"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏による『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」。

今回のテーマは、日産自動車の元会長カルロス・ゴーン容疑者が逮捕された事件。前編では、人権を無視した日本の"人質司法"を批判した上で、経営陣によるクーデター説が強いこの事件を映画『七人の侍』になぞらえ、「日本の会社を投資して助けようとする外国人はだいぶ減ると思う」と語った。

* * *

ひろ 投資ファンドみたいなところが資金を投入して、リストラとかして経営状態の見栄えをよくして、再度、売っぱらうみたいなケースはあるでしょうけど、ゴーンみたいに本腰を入れて10年後も利益が上がる体制にするとか、やらないっすよね。

しかも、今回の事件って被害者不在なんですよ。経費として計上されていたのが役員報酬なのか、私的流用なのかって話であって、PL(損益計算書)やBS(貸借対照表)には影響を与えない。つまり、株価に影響があるわけでもないんです。業務上横領で逮捕なら、まだ話はわかるんですけどね。

ホリ でも、横領を立証するハードルは高いよね。そう思ったから、確実にやれる金融商品取引法違反容疑で逮捕に踏み切ったんだと思うよ。んで、有価証券報告書の虚偽記載で有罪にでもできりゃ検察の勝ちって感じで摘発に踏み切ったんじゃないかな? ほんと怖いわ。

ひろ 「業務のどこまでを報酬に含むべきか?」というポイントは、見解が分かれるところですからね。例えば、本当に小さい話だと、夜中に作業していて秘書が経費で買ってきたハンバーガーを食べたとかも「役員自身が支払うべきコストを会社が負担したので横領」と言えないこともない。

海外出張で予備の日をつくっておいたものの、用事が入らなくて1日オフだったとかでも、その1日分は余暇なんだから会社が費用を払うべきではないとか。

ホリ そのへんはどちらとも言えるね。

ひろ だから、こういう「どっちでも言えるようなことで、逮捕されちゃう国ってどうなの?」 と思うんすよ。日本人が日本人を逮捕しているなら、海外的には「勝手にやってるな」という感じですが、フランスの会社の代表を日本の微罪でいきなり逮捕するんですからね。

ホリ こんな状況で会社をやってるとか、本当、アホくさい。だから俺は会社の社長やるのをやめたんだもん。

ひろ 支出の事由に関しても、日本の常識だと海外出張に奥さんを連れていくのはアウトですけど、アメリカ大領領の晩餐(ばんさん)会に呼ばれたとかだと妻同伴は常識だし、独身だったら誰か親しい同伴者を連れてくのが正しい作法なわけで。「海外ではこういう慣習です」って言われちゃうと、裁判所も「そうですか」としか判断できなかったりしますよね。

んで、社会的にあーだこーだ言われるぐらいならまだしも、逮捕までされちゃうと「そりゃ、日本の会社の経営をやろうとする外国人は減るよな」と。で、「外国人なんかいらん。日本人で経営すればいい」みたいに言う人もいると思いますけど、そのせいで、日産もシャープもダメになったわけで......。

ホリ まあ、この内紛によって、ルノーも日産も三菱自動車も未来が明るいものじゃなくなるかもね。これから、EVとか自動運転、モビリティ革命によって自動車業界は大きな変化が来るのに大変だよな。まあ、俺はどの会社の株主でもないから困らんけど(笑)。

ひろ そっすね(笑)。

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。SNS株式会社オーナー兼従業員。西野亮廣氏との共著『バカとつき合うな』(徳間書店)が発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき)
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著に『論破力』(朝日新書)

★「ホリエモン×ひろゆき 帰ってきた!なんかヘンだよね…」は土曜・日曜日更新!★