独仏で人気の電動キックボードシェアリングサービス「LIME-S」。昨年はメルセデスベンツも市場に参入(画像提供/滝田氏) 独仏で人気の電動キックボードシェアリングサービス「LIME-S」。昨年はメルセデスベンツも市場に参入(画像提供/滝田氏)

最近、街中でもチラホラ見かける電動キックボード。ハンドルのスロットルを回せば最高時速20キロほどで走行でき、玄関に収納可能できるほどコンパクト、バッテリー充電は家庭用のコンセントに対応。バイクや自動車よりもお手軽な移動手段として注目されているのだ。

そんななか、FUGU INNOVATIONS JAPANが公道走行も可能な電動キックボード「FG‐EKR01‐BK」を、3月上旬からドン・キホーテ系列店舗(一部店舗を除く)で販売開始。約3.5時間充電で最長20kmほど走行でき、価格はなんと従来品を大幅に下回る3万9800円(税抜き)!

これは電動キックボード普及への大ブーストになるのか? そして課題は? すでに都市部では定番の乗り物として活用されているドイツやフランスでの取材経験がある家電&EVスペシャリストの滝田勝紀氏に聞いた。

「今回、ドンキで販売されるモデルは"公道走行可能"がウリになっています。

これまで公道走行可能なモデルは7万~10万円ほどしていたから、ずっと買いやすくなりました。ブレーキはもちろん、前後ライトや番号灯、ミラー、ホーンなど原動機付自転車(原付)と同じようにナンバー取得のための装備が搭載されています。ユーザーが自治体でナンバーを取得し、自賠責保険へ加入すれば、原付として公道走行が可能になります」

ナンバー取得が思いのほか手間。でも最近、日本でも街中でよく見かけますよね?

「現状はほとんどがナンバー無取得の"闇電動キックボード"、つまり完全な道路交通法違反です。許可された私有地以外ではナンバーを取得し、一般的な原付と同じく車道の左側を走行、ヘルメット着用。もちろん原付免許も必須。これが国内での公道走行のルールですッ!」

なるほど。電動キックボードが普及しているEUでも、そのように運用している?

「ドイツやフランスでは自転車扱いなので、免許やナンバー取得、ヘルメット着用の義務はありません。もともと観光客向けのシェアリングサービスで普及し、アプリから【登録→車体ロック解除→走行】ができ、乗り捨てもOK。この利便性から、今では都市部の日常の足として活用されています。2km圏内の移動には最適な乗り物なんですよ」

そして、気になるのが走行時の安全性!

「海外の多くの国では歩道、もしくは自転車専用道を走行します。タイヤ径が小さいため、段差の多い歩道では怖くて時速10キロ以下でしか走れませんが、自転車専用道なら全速の時速20キロでも快適です。立ちゴケの心配もなく、安全性は自転車より高いと感じましたね。

一方、国内だと原付扱いになるので、車道を時速20キロで走ることになりますが、この速度では流れに乗ることすら厳しい。そもそも加速が良くないので、交差点の右折は命がけなんです」

危険すぎ! 日本で普及するには何が必要?

「自転車専用道が充実し、法的な縛りの少ないEUや中国では、シャオミなどの大手テック企業からマセラティといった自動車メーカーまで参入するほど市場が完成しています。

日本では行政手続きや公道走行の危険性など、まったく環境が整っていませんが、世界的に需要はありますから、国内大手自動車メーカーが本気で参入すれば環境も変わってくるでしょう。そのためにもナンバー無取得で乗り回すのは絶対にやめてほしい。法規制が厳しくなってしまうだけですからね」

今後も要注目の電動キックボード。くれぐれも道交法厳守でお願いします!

※編集部注:この商品はFUGU INNOVATIONS JAPAN社が販売し、ドン・キホーテで取り扱うものです。当初の記事タイトルおよび記事本文の一部において、あたかもドン・キホーテが企画・制作・販売しているかのような誤解を与えかねない表現がありましたので、3月16日に訂正させていただきました。