"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏による『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」。
今回のテーマは、"安い国"日本。前編では、両氏が「海外に行かない人はなかなか気づかないだろうけど、本当に日本のモノやサービスは安くなってる」と語り、その原因を「海外で売れる価値のあるものが作れていないから」と分析。そんな「みんなで貧乏まっしぐら」な状況なのに、「金持ちが金を使うとアレルギー反応的に批判する」「商品価格を上げるのが悪いという謎の意識も強い」と指摘した。
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ホリ まあ、店側は鳥貴族の例(18円値上げしたら、お客さんが減った)もあって値上げをするのが怖いんだろうね。
ひろ 値段を上げたら来なくなる客って「おいしいから」じゃなくて「安いから」来ているだけで、本当のファンじゃないですよね。
ホリ そそ。だからこれから日本人が世界で稼ぐためには、ファンづくりが大事になってくるよね。
ひろ ファンづくりなんて、ビジネスの世界では常識ですからね。例えば、スターバックスクラスのコーヒーを出す店なんて日本中にたくさんありますけど、「おいしいコーヒー」じゃなくて「スタバのコーヒー」を飲みたい人をつくるのが、スタバがやっているビジネスですから。
ホリ それが「ブランディング」ってやつだよね。日本はブランディングをしないで、原価の積み上げで価格設定をしがちなんだよ。
ひろ ですです。別に安いだけなら中国製品とかを買えばいいわけですから。いかに付加価値をつけるかで先進国は戦っているわけで。
ホリ シャンパンなんて原価が1本10ユーロ(約1200円)を超えることなんてほとんどないんだけど、値段をめっちゃ高くしても飛ぶように売れている。
ひろ ワインもシャンパンも原価はそんなもんですよね。ブドウを育てて搾って、樽に入れて出来上がりなので。でも、「シャンパン」と名乗ることができる条件を厳しくしたり、品質管理を徹底することで、ブランドの格を上げて単価も上げている。
「シャンパンと同じ製法で造られた」と宣伝しているスパークリングワインとか、スペインのカヴァとかも十分おいしいんですけど、それがブランディングの違いっすよね。
ホリ シャンパンの例はわかりやすいよね。
ひろ さらにヘンなのが、外国のブランドなら高くても許すんですよね。でも、日本製だと途端に批判する。例えばフランク ミューラーならいくら高くても納得するけど、同じようなことをセイコーがやったら「ぼったくり!」と叩くでしょうから。
ホリ そのことに気づかない限り、日本は安い国から脱却できないな。
ひろ 国も足を引っ張っていますよね。楽天が送料無料を打ち出そうとして、独占禁止法違反の恐れがあると公正取引委員会から怒られるんですから。
ホリ アマゾンに対抗するための策で打ち出したんだろうけど、そのアマゾンはすでに送料無料をやっているのにね。ヘンだよね。
ひろ えぇ。日本ってブランディングがへたってのもありますけど、政府が企業の足を引っ張って、海外の企業が日本に進出する手助けをしているヘンな国でもあるんですよね。
●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。SNS株式会社オーナー兼従業員。新刊に『夢を叶える「打ち出の小槌」』(青志社)
●西村博之(にしむら・ひろゆき)
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著に『凡人道 役満狙いしないほうが人生うまくいく』(宝島社)