「串カツコース」の場合、一回の注文はひとり5本まで。ただし、最初はワンドリンクと人気の串カツ4種盛りからスタート 「串カツコース」の場合、一回の注文はひとり5本まで。ただし、最初はワンドリンクと人気の串カツ4種盛りからスタート

「串カツ田中」が8月16日から始めた「食べ放題コース」が話題になっている(前日までに予約が必要で、予約は2名から。一日30名、平日18時までの来店者限定。制限時間120分、90分でラストオーダー)。

食べ放題は毎年期間限定で実施されてきたが、それを通年にしたのだ。その理由を「串カツ田中」広報の永瀬もなみ氏が説明する。

「食べ放題はお客さまにとても好評で、継続のご要望が多く寄せられていました。居酒屋業界は18時までの早い時間帯、お席に余裕があるので、この時間帯に食べ放題コースを用意することで集客につなげられればと思っています。

また、今年6月1日から受動喫煙対策を徹底したことで、ファミリーや学生のお客さまが増えました。そこで家族や若者で楽しめるように通年化にしました」

通年化された食べ放題は「ほぼ全品食べ放題コース」が2354円、「串カツ食べ放題コース」なら1598円とかなりリーズナブルだ。

串カツは1本108~216円なので"串カツコース"なら10本程度、本来600円以上する一品料理も食べ放題の"ほぼ全コース"なら串カツ8本に一品料理を2、3品食べれば元が取れる。

「串カツコースだと、皆さん平均15本くらいは召し上がっていますね」(永瀬氏)

でも、それじゃ赤字になってしまうのでは?

「まだ始まったばかりでなんとも言えませんが、大丈夫だと思います(笑)。そのために時間帯を区切ったり、人数を限定していますので」(永瀬氏)

しかし、この食べ放題戦略には、赤字になったとしても十分な宣伝効果があるとフードジャーナリストのはんつ遠藤氏は言う。

「食べ放題というプラン自体に話題性があり、SNSとの親和性が高い。例えば『今、串カツ田中の食べ放題に来てる!』というだけで投稿しやすいですし、串カツ全種類の写真を撮ればSNS映えします。

ほかにもSNS戦略として、"自分で作るポテトサラダ"というメニューがあり、注文した串カツを待つ間の時間を楽しませる工夫をしています。ポテサラを作っている様子を動画に撮ってアップする人もいるでしょう。しかも、食べ放題は新しく食材を用意する必要がなく、やろうと思えばすぐにできる。コスパのいいイベントなんです」

そこで実際に「串カツ田中」に行き、串カツ34種全制覇に挑戦してみた。最初は人気メニューの牛、豚、紅ショウガ、タマネギを勢いよく食べてスタートしたものの、20本を超えたあたりからペースダウンし、結局28品でタイムアップ!

実感としては、ひとりで全種食べるのはかなり厳しい。だが、ふたりなら半分ずつ頼んで写真を撮れば、全種類をコンプリートできる。

「実は今、若い人がお酒を飲まなくなってきたので、居酒屋チェーンはファミリー向けにシフトしつつあります。『串カツ田中』はその先陣を切っていると言えるでしょう」(はんつ氏)

「串カツ田中」に続いて、今後は他チェーンでも食べ放題が流行するかも?