ついにコロナが5月から5類に! 経済再開となれば株にも影響があるが、とはいえ観光関連などのめぼしい企業はとっくに物色されている。そこで『週刊プレイボーイ』は、5人の株名人にド直球の質問をしてきました。「みんなにまだ注目されてない、入魂のアフターコロナ銘柄を教えてください!」
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■航空会社や百貨店への投資は手遅れ
5月から新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけがインフルエンザと同じ「5類」となる予定だ。これに先立ち、3月にはマスク推奨もなくなる。大規模イベントはすでに無制限となっており、いよいよコロナの出口が見えつつあるのだ。
株式アナリストの平野憲一氏は、「日本経済は平常モードに戻っている」と語る。
「海外からの観光客は昨年秋から急回復を始めました。12月の訪日外国人は137万人で前月比5割増。通年の訪日外国人の約73%にあたる約280万人が、10~12月の3ヵ月で入国しているのです。
ゼロコロナからウィズコロナへ急旋回した中国からの人流が回復すれば、インバウンド需要の大爆発は確実です」
海外だけではなく、国内でも消費マインドは変わりつつある。
内閣府が発表した家計貯蓄率を見ると、コロナ前の平均貯蓄率は1.2%程度だったが、2020年には11.0%、21年には7.2%と急上昇。ところが、最新の調査結果である昨年7~9月期には3.1%まで低下しているのだ。
シンクタンクのニッセイ基礎研究所の推計では、貯蓄率は24年度末までにコロナ前の水準に戻るという。つまりこの先、今までため込まれた貯蓄がリベンジ消費として使われる可能性があるのだ。
であれば、消費の向かう先となる百貨店や航空、鉄道、あるいは観光関連の会社に投資すれば儲かりそう!......と考えたくなるが、めぼしい企業はすでに魅力が薄れている。
例えば航空。日本航空、全日空共に株価は21年末から上昇基調に乗ったものの、昨年11月に息切れして以降は下落が続いている。百貨店も同様で、三越伊勢丹HD(ホールディングス)は20年8月からほぼ一本調子で株価を上げ、コロナ前を上回った後、現在は足踏みしている。
つまり、真っ先に思いつくような銘柄だと、すでに経済再開が株価に織り込まれてしまっているのだ。であればこの先は安直な連想を脱して、ひとひねりを加えた銘柄を選ぶのがキモとなる。
■対面復活で伸びる意外な会社
まずは前出の平野氏に、イチオシの銘柄を聞いた。同氏が注目しているテーマは「対面復活」だという。
「中でも、イチ押しは『シロアリ防除』。というのも、シロアリ防除を行なうためには、防除サービス会社の営業マンが住宅を訪問して依頼者の話を聞き、実際に床下に入って隅々まで見る必要があります。ところが、これまではコロナによって対面営業が大幅に制限されていたのです。
対面が本格復活となれば、シロアリ防除の受注は大幅に増えるはず。そこで恩恵を受けるのが、農協との業務提携で消費者の信頼が厚い、業界トップのアサンテです」
アサンテはシロアリ防除に加えて、床下の耐震補強工事も行なっている。この二枚看板は住宅の長寿命化・中古住宅の流通促進という国策にも合致しており、事業成長の余地は大きい。
同じく対面復活というテーマで銘柄を挙げたのが、国内の株式銘柄情報を網羅する『会社四季報』の〝伝説の編集長〟こと山本隆行氏だ。目をつけたのはなんとコンドーム!
「この3年、外出を自粛していた若年層に出会いが増えれば、コンドームの消費量は増えるはず。そこで相模ゴム工業を推します」
薄さ0.02㎜の「サガミオリジナル002」は、05年以降国内トップブランドに君臨。今後はインバウンド需要にも期待できるという。
「直近の株価は700円をうろついていますが、コロナ前の18年には3000円をつけていました。当時、中国人観光客のコンドーム爆買いがたびたび報道され、投資家の注目を集めたのです。中国人観光客が戻り、爆買い復活となれば、再度3000円をうかがう展開もあるでしょう」(山本氏)
■観光復活がなぜか追い風となる、ある部品メーカー
「観光の復活」にもひとひねりを加えてみよう。「ホテル向け高級ベッド」に目をつけたのは、『週刊プレイボーイ』本誌連載「街歩き投資ラボ」でおなじみの株式評論家、坂本慎太郎氏だ。
「観光需要の復活は、ホテルや旅館の設備投資需要に直結します。そこで、世界的な高級ベッドブランド『シモンズ』を日本国内で製造する子会社を持つニフコには大化けの可能性があります」
高品質ベッドを製造する能力が買われ、宿泊施設へのベッド直納が今伸びているという。フォーシーズンズやマリオット、ペニンシュラ、帝国ホテルといった超一流ホテルからの引き合いに加え、アジアの23ヵ国での販売も手がける同社は、目下の円安も強烈な追い風となっている。
「ちなみにニフコ自体は部品メーカーで、株価は3000~4000円の間を長くうろついています。シモンズの引き合いが増えれば、4000円抜けもそう遠くないでしょう」
続いてご意見を伺ったのは、サラリーマン兼業で2.5億円の投資資産を誇り、66銘柄もの10倍株を発掘してきた個人投資家の愛鷹(あしたか)氏。イチ押しは、前出の坂本氏からも名前が挙がった寿スピリッツ。
「鳥取発のお土産菓子メーカーで、『LeTAO(ルタオ)』『東京ミルクチーズ工場』『築地ちとせ』などのブランドが人気です。高利益率なのも魅力的なのですが、日次単位での販売情報収集により、商品の企画開発に速やかに反映できるのが最大の強みです」
同社は日本の旅の中心地、東京駅でお土産ランキング1位を獲得したこともあり、まだまだ成長が見込めるという。明治、森永、カルビーなど有名お菓子メーカーがひしめく中、同社はなんと時価総額トップをうかがう勢いだ。
「コロナ禍の底から株価はすでに2倍以上となり、現在は8600円付近まで来ています。早い段階で1万円の大台を突破しても不思議はありません。株価が高いので、1株単位で購入できる証券会社を利用してもいいと思います」
最後に、04年から専業投資家となり、メディアで活躍する個人投資家の先駆者となったDAIBOUCHOU氏にとっておきの銘柄を聞いた。
「ウェルネットはコンビニやネット通販のほか、バス乗車券の決済で大きなシェアを持っています。これがポイントですね。
というのも、観光に加え、人々の生活に欠かせない帰省やライブ、イベントなどがコロナ前と同じように行なわれるようになるので、バス需要は激増するのです。おまけに、会社に出勤する人も増えそうですから、バス定期券の決済も増加します」
ウェルネットの株価は現在上昇気流に乗り、700円をうかがう勢い。DAIBOUCHOU氏は、経営計画どおりにいけば今年度中に株価が1.5倍になる可能性があると言う。
取り上げた5銘柄に識者イチ押しを加えた全14銘柄を上の表にまとめた。マーケットに訪れた久々のビッグテーマ、どうせなら踊らにゃ損々?