブンがドーナツ業界に参入した狙いを聞いた。
「今回のドーナツ販売は、セブンの『西日本プロジェクト』という、関西以西の営業力強化の一環です。東京から創業したセブンは、関東と比べ関西の売り上げが悪い。そこで関西地方の営業力の強化にと、ドーナツに白羽の矢が立った。ですから試験販売も関西地方が優先されました」
しかし、なぜドーナツ?
「セブンは昨年末時点で1万7206店舗まで伸ばし、業界売り上げシェア約40%を誇るコンビニの王者ですが、これを支えているのは新商品への感度の高さと機動力。例えば、コーヒーはローソンが先に展開を始めたんですが、セブンのほうが全店導入を早く実現しました。このように売れる新商品を一挙に導入できる機動力がセブンの強みなんです。
そして、実は今回のドーナツもローソンが先行して始めていましたが、こちらもセブンは什器(じゅうき=ドーナツ専用の陳列ケース)を含めた全店導入を今年8月に予定しており、スピードでローソンを凌駕(りょうが)しているんですよ」
ミスドの売上げ一千億円に対し年間600億円?
全店導入ということは、やはり売れる目算が立っているということ?
「昨年11月に行なわれた発表会で聞いた話では、関西での導入初日は一店舗平均で約490個も売れたそうです。同発表会では年間6億個販売すると宣言しましたが、セブンは売り上げ目標をやや低めに設定して、達成後のモチベーションを上げる手法をよく取ります。6億個、つまり約600億円は間違いなく売れると踏んでいるはず」(清水氏)
本当に6億個売れるならば、ドーナツ業界に与える影響も計り知れない!
マーケティングコンサルタントの新井庸志(やすし)さん、ドーナツ業界やミスドの現状ってどんな感じなんですか?
「ドーナツ業界の年間市場規模は約1200億円。このうちミスドだけで約1000億円と市場の8割以上を占める、ひとり勝ち状態。競合が少なかったのが大きなポイントですね」
だが、セブン参入でひとり勝ち状態からの転落もある…?
(取材/昌谷大介、牛嶋健[A4studio])