ホンダの上級車、オデッセイ、NSX、レジェンドを押しのけて(?)、存在感を示すN-BOXとN-BOXカスタム。5年ぶりのフルチェンジは異例。(左から)ODYSSEY、N-BOXカスタム、NSX、N-BOX、LEGEND ホンダの上級車、オデッセイ、NSX、レジェンドを押しのけて(?)、存在感を示すN-BOXとN-BOXカスタム。5年ぶりのフルチェンジは異例。(左から)ODYSSEY、N-BOXカスタム、NSX、N-BOX、LEGEND

新型N-BOXは正真正銘の新型車だが、見た目はオーナーでないと変わったことにすら気づかないほど初代に酷似している。

ただ、見た目はそうでも、新型N-BOXのクルマ本体は、ほとんどゼロからの新開発。しかも「ホンダ初!」の新技術と「マジで軽かよ?」とビックリするほどの贅沢(ぜいたく)装備がテンコ盛りなのだ。

そんな新型N-BOXは、ホンダの上級車であるNSX(スーパーカー)とレジェンド(最高級セダン)とオデッセイ(広くて快適)が束になっても敵(かな)わない「“現役最強のホンダ車”じゃねーの?」と思わざるをえない。

開発を担当したホンダマンにインタビューすると、彼らは従来型(=初代)N-BOXを「バケモノ」と表現する。正確に言うと「バケモノみたいに売れたクルマ」という意味だ。

初代N-BOXは、東日本大震災の影響がまだ色濃く残る2011年12月に発売された。そしてホンダはこの初代N-BOXを機に、すべての軽を「Nシリーズ」に刷新することを表明したのだ。

ホンダがこの時期に、いきなり軽に力を入れ始めたキッカケは08年のリーマン・ショック。この経済危機は世界の自動車メーカーに多大な影響を与えたが、なかでもアメリカ市場への依存度が高いホンダに与えたダメージは特にデカかった。当時は円高が急激に進み、ホンダは「アメリカに頼っていてはヤバい」、そして「このままでは日本国内でクルマが造れなくなってしまう。国内生産が衰退すると技術も止まる」という危機感を抱いたのだ。

かといって、グローバル商品で国内生産にこだわっていては競争には勝てない。そこでホンダが選んだのが「地産地消」。それは日本で造って日本で売る軽で技術や生産力を磨いて、日本の技術、そして雇用や経済も守るという壮大な発想だったのである。

そんなわけでホンダはN-BOXに続いて、N-ONEやN-WGNなどを次々と発売していく。ホンダはわずか数年で、スズキやダイハツと並ぶ軽のビッグブランドに返り咲いたのだ。

なかでも、初代N-BOXはデビュー直後から「バカ売れ街道」を走り始める。

初のフルイヤー販売となった12年度の年間販売で、当時の不動の横綱だったスズキ・ワゴンRを上回り1位を獲得! そして翌13年もダイハツの人気車種、ムーヴとタントを抑えて年間王者を勝ち取ったのだ。

14年度こそフルチェンジ直後のタントに僅差で抜き返されて2位となったものの、そこからは再び盛り返し15年度と16年度は2年連続で1位を防衛。しかも16年度は、「ホンダ史上最速で、国内累計販売台数100万台突破」という大記録のオマケもついた。

◆『週刊プレイボーイ』43号(10月7日発売)「新型N-BOXの進化がものスゴい!!」では、フルモデルチェンジしたN-BOXの中身、N-BOXバカ売れの背景と“ナンバーワン軽”の進化の裏側を検証。そちらもお読みください!

(取材・文/佐野弘宗 撮影/池之平昌信)