アメリカ株の大暴落! そのニュースが世界を恐怖に陥れた。
悪夢の再来――今後、世界経済はどう動くのか? そして、日本はどのような道を進むのか?
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それは、リーマン・ショック以上の大暴落だった。
2月5日、アメリカの株価はNYダウで過去最大となる1175ドルの下げ幅を記録(リーマン・ショック時は777ドル)。この影響を受けて世界の株式市場は大混乱し、日本も一時、日経平均で1600円以上も下落する異常事態となった。
いったい何があったのか? 金融ジャーナリストの森岡英樹氏が語る。
「今回の暴落の大きな原因は、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB=米国の中央銀行にあたる機関)の議長が、2月4日にドナルド・トランプ大統領と親しいジェローム・パウエルに代わったことです。通常、FRBの議長はエコノミストが就任しますが、パウエルは法律家。それを市場が不安がった。そのために大暴落が起きたのです」
実は、これと似たようなことが1987年にもあった。
「87年8月にFRBの議長がポール・ボルカーから、アラン・グリーンスパンに代わりました。グリーンスパンは、サックス奏者としても知られる経済コンサルタントで、彼の手腕がわからないなかでの交代だった。そのため市場に不安が広がって10月に株価が大きく下がりました。これが“ブラックマンデー”と呼ばれる世界的な株価の大暴落の始まりです」
ちなみに、アメリカはブラックマンデーの暴落から回復に転じるまで約2年間かかったという。
では、アメリカの株価が暴落すると、日本はどのような影響を受けるのか?
「現在、日本株式市場で外国人投資家が占める売買比率は60~70%。そして、その中心がアメリカ人です。当然、アメリカの株もたくさん持っている。そのアメリカの株が下がれば、利益の出ている日本株を売って損を取り戻そうとする。日本の株が売られれば、当然、株価は下がります」
日本株が暴落しても買い支えられない
しかし日本の株を支えているのは、外国人投資家だけではない。日本人投資家もいる。
「現在、日本人投資家の中でメインプレイヤーとなっているのは、日本銀行と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)です。このふたつの公的機関が日本の株を支えている。アメリカの投資家が売った株を買い戻しているわけです。
ただ、この買い支えもそろそろ限界にきています。GPIFは基本ポートフォリオ(資産構成割合)によって売買できる株は資産の50%までと決まっている。今、それが超えそうになっています。ですから今後、日本株が暴落しても買い支えられない状況なんです。
また、日銀も年間6兆円ペースで上場投資信託(ETF)を進めていて、現在、推定20兆円超の日本株を保有しています。上場企業の4社に1社が、日銀を安定株主にしている。しかし、この買い支えもすでに限界に近づいてきています」
これまで日本株が下がっても、日銀やGPIFが買い支えてきたが、今後はそれもできなくなりそうなのだ。
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(取材・文/村上隆保 写真/時事通信社)