テレビショッピングといえば、ジャパネットたかたの高田明氏。今も九州なまりの甲高い声で熱烈に商品を売りまくっているが、今年1月に長男の旭人氏に社長の座をあっさりと譲った。そして、1年以内をめどに番組出演もやめるという。
これからジャパネットはどうなっていくのだろうか? 明・前社長、旭人・新社長に話を聞くために、週プレは本社のある佐世保へと飛んだ!
■大塚家具問題、高田親子には関係なし!
―旭人社長、就任から約4ヵ月たちましたが、いかがですか?
高田旭人(以下、旭人) いざ社長の立場になると、いろいろ難しいですね。今までの父の経営スタイルは“超”のつくトップダウンでした。ですが、僕はむしろボトムアップでやりたいと思っています。ただ、ボトムアップすぎてまとまらないときもあって、社長として方針やメッセージの示し方、リーダーシップの取り方とのバランスを模索しています。
高田明(以下、明) ボトムアップといっても、結局はトップダウンなんですよ。部下の意見を考慮に入れたとしても、決めるのは経営者ですから。
―明・前社長はまだ66歳。退任は早い気もします。
明 仕事も楽しみながら精進してきましたが、違った意味での人生を僕も楽しみたいんですよ。女房と旅行もしたいし、ゴルフでも90を切るという目標もあります。
旭人 ゴルフにハマるタイプではないと思うんですけど(笑)。
明 たぶんハマりますよ。
旭人 でも、120も切れていないし、今年に入ってから2回しか行ってないんです。
明 誰にも言わず、こっそりやっていきますよ。毎週、レッスンに通うとかね。あっ、ここでそんなことを言ってはいけないな(笑)。
過去の事例を見ても勝負は二代目
―旭人社長が副社長だった頃は、社内でもプライベートでも、「社長」「副社長」と呼び合っていたと聞きます。現在はどうされてますか?
旭人 こういう場ではさすがに「父」ですが、今でも別会社の社長なので、社内でもプライベートでも「明社長」と呼んでいます。
明 息子のことは「社長」と呼ぶようになりました。
―やはり、普通でない親子関係ですね(笑)。明社長は、完全に退任されたんですか?
明 もう会社に籍はないんです。まだ番組MCは続けていますし、外部のコンサルみたいな形で相談に乗っていますけどね。
―おふたりの様子を見ていると、大塚家具みたいな騒動とは縁がなさそうですね。あの父娘問題を、どう見ていましたか?
旭人 父と仕事で議論を戦わせることもあります。ただ、同じゴールを向いていますから、正面衝突にはならないんですけれども。会社への強い思いがあればあるほど意見は対立してしまいます。
明 私の場合、会社から完全に身を引きましたからね。今は意見していますが、そのうちスパッと消えます(笑)。
旭人 過去の事例を見ても、勝負は二代目です。社内的にも対外的にも絶対的な創業者がいて、その後はきつい。うちもそういうイメージが濃いので、さらに会社を強くするのが僕の使命であり、生きがいだと思っています。
明 親と子は違うんだから、気にすることないよ。ただ、越えていってくれないとね。高田明の息子というより、私が高田旭人の親父と言われるようになってほしいです。そのためには、新体制で自由にやれるということが大切。環境はつくったつもりだから、結果はともかく、しっかりやっていってほしいと思っています。
*この続きは、週刊プレイボーイ21号(5月11日発売)にてお読みいただけます!
(取材・文/羽柴重文 撮影/駄道賢剛[高田親子])
●高田旭人(たかた・あきと) 1979年生まれ、長崎県出身。東京大学教養学部卒業。2002年に野村證券に入社。03年にジャパネットたかたに移り、副社長などを経て、今年1月にジャパネットホールディングス社長に就任
●高田明(たかた・あきら) 1948年生まれ、長崎県出身。大阪経済大学経済学部卒業。74年に父が経営する「有限会社カメラのたかた」に入社。86年に前身の「株式会社たかた」を設立し社長就任。今年1月に退任した