大手家電メーカー以外の製品がすべて「B級」の烙印を押されたのも今は昔。ジェネリック家電はすっかり市民権を得た。
この「ジェネリック家電」という名称は2013年4月、週刊プレイボーイ本誌の特集記事で初めて使用された。長引く不況で給料が上がらず、しかも翌14年4月の消費増税は決まっているという状況下で「お金をかけなくても生活はいくらでも豊かにできる!」と推薦したのが“安くても高性能・高品質なノーブランド家電=ジェネリック家電”の積極活用だったのだ。
そしてついに今年10月、業界団体として「一般社団法人ジェネリック家電推進委員会(以下、JGHEP)」が設立された。
そんな中、“驚安の殿堂”をうたい、総合ディスカウントチェーンとして日本全国に根を張るドン・キホーテで、もはや店頭の定番商品のひとつとなっているオリジナルブランド「情熱価格」シリーズの家電は2013年の「7型液晶付きDVDシステム NW-1205」、2014年の「マイボトル・ミキサーモッテイク BL-525」と2年連続でジェネリック家電製品大賞の部門賞を受賞しているスグレモノだ。
「家電はすべてドンキで買う」という声も多いが、その支持の秘密はどこにあるのか。同社のトレンド編集室室長兼SPA推進室室長・小田切正一氏に話を聞いた。
「ブームが起こったから方針を切り替えたというわけではありません。熱いご支持をいただいている理由はジェネリック家電という言葉が生まれる前から『こんな機能があったらいいのに…』『普段使いだから、もっとリーズナブルな価格でいいのに…』といったお客さまの声に応えた製品づくりを続けてきた結果だと思います。
ワンフロアで身の回りの家電が全てそろう売り場づくり
例えば、『スケルトンDVD内蔵13・3型LED液晶テレビ』は、お客さまの声に応えて商品化し、さらに完売後も熱烈なラブコールで再販されたという伝説的製品です。これからも、こんなふうに愛されるジェネリック家電をドンドンつくっていきたいですね」
また、独特な高揚感を生む売り場づくりに定評のあるドンキだが、自社ブランド以外の商品ラインアップも含め、「B級家電ではなく、しっかりしたジェネリック家電を選んでくれている」というバイヤーへの信頼の声も根強い。その理由はなんだろうか?
「まず第一に安いこと(笑)。そしてワンフロアで身の回りの家電がすべてそろう厳選された売り場のつくり方が理由ではないでしょうか。それに実はドン・キホーテでは各地域・各店舗でお客さまの声に合わせ、微妙に品ぞろえを変えていたりもするんです。
そういった経験の積み重ねからニーズに合った家電製品の研究や、価値のあるジェネリック家電の提供が可能になったと考えています。これからも『ジェネリック家電といえばドンキ!』と思っていただけるような商品や、お買い物が楽しくなる店舗空間の創造に努めてまいります!」
実店舗というユーザーとの直接の接点を持っているのは他のメーカーにはないドンキの最大の強み。そこから生まれたジェネリック家電が独特の「ツカミ」を持っているのも、ある意味では当然のことなのかもしれない。
●『週刊プレイボーイ』48号ではジェネリック家電の注目メーカーを厳選紹介! ヒット作の裏側を大検証しているのでお読みください。
(取材・文・撮影/本誌ジェネリック家電推進部)