新入社員なので悪気はないんだと思うけど…

新年度に突入し、ピカピカの新入社員との出会いが楽しみな半面、毎年悩ましいのは「新人のイラッとする行動」にどう対処するか?ということだろう。

そこで、困った後輩にも慕われる〝パイセン力〟を上げる「注意」の仕方を研究してみた!

まずは30代の先輩サラリーマン100人に「20のイラッとする新人の行動。注意せずに許せる? 許せない?」を聞いてみると…。

結果、全体的に「注意せず許せる」という意見も多かったが、詳しく声を聞くと「少しはイラッとする。けど、誰か注意するだろうと放置」という意見がほとんど。わからなくもないが…。

「いえ。ダメです! それでは本当に後輩から慕われるパイセン力は身につきません!」と警鐘を鳴らすのは『大人力検定』の著者・石原壮一郎氏。

「後輩に注意しないのは本当の意味で“いい”先輩ではありません。小さなマナー違反を指摘できる先輩こそ、後々、後輩から感謝され、慕われるのが世の常。さらに、そういう人間こそが出世もします」

また、『気配りの正解』の著者・後田良輔(うしろだ・りょうすけ)氏からはこんなアドバイスも。

「注意するからにはしっかり効果を実感させなければ意味がありません。ただ怒るのではなく、うまくアメとムチを使い分けるのがパイセン力を上げる秘訣(ひけつ)です」

では、具体的にいくつかエピソードで検証してみよう!

■取引先との挨拶の際、自分より先に名刺交換する 【許せない43人 許せる57人】

「自分がリーダーとなって進めることになった新しいプロジェクトのクライアントと初顔合わせ。先方は部長を含めた5名で待ち受けていたのですが、会議室に入るやいなや、こちらの新入社員が先陣を切って名刺交換を開始。先方からしても、決して信頼できるチームには見えなかったはず。身内に出鼻をくじかれてしまい、イラッ」(31歳・IT)

《パイセン力を上げる注意法》「この場合、クライアントの前で後輩に注意するのは会社の恥の上塗りになるのでもちろんNG。しかし、時間がたってから指摘すると〝後からほじくり返した〟感が出てしまいます。ベストは打ち合わせが終わり、相手の会社を出たすぐのタイミングで注意すること。『名刺交換の順番は責任を取る順番になっているんだぞ、先に名刺交換して大丈夫か?』と、理由をつけ加えた上で明るく注意すると『助かった』という感覚を抱くはずです」(後田氏)

後輩とパイセンの「普通です」に認識の違い?

■タクシーに乗る際、後部座席に座ろうとする 【許せない38人 許せる62人】

「クライアントと飲みに行く流れに。タクシーを止めたところ、なんと新人が真っ先に後部座席に。クライアントの手前、注意できませんでしたが助手席に座っている間中、ずっとイライラしてました」(33歳・保険)

《パイセン力を上げる注意法》「新人に対しては、タクシーが止まった瞬間、『◯◯くんは前に乗って』と指示を出すのが正解。細かい話は後からしましょう。『車とエレベーターの上座と下座のわからない人間は、社会では半人前だと認識される』と伝えれば、恥をかかせないための配慮だと理解してもらえます」(後田氏)

■メシをおごって、食べた感想が「普通においしいです」 【許せない26人 許せる74人】

「奮発して、後輩をうなぎ料理店に連れていきました。しかし、彼の口からは『普通においしいですね』という感想が。どうツッコめばよかったのか…」(34歳・公務員)

《パイセン力を上げる注意法》「まさか、『もっと言葉を選べよ』とも言えないシーン。ここは『え。普通? おいしくない?』と、明るくツッコむのがベスト。おそらく若い世代はネガティブな意味合いでなく『普通に』という言葉を使っているはずですので、その表現がマイナスに受け取られることがあるということを理解させてあげましょう」(石原氏)

「さらに、『出世する人間は皆、食事や飲みのマナーが素晴らしい』という事実も伝えるべき。共通の上司が、おいしい料理を食べた時にどんな反応をしたかというストックを持っておくといいでしょう。それを後輩に話すといやみには感じません」(後田氏)

発売中の『週刊プレイボーイ』16号では、他にも“後輩のイラッと行動とその対処法”をさらにピックアップ! 是非参考にしていただきたい。 

(イラスト/福田嗣朗)