LINEがついに上場する。しかも7月15日に東京とニューヨークでほぼ同時に上場するというのだ。
過去、何度も上場の噂が出ては否定されてきたが、このたびは正式な発表ということもあり、市場の期待感も高い…かと思いきや、2年前に上場の噂が流れた際の時価総額は1兆円とも言われたにも関わらず、今回の予測では時価総額が6千億円ほどに留まると見られている。
もはや、LINE上場にかつてのような“夢”はないのか?
『週刊プレイボーイ』本誌で対談コラム「帰ってきた!なんかヘンだよね」を連載中の“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏もこの問題について関心を寄せる。
まず、そもそも「時価総額」はどのような基準をもとに決められているのか? 堀江氏がこう説明する。
「上場してない企業の価値を算定するのは『DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法』ってのを使うのが一般的だけど、これは将来の利益予測次第で全然変わってくるんだよね。例えば、5年間継続して毎年の純利益が2千億円出そうだということになったら企業価値は2兆円でも安いってことになる」
今回のLINE上場の目的は「優秀な技術者を集めるため」という理由の他、「上場で企業としての信用を高める狙いがある」という。しかし一般の人が、企業が上場しているかどうか詳しく知っていることは珍しいはず。
だからこそ、ひろゆき氏は「LINEは何か他に目的があるんじゃないですかね?」と疑問を呈する。
「上場して時価総額が上がるメリットって、株式交換で企業を買収できることだからそれかもね。例えば、フェイスブックって『インスタグラム』とか『What’s App』っていうメッセージングアプリの開発会社なんかを買収してるけど、あれってキャッシュで買ってないんだよ。フェイスブックは20兆円以上ある時価総額を使って、株式交換することで買収したの」(堀江氏)
しかしLINE上場の目的が株式交換による買収ならば、時価総額は高いほうがいい。ますます、「なぜ、かつてより時価総額が下がったタイミングで上場するのか?」という疑問が湧いてしまう。
アメリカでの上場は必須
堀江氏も「LINEのアメリカでの存在感はあまり高くないし、時価総額だけ見たら日本単独の上場のほうが高くなると思う」と指摘する。
世界展開を見据えるならば、アメリカでの上場は必須だ。多少は時価総額が下がっても仕方ないという判断なのかもしれない。しかしアメリカには、すでに多くのメッセージングアプリが普及している。そんな中でLINEのアメリカ戦略はうまくいくのか?
「かなり難しいと思う。だってメッセージングアプリって、今、流行っているものと似たようなものを出しても厳しいからね。自分ひとりで移行してもメッセージする相手がいないとどうしようもないでしょ。それにフェイスブックの買収対象になる可能性もある。だから、上場してもかなり大変だと思うな」(堀江氏)
LINEの武器である“スタンプ”についても、英語圏の人には微妙ではないかとひろゆき氏も疑問視する。
「日本語って、ひらがなを入力してから漢字に変換する手間があるじゃないですか。なので、スタンプは便利なんですよ。でも、英語って打ったまま表示されるから、むしろスタンプを探すほうがめんどくさかったりします」
考えれば考えるほど、LINEのアメリカ戦略は厳しいように感じられる。それでも、ひろゆき氏は「とはいえ、LINEの親会社である韓国のネイバー的には、アメリカでの上場は正解な気がします。日本と心中したくないでしょうし」と意外な結論を述べる。その理由とは?
単純なシェアの拡大というよりも、韓国の企業としての合理的な判断が日米同時上場の背景にはあるのではないかと類推する、この対談の全文は週刊プレイボーイ26号をお読みください。
(イラスト/西アズナブル)