東京五輪を控え、世界中の価値あるモノが日本に集まる今がチャンス? 趣味のコレクションの延長でいざ、実物運用=オルタナティブ投資!
■好きなモノを購入。それが転売との違い
そもそも「オルタナティブ投資」とは、"実物運用"や"コレクション投資"などとも呼ばれる投資方法で、例えば数年後に値上がりしているかもしれないという商品に目をつけて現物を購入し、資産として所有しておくというもの。
ただ、購入後すぐに売りさばく「転売」とは違い、自分の趣味や興味のあるジャンルの商品にロックオンするのがセオリーなのである!
入手したアイテムを眺めてうっとりしたり、存分に使って満喫しながら値上がりを待つ。場合によっては価値が下がるかもというドキドキのスリルも堪能。そんな楽しみながらできる投資ジャンルだ!
そこで今回は、オルタナティブ投資の入門として、読者世代の琴線(きんせん)に触れやすいであろう、カメラ、ウイスキー、腕時計、自動車の4ジャンルを中心に紹介していきたい。
まず、どうして定価以上に値上がりすることがあるのか? ウェブサイト『中古カメラビジネス通信』の運営者で、カメラ投資に精通する伊藤あきら氏に聞いてみた。
「カメラの場合、昨今はインスタグラム流行の影響などで、フィルムで写真を撮りたいという若者が増え、全体的なカメラファンが増加したことが一因。また、日本人はモノを大切にするので、コンディションのいい在庫が多いことから、外国人が日本でカメラを買って帰るというケースも増えています。
需要は撮影したい人とコレクションしたい人に分かれますが、今は前者が増えてきた状態。カメラ業界に限らず、このようなふたつの需要が重なると市場から良コンディションの商品が減るので、希少性が高まって値上がりしていくんです」
2020年の東京五輪も高騰の契機だと語るのは、ウイスキー投資に詳しいA氏。
「東京五輪で世界中の人が集まるため、それを見越してウイスキーを仕入れている飲食店や業者が多く、需要が高まっています。腕時計業界などでも、東京五輪の影響で世界中からいい時計が日本に集まってきているといわれています。
これは余談ですが、酒販免許なしでウイスキーをネットオークションに高頻度で出品すると、酒税法違反となる可能性も。年に数回程度なら問題ないでしょうが、注意してください」
■不人気モデルが逆転現象で人気に!
続いて腕時計投資家の斉藤由貴生(ゆきお)氏が教えてくれたのは、腕時計業界で起きた逆転現象による値上がり劇について。
「近年の腕時計業界では、もともと人気があったモデルの需要に拍車がかかり、さらに値上がりするというパターンが多いんです。ただ、今、人気の高いロレックス GMTマスターⅡは、十数年前までは独特な2色の色付きベゼルが不評の不人気モデルでした。
ですが、2007年のモデルチェンジで色付きベゼルのモデルが出なかったことで、それまでの色付きベゼルに注目が集まり、一気に人気モデルに。今では中古品が当時の新品を40万円ほど上回る価格になっています」
投資においてそういった逆転現象は夢のある話だが、当然甘い話ばかりではない。
輸入中古車ジャーナリストの伊達軍曹氏に、気をつけるべきポイントを伺おう。
「どのジャンルでも基本的に同じだと思いますが、値上がりするものはごく一部で、大半のものは値下がりするんです。もちろん人気のモデルは価格が跳ね上がることもありますが、それも状態がいいものに限ります。メンテナンスがしっかりされていてきれいでなければ、いくら人気モデルでも値上がりしません。
それにこれも車に限らずですが、値上がりを計算に入れて、高額のローンを組んで購入するのはやめましょう。利子、維持費、修理費、税金もバカになりませんし、いつまでに値上がりするといった保証もないわけですからね」
そう考えると、たとえ値上がりしなくても、やはり所有しているだけでも自分が満足できる好きなものを投資商品としたほうがよさそうだ!
今回紹介した以外にもオルタナティブ投資向けのジャンルをリスト化したので参考にしてほしい。
★後編⇒注目の「オルタナティブ投資」で値上がりが予想される有望商品とは?