新年度に気分を一新し仕事も自分も見つめ直したいのでは…。
そこで、まず職場環境で気になる上司との距離を縮める絶好のチャンスといえば“サシメシ”。お店選びから事前に準備しておくべきもの、上司の変化球質問への対処法まで要チェック! いろんなマナーがすべて詰まったサシメシの極意がココに!
■事前準備&序盤の進め方
上司とふたりきりの食事は緊張する。チャンスだとも思う半面、粗相(そそう)をして嫌われたりしないか心配だ。一体どんなことに気をつければいいのか。職場での立ち居振る舞いに詳しいコラムニストの後田良輔(うしろだ・りょうすけ)氏はこう語る。
後田「まず前提として、サシメシのシーンでは『デキる』よりも『カワイイ』と思われることを狙うべき。職場などでは上司も『デキる』ことを評価する義務がありますが、ふたりきりで完結するサシメシのシーンでは、自分が気持ちよくなれればそれでOK。『カワイイ』部下が評価されるのです」
ーでは、まずは店選びの方法から。
後田「基本的には上司に相談しオススメの店を教えてもらうのが無難ですが『適当に決めといて』などと任されることもあるでしょう。その際は、過去に上司に連れていってもらった店があれば『あの店がおいしかったので』と、その店を選ぶのがベスト。それだけでも上司は『カワイイやつ』と思いますよ。話しやすく距離も縮まりやすいので、カウンター席があれば予約する際に指定しておくといいでしょう」
ー当日、何か準備しておくべきものはある?
後田「必ず持っていくべきは、ポケットに入るサイズのメモとペンです。『サシメシは上司の話をひとり占めできる貴重な機会』と考えていることをわかりやすく示せるアイテムなので、なければ直前にコンビニなどに寄って手に入れましょう。
また、スマホを十分に充電しておくことも大切です。上司オススメの本や映画を教えてくれた際に、すぐに検索すると話が盛り上がります。簡易式の充電器を持っておくと、上司が使える場合もあり、さらにいいかもしれません」
中盤からは太鼓持ちタイム
では、店で席に着いたとき、まずどんな話題から切り出せばいいの?
後田「最初からプライベートな話題を出すのはなれなれしすぎるので仕事の話題が適切です。『○○さんにアドバイスいただいた企画書が通りました。ありがとうございました』など、その上司のおかげでうまくいった仕事の報告ができるとベストですね」
メニューを選ぶ際に気をつけることはある?
後田「そこも基本的には上司に委ねるべきですが『何が食べたい?』と聞かれてしまう場合もありますよね。そんな時は店員さんにオススメを2品聞き、『どちらがいいですかね?』と、やはり上司に選ばせましょう。上司の意見を尊重する姿勢をアピールできますよ」
■中盤からは太鼓持ちタイム
注文が終われば、ここからは本格的にトークで上司を気持ちよくさせる時間。ここで上司のうまい褒め方を教えてくれたのは『正しい太鼓のもち方』(宝島社)などの著書を持つ雑談ユニット、トキオ・ナレッジ。
トキオ・ナレッジ(以下、トキオ)「サシメシのシーンで最も使いやすいフレーズは『〇〇さんと飲むとビールがうまいですね』と、ただ単に酒や料理の味を褒めるのでなく、その上司と一緒だからおいしく感じるのだということを伝えましょう。大胆な太鼓持ちっぷりですが、いやな気がする上司はいないはずですよ」
ー聞き上手になって相手にしゃべらせたほうがいいと聞くけど、うまい合いの手の入れ方はある?
トキオ「自慢されたら『さすがです』『やっぱり違いますね』『想像を余裕で超えてきました!』、何かを教えてもらったら『初めて聞きました』…これらのワードを繰り返していれば上司はいくらでも話し続けてくれますので覚えておいてください」
終盤の落とし穴にも注意!
酒が進んで、上司が誰かの悪口を言い、同意を求めてきたら?
トキオ「相手が腹を割って話してきたからといって油断してはいけません。悪口は百害あって一利なし。そんな時は『いやあ、僕、○○さん(対面する上司)に嫌われたら人として終わりだと思ってます。僕のことは嫌いにならないでもらえますか』と自分の話にすり替えてはぐらかしましょう」
さらに、プライベートな話題をするにあたっても前出の後田氏からこんな注意が。
後田「やってしまいがちな失敗は『恋愛話』です。上司がモテなかったり失恋したてだった場合、恋愛話は気分を害してしまうことがあり危険なので、相手から振ってこない限り避けたほうがいいです。
上司のプライベートに踏み込む時は『ゴールデンウイークは何をされる予定なんですか?』などと休日の過ごし方を聞くのが無難。メモを取り『僕も今度行ってみていいですか?』と言えば、上司の自尊心をくすぐることが可能です。他にも好きな本や映画など恋愛以外の時間の使い方を教えてもらうといいでしょう」
■終盤の落とし穴にも注意!
会話のコツはわかったけど、まだまだ油断はできない。もしも上司の話が退屈すぎて眠くなってしまったら…何か対策はある?
後田「私が実際に使っていて、効果を発揮してくれる方法があります。それは『パンツを脱ぐ』こと! トイレに立った際にパンツを脱ぎ捨てて戻りましょう。上司からは何も変化は見えませんが、本人の緊張感は高まるので、眠気は一気に覚めます!」
ー会計時、ごちそうしてもらった際は、どう感謝を伝えればいい?
後田「『ごちそうさまです』を3回言うことですね。まず『俺が出すよ』と言われた際に1回、会計を終えて店を出た際に1回、さらに翌日、会社で会った時に1回と繰り返しお礼を言えば、上司もおごったかいを感じるはずです」
ー最後に、2軒目に誘われたけど帰らなければならない時の対処法も。
後田「『まだ仕事が残っていて』とただ答えても、せっかく気持ちよくなっていた上司の気持ちを下げるだけ。ここは『次は僕から誘わせていただいてよろしいでしょうか』と言って、いかに今日が楽しかったか伝え、次をにおわせて断りましょう」
(取材・文/高篠友一 黄 孟志)
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