サントリーの響17年はもともと値上がりしていたが、5月中旬に販売休止が発表され、瞬く間にぐんと高騰した

東京五輪を控え、世界中の価値あるモノが日本に集まる今がチャンス? 趣味のコレクションの延長でいざ、実物運用=オルタナティブ投資!

前編に続き、有望商品のジャンル別実例紹介から今後の値上がり展望予想までを解説する。

【有望商品その1 カメラ】
中古「コンタックスT2」⇒5年ほど前は「1万から2万円」が現在は「約8万円」までUP!

カメラメーカーを有する二大国家が日本とドイツゆえに、「日本人にとってカメラは投資対象として手頃」と語るのは、ウェブサイト『中古カメラビジネス通信』運営者の伊藤あきら氏。

「フィルムカメラのデッドストックは、定価の何倍もの価格になっているものもある。デッドストックでなくても人気のモデルは高値になっており、近年注目を集めているのはコンタックス T2。5年ほど前なら中古相場1万から2万円でしたが、現在は7、8万円に急騰しています」

高級コンパクトカメラブームを牽引したコンタックスのT2が人気再燃。5年前は1万から2万円だったものが現在は約8万円だ

コンタックス同様にコレクターが多いライカなら、M3が狙い目だとか。

「ライカのコレクターであればM3は絶対に持っていたいモデルなので、もともとの生産数も多かったのですが、それでもここ数年は値上がり中。今、国内では6万から8万円で売られていますが、最近は中国のカメラコレクターが買い集めていることもあり、海外では20万円前後することも。コレクターは、一度手に入れたらそう手放しませんから、この先も値上がりが期待できます」

一方、近年はミラーレス一眼カメラが流行し、レンズ需要も高いそう。

「ミラーレス一眼カメラではオールドレンズも使えるので、昔に比べてレンズの需要は倍増している印象です。なので、オールドレンズが値上がりしていくのはほぼ確実。例えば、"標準レンズの帝王"とも呼ばれるコンタックスのプラナー50㎜F1.4は、今は3万円ぐらいが相場となっていますが、今後値上がりしていくと思います」

カメラ投資のコツは?

「コレクターが多いメーカーの最高傑作と呼ばれるようなカメラやレンズは、投資入門として適していますね。ポイントはコンディションの良しあしを見定めて購入できるような、信頼できるカメラ屋を見つけておくこと。また、デパートの催事などで、レアな掘り出し物を見つけられることもありますよ」

ライカMシリーズの最高傑作と呼ばれ、現在、国内では6万から8万円で購入できるM3。値上がりはほぼ確実?

【有望商品その2 ウイスキー】
サントリーの「響17年」⇒希望小売価格「約1万2000円」が休売発表後すぐに「5万円超」までUP!

ウイスキーはリーマン・ショック時にもほぼ価格が下がらなかったため、資産運用における分散効果的なリスクヘッジが期待できる。

ただ昨今、ウイスキーは国内でコレクション人気が高まり、中国やインドでも需要増大。ウイスキー投資に詳しいA氏によると、国産に絞っても投資対象は多いそうだ。

「サントリーやニッカの上位グレードウイスキーは、国内外から需要が高い。サントリーの白州(はくしゅう)12年と響17年は、原酒不足による品薄で販売休止の噂があったため、もともと値上がりしていました。そんななか、5月15日に休売が発表され、瞬く間に万単位で急騰したのは記憶に新しいところ。ほかにも白州18年・25年、響21年・30年、山崎12年・18年・25年など年数表記ありのボトルはかなり値上がりしていますね」

ニッカの余市や竹鶴はどうだろうか?

「もう販売されていない余市20年は発売当初2万円ほどでしたが、現在は15万円前後まで高騰。今でも販売している竹鶴17年はNHKの朝ドラ『マッサン』で注目を集め、希望小売価格7000円に対して2万円前後の値がついています」

A氏は、コラボラベルも要注目だと続ける。

「近年では、『ゴルゴ13』や『ファイナルファンタジー』といったマンガやゲームなどとウイスキーがコラボ展開することがあり、コレクターズアイテムとして人気です。今年3月には、『銀河鉄道999』とウイスキー愛好家にはおなじみの秩父蒸溜所がコラボし、限定188本だったこともあり、販売価格は2万円ほどのところ15万円以上の値がついた実績もあります」

今はバブル状態らしい。

「確かにそうですが、ブームは水物。特にアジア圏のブームは数年以内に消えそうですし、そうなるとウイスキーは換金しづらくなる。投資で考えるならここ数年が勝負で、逆に言えば今が売り時でしょう」

2月発売のTHE ESSENCE of SUNTORY WHISKY。希望小売価格は5000円と1万円。数量限定のためすでに値上がり中

【有望商品その3 腕時計】
中古「パテック フィリップ ノーチラス5711/1A」⇒3年前は「200万円台後半」が現在は「500万円台後半」までUP!

自動車やウイスキーに比べ、日常使いをしても価値が下がりにくいため、投資向きともいえる腕時計。腕時計投資家の斉藤由貴生氏に解説してもらおう。

「今、どんどん人気が高まっているのが、パテック フィリップのノーチラス5711/1A。約3年前は中古で200万円台後半という水準でしたが、現在は500万円台にまで値上がりしています。また、2007年以前は不人気だったロレックス GMTマスターⅡ 6710は、新品で35万円程度でしたが、2015年頃には中古で50万円台後半まで値上がりしていました」

どちらも夢がある!

斉藤氏が過去に所有していたロレックス GMTマスターⅡ。GMTマスターⅡは十数年前まで不人気だったが、近年値上がりしている

「ロレックスのデイトナも5年ほど前から大人気ですが、デイトナもノーチラスも人気すぎて、正規店でもほぼ新品が入荷しない状態。定価で購入するのは困難となっています。ただ現在の社会情勢や経済動向を見ると、パテック フィリップ ノーチラスに限らず、今年後半でさらに値上がりしていく可能性がある腕時計もあるでしょう」

斉藤氏いわく、今年発売されたばかりの新型モデル、ロレックス GMTマスターⅡ 126710 BLROも人気が高まるだろうとのこと。では腕時計投資をする際のポイントは?

「ロレックスほどの大定番は別ですが、数年で急に人気が高まり、時計に詳しくない女性にも名を知られるほど大流行するようなブランドは、価値が暴落しやすい印象があるので要注意です」

普通のJDやOLからの認知度も高まったものは投資向きではないと。

「当然ですが、初心者がいきなり値が上がる時計に狙いをつけるのは難しい。最初は値下がり覚悟で、高級腕時計を楽しもうというスタンスで買うといいでしょう。そういう意味では、ロレックスは価値が下がったとしても暴落することはほぼないと思うので、腕時計投資入門向けといえるかもしれません」

こちらも斉藤氏が過去に所有していたパテック フィリップのノーチラス 3710/1A。ノーチラスシリーズは軒並み値上がりした

【有望商品その4 自動車】
中古「ランチア・デルタ インテグラーレ」⇒かつては「200万円台」が数年前から「500万から900万円」にUP!

クラシックカーはここ数年でさらに相場が上昇中とか。輸入中古車ジャーナリストの伊達軍曹氏に事情を聞いた。

「4、5年前から往年の名車を外国人バイヤーがバンバン買いに走っているんです。なので近年、相場はさらに上がり、例えばフェラーリ308、328、355は以前は数百万円でしたが、現在は1000万から2000万円。

また、ポルシェ911のタイプ964は、10年ほど前なら350万円少々でそこそこ状態がいいものが買えましたが、その後MAX時は1000万円まで上昇。今は700万から800万円で落ち着いていますが、世界的に人気がある"推し銘柄的モデル"なので、また値上がりする可能性は高いです」

もう少し庶民でも手が出しやすそうな車は?

「プジョー205は狙い目かもしれません。昔なら50万円で買えていた車がすでに値上がりしていて今は100万円ぐらい。ただ、将来的には150万から200万円まで上がると予想しています。シトロエン2CVもかつては70万円くらいで買えましたが、今は150万円前後まで上昇。将来的にはここから250万円ぐらいまで上がるかもしれません。

イギリスのスポーツカーブランド、MGのMGBは、今、状態がいいものが270万円ほどですが、もっと値上がりする可能性もあります。日本車でも昭和の旧車は値上がりしているものが多く、イタリアンデザインがカッコいい、いすゞのベレットや117クーペなども、さらに上昇するのではないでしょうか」

狙い目のシトロエン2CVは1948年に登場して以来、1990年の生産終了までモデルチェンジしなかったシーラカンス的な車

とはいえ、予想はひと筋縄ではいかないとも。

「昔、私はランチア・デルタ インテグラーレというイタリア車を200万円で購入して乗っていました。しばらくして170万円で売ったんですが、実はこの車が2014年頃から値上がりして、私が乗っていた状態のものが今は500万から900万円まで上がり......。相場を読み切るのはとても難しいんです」

さすが額がハンパない。

現在は500万から900万円で取引されているランチア・デルタ インテグラーレ。張り出したフェンダーがイカす

*記事内の表示価格は5月22日現在の参考価格です