1月16日、ジャパネットたかたの高田明社長(左)が退任を発表。通販番組とは違う低い声での会見も話題に。後任の長男・旭人氏が、父の志である「100年続く企業」を目指す 1月16日、ジャパネットたかたの高田明社長(左)が退任を発表。通販番組とは違う低い声での会見も話題に。後任の長男・旭人氏が、父の志である「100年続く企業」を目指す

テレビショッピングといえば、ジャパネットたかた高田明氏。今も九州なまりの甲高い声で熱烈に商品を売りまくっているが、今年1月に長男の旭人氏に社長の座をあっさりと譲った。そして、1年以内をめどに番組出演もやめるという。

これからジャパネットはどうなっていくのだろうか? 明・前社長、旭人・新社長に話を聞くために、週プレは本社のある佐世保へと飛んだ!

■大塚家具問題、高田親子には関係なし!

―旭人社長、就任から約4ヵ月たちましたが、いかがですか?

高田旭人(以下、旭人) いざ社長の立場になると、いろいろ難しいですね。今までの父の経営スタイルは“超”のつくトップダウンでした。ですが、僕はむしろボトムアップでやりたいと思っています。ただ、ボトムアップすぎてまとまらないときもあって、社長として方針やメッセージの示し方、リーダーシップの取り方とのバランスを模索しています。

高田明(以下、) ボトムアップといっても、結局はトップダウンなんですよ。部下の意見を考慮に入れたとしても、決めるのは経営者ですから。

―明・前社長はまだ66歳。退任は早い気もします。

 仕事も楽しみながら精進してきましたが、違った意味での人生を僕も楽しみたいんですよ。女房と旅行もしたいし、ゴルフでも90を切るという目標もあります。

旭人 ゴルフにハマるタイプではないと思うんですけど(笑)。

 たぶんハマりますよ。

旭人 でも、120も切れていないし、今年に入ってから2回しか行ってないんです。

 誰にも言わず、こっそりやっていきますよ。毎週、レッスンに通うとかね。あっ、ここでそんなことを言ってはいけないな(笑)。

過去の事例を見ても勝負は二代目

―旭人社長が副社長だった頃は、社内でもプライベートでも、「社長」「副社長」と呼び合っていたと聞きます。現在はどうされてますか?

旭人 こういう場ではさすがに「父」ですが、今でも別会社の社長なので、社内でもプライベートでも「明社長」と呼んでいます。

 息子のことは「社長」と呼ぶようになりました。

―やはり、普通でない親子関係ですね(笑)。明社長は、完全に退任されたんですか?

 もう会社に籍はないんです。まだ番組MCは続けていますし、外部のコンサルみたいな形で相談に乗っていますけどね。

―おふたりの様子を見ていると、大塚家具みたいな騒動とは縁がなさそうですね。あの父娘問題を、どう見ていましたか?

旭人 父と仕事で議論を戦わせることもあります。ただ、同じゴールを向いていますから、正面衝突にはならないんですけれども。会社への強い思いがあればあるほど意見は対立してしまいます。

 私の場合、会社から完全に身を引きましたからね。今は意見していますが、そのうちスパッと消えます(笑)。

旭人 過去の事例を見ても、勝負は二代目です。社内的にも対外的にも絶対的な創業者がいて、その後はきつい。うちもそういうイメージが濃いので、さらに会社を強くするのが僕の使命であり、生きがいだと思っています。

 親と子は違うんだから、気にすることないよ。ただ、越えていってくれないとね。高田明の息子というより、私が高田旭人の親父と言われるようになってほしいです。そのためには、新体制で自由にやれるということが大切。環境はつくったつもりだから、結果はともかく、しっかりやっていってほしいと思っています。

*この続きは、週刊プレイボーイ21号(5月11日発売)にてお読みいただけます!

(取材・文/羽柴重文 撮影/駄道賢剛[高田親子])

●高田旭人(たかた・あきと) 1979年生まれ、長崎県出身。東京大学教養学部卒業。2002年に野村證券に入社。03年にジャパネットたかたに移り、副社長などを経て、今年1月にジャパネットホールディングス社長に就任

●高田明(たかた・あきら) 1948年生まれ、長崎県出身。大阪経済大学経済学部卒業。74年に父が経営する「有限会社カメラのたかた」に入社。86年に前身の「株式会社たかた」を設立し社長就任。今年1月に退任した