伝説のセクシー女優・小室友里 伝説のセクシー女優・小室友里
今年ももう6月を迎え、4月入社の新入社員も会社と新たな生活に慣れてきた頃かもしれない。この記事を読んでいる読者の皆さんの中には、30~40代の管理職の方もたくさんいるかと思うが、彼らとのコミュ二ケーションは円滑に取れているだろうか?

部下との距離感が図りづらいこのご時世に伝説のセクシー女優・小室友里先生が、絶対に部下にとってはいけないハラスメント行動の数々を教えてくれた。

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――小室友里さんは1990年代後半にAV界のトップに君臨。世界初のDVDでのアダルト作品を発表し、その経済効果は60億円とも言われています。現在はどんな活動をされていますか?

小室 引退後には心理カウンセラーの資格を生かして、男女間のコミュニケーションの専門家として講演会をしたり、セミナー講師としてお話をしたりしています。

――講演会のテーマで多いのは?

小室 もちろん、セクハラに関してですね。会社や学校などさまざまなところで問題になっています。それについて、新しい視点で解決方法を提示しています。

――テレビや新聞で、会社の社長や市長などによるセクハラ問題が報道されています。

小室 セクハラの行為者がよく言うのは、「そんなつもりじゃなかった」「(相手のことを)よかれと思って」のふたつです。

――組織の中で「えらい人」、権限を持った人のよるセクハラが特に目立ちますね。

小室 大きな権限を持っていないから「自分には関係がない」と思っている人が多いのですが、そんなことはありません。誰にだって、セクハラ行為者になる可能性があります。

――「偉い人」でなくてもその可能性がある?

小室 そうです。30代、40代の中間管理職で、「俺には関係ない」「俺はやらない」と思っている人が危ないんです。ちょっとしたことで足元をすくわれてしまうかもしれない。

――セクハラ事案が起こりやすい場所、タイミングはありますか?

小室 私がよく聞くのは、会社からちょっと離れた場所、空間、コミュニケーションの場ですね。歓迎会や忘年会、プロジェクトの打ち上げなどがそうですね。お仕事とプライベートの境界があいまいになるところが危ない。

――当然、そこにはお酒があったりしますし、出席者はオフィスにいる時よりもリラックスしています。新型コロナウイルスの感染拡大によって、そういう場は減りましたが。

小室 でも、去年の秋くらいから、セクハラに関するトラブルについて聞くことが増えましたね。楽しいコミュニケーションの場だからこそ、はしゃぎすぎ、やりすぎることがある。

――ついつい楽しくて、の先にセクハラがあるということですね。

小室 そうです。酔っ払ってボディタッチをする、肩に手を回す、顔と顔の距離が近くなる......相手の同意がなければ、全部アウトですね。

――でも、「ちょっと触るよ、いい?」と言う人はいませんよね。

小室 それが日本の文化ですから。

――昔は「いいじゃないか、減るもんじゃないし」と言う人もいました。

小室 絶対に、そんなことはありません。やられた人は自尊心が損なわれます。目に見えないものが失われて、トラウマになるんですよ。「減るもんじゃないし」というのは、被害にあった女性に対して女の人が言う言葉でもあります。女の敵は女だという......。

――40代以上の男性から「何がセクハラなのかわからない」という声が聞こえてきます。NG行為が多いとコミュニケーションさえ取れないと。

小室 何がセクハラで、何がセクハラじゃないか。その境界線について議論をするのは時間のムダだと思っています。「その人が嫌だと思うこと」をする、強要するのがハラスメントです。今は、その「嫌」の事例をたくさん出しているところですね。

――ルールブックのようなものがあればいいのですが。

小室 はい。でも、いわゆる公の組織は、人の心に関することに対して何かを定めることがお得意ではありません。現在は、「一般的に不快と感じることはやめましょう!」ということを広めているフェイズですね。

――明確なルールがないからこそ、難しい。40代、50代の男性が女性に「髪の毛、切った?」と言うのもセクハラですか。

小室 そう感じる女性が多いかもしれません。ただ、そこは受け手の感情なので、絶対にNGとも言い難い。発言した人のことを女性が好ましく思っていれば「気づいてくれてうれしい」になりますが、どうでもいいおっさんには言われたくない。


――「きれいなネイルしてるね」というのは?

小室 相手によっては「げっ、気持ち悪い。このおやじ、私の指、見てる......」となります(笑)。そうなれば、セクハラですね。

――大事なのは、その人に自分がどう思われているかということですか。

小室 その通りです。自分はどのポジションにいるかをしっかりと認知しなければいけない。

――なるほど。まさに、ケース・バイ・ケースですね。「俺にはたいした役職がないから大丈夫」だとは言えない?

小室 そうですね。部長だとか、課長だとかの役職に関係なく、「人としてどうか?」が問われるということ。その人との関係性の把握・理解が必要ですね。

――それができていないと、コミュニケーションのつもりが「セクハラ!」と言われる悲劇に襲われるわけですね。

小室 たったひと言、たったひとつの行動が致命傷になることがあります。だから、会社の中心にいる人たちは「指示と指導の境界線がなくなった」と困っています。本当は伝えなければいけないことを伝えられない。指導がハラスメントになってしまうから。お互いの信頼関係がないとそうなりますね。

――相手の情報を知らないとコミュニケーションが取りにくいのも事実です。でも「出身はどこ?」は大丈夫ですか。

小室 微妙ですね。人によっては嫌がります。

――「兄弟は何人いるの?」も。

小室 同じですね。

――日本の社会や組織のあり方はあまり変わっていないのに、「NG行為」が増えているようにも思えます。

小室 今は、傷口に絆創膏を貼って、黴菌が入らないようにしている状態ですね。元のあり方が変わらない限り、セクハラ事案が発生し続ける可能性がありますね。

――40歳以上の男性がハラスメントととらえられないようにするために必要なものは?

小室 「かわいげ」ですね。見た目がかわいくなくてもいいんです。かわいげさえあれば。かわいげがほしい。

――かわいげですか?

小室 言葉がきつくないとか、清潔感があるというのはコミュニケーションを取るうえでの大前提。ハラスメント防止のためには、かわいげが必要なんです。

――かわいげを表す数値はありません。「かわいげ3級」とか決まっていればいいですけど。

小室 そこが難しいところ。でも、まわりを見渡してみると、「なぜか許される人」っていませんか。自分がミスしたことをサラッと話せる人、失敗を笑いに変えられる人。

――そんなかわいげがあると、何が変わりますか?

小室 かわいげがあって「なぜか許される人」はまわりから指摘されることが増えるんです。おかしなことをした時に「あれはマズいですよ」「言い方に気をつけないと」と言ってもらえる。

――自分の行動や考えを修正するチャンスをもらえる?

小室 そうです。ハラスメント領域にいることは、自分ではなかなか気づけない。他者から指摘されないとわからないことが多い。

――上司に若手が注意するのは難しいことですが、かわいげがあれば可能だということですか。

小室 もしその人にかわいげがないと、誰も注意してくれないから、自分のNG行為に気づけない。告発された時にはもう終わりですよね。

――なるほど。

小室 注意された瞬間はバツが悪かったり、恥ずかしかったり、腹が立ったりかもしれませんが、それで軌道修正ができる。年齢に関係なく、みんなに共通することです。

――今回は特に、40代、50代男性に対して注意喚起をしていただきました。でも、男女問わず、考えないといけない問題ですね。

小室 日本がまだ男性優位の社会だから、女性が声をあげることが難しい。だけど、声が大きすぎたり、角が立ちすぎたりするという問題もあります。現代の男性の生きにくさという部分を、女性も一緒に勉強してくべきだと思います。

――男が悪いんだから、男だけが気をつけろ! という話でもない、と。

小室 女性が男性より強い社会になることを望んでいるわけではありません。どちらが上だということはない。男性と女性が同じように、いい関係で暮らせる社会になればいいと思って、私は男女間のコミュニケーションの専門家として活動しています。

――小室さんが悩んでいることはありますか?

小室 ひとつ、あるんですよ。講演会とか、それ以外の場でも、女性から胸を触られることがあります。「おっきいね」と言いながら。そういう時は正直、怖い。同性で手をつないだり、ハグしたりする人も多くて、女性同士なら「ボディタッチも許される」という認識なのかもしれません。でも、私自身は苦手で......。

――同性だと、「やめて」と言いづらい?

小室 もちろん、男性には「No!」と言えるけど、対女性の場合は......課題として残っています。

――触った人は「そんなつもりじゃなかった」と言うでしょうね。

小室 それはわかっているけど、嫌なものは嫌。それをどうやって伝えればいいのかを真剣に考えているんです。


■小室友里(こむろゆり) 
男女コミュニケーション専門家/心理カウンセラー。
映画、舞台、CD制作から、セクシャルハラスメント関連のコラム執筆、ラジオパーソナリティ、司会、講演、YouTuber、ライバーとマルチにタレント活動を行っている。心理カウンセラーの資格を活かし、口喧嘩からセックスレスまで、男女コミュニケーションの専門家として、数多くの講演会やセミナーへ講師として登壇。講演会やセミナーでは、社会問題となっているセクハラ問題に新しい視点で解決方法を提示している。 

小室さん公式HP
【https://komuro-yuri.com/】

元永知宏

元永知宏もとなが・ともひろ

1968年、愛媛県生まれ。立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。大学卒業後、出版社勤務を経て独立。著書に『期待はずれのドラフト1位』『敗北を力に!』『レギュラーになれないきみへ』(岩波ジュニア新書)、『殴られて野球はうまくなる!?』(講談社+α文庫)、『トーキングブルースをつくった男』(河出書房新社)、『荒木大輔のいた1980年の甲子園』『近鉄魂とはなんだったのか?』(集英社)、『プロ野球で1億円稼いだ男のお金の話』(東京ニュース通信社)など

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