最中あん充填機に始まり、すしロボット、のり巻きロボットなど食品機械を広く手がける。すしロボットは世界シェアナンバーワン 最中あん充填機に始まり、すしロボット、のり巻きロボットなど食品機械を広く手がける。すしロボットは世界シェアナンバーワン

『週刊プレイボーイ』で連載中の「坂本慎太郎の街歩き投資ラボ」。株式評論家の坂本慎太郎とともに街を歩き、投資先選びのヒントを探してみよう。金のなる木はあなたのすぐ近くに生えている!

今週の研究対象 
ご飯盛りつけロボット
(鈴茂器工)

どの業界も、とにかく人手不足!? これを投資家目線でポジティブにとらえ直すなら、省人化ニーズがある、ともいえる。飲食業界で圧倒的なブランド力のあるロボットメーカーに注目!

助手 このところ、配膳ロボットを導入する飲食店がずいぶん増えましたね。ガストのネコ型配膳ロボットはもはや見慣れた光景だし、旅先で個人店に入ったときにも配膳ロボットに出くわして驚きました。

坂本 人手不足が加速してるからね。個人店でも、余裕があれば省人化への投資を惜しまないんでしょう。

助手 となると配膳ロボットを作ってるメーカーが投資先として面白そうだと思ったんですけど。

坂本 発想はいいけど、投資先としては難しいよ。例えば、ガスト系列店が導入している配膳ロボットは中国の非上場企業のもの。国内ではアイリスオーヤマも同様の製品を開発してるけど、こちらも非上場だし。

助手 チャンスだと思ったのに。

坂本 配膳ロボット以外にも店舗向けの省人化ロボットはあるよ。例えば、ご飯の盛りつけロボットとか。

助手 そんなの見たことないですよ。

坂本 数年前、定食チェーンのやよい軒で導入されて話題になったよ。以前は、お代わり自由のご飯を店員に声かけしてよそってもらっていたのをロボットに置き換えました。セットしたお茶わんに、ウオーターサーバーのようにご飯が上から落ちてくるサマは賛否両論があったみたいですが、今ではすっかり定着した感があります。ご飯の量を500g単位できっちり選べるし、店員への声かけがいらないから遠慮しなくて済む。客にとってもラクなんですよ。

助手 どこの企業の製品なんです?

坂本 やよい軒のロボットは、不二精機製と鈴茂器工製が混在してるみたいですね。ただ、投資先として面白いのは鈴茂器工だと思う。

助手 それはまたなぜ?

坂本 同社は1981年に世界初の「すしロボット」を開発したのを皮切りに、米飯関連のロボットを多数開発してるんです。店舗向けには世界シェア6割のすしロボットのほか、のり巻きロボ、おむすびロボ、すし飯を作れるシャリ玉ロボ。工場向けに、おむすびを成形しながら個包装する機械なんてのも製造してる。

助手 ご飯関連のロボットだけで、そんなに種類があるんですか。

坂本 そう。それぞれの開発で培った技術を横展開して、高機能・高単価の製品を製造できるのが鈴茂器工の強みなんです。省人化に加えてインフレが加速すれば、他社に比べて強い追い風が吹くはずです。

助手 どういうことですか?

坂本 人手不足が加速すれば「全部手作り」にこだわるような高級店もロボットを導入せざるをえなくなる。そういう店はロボットに対する要求も高いはずです。例えば単にシャリを作るのではなく、ふんわりとした食感にでき、しかもお皿に見た目良く盛る、とか。それを実現できるのは、米飯関連ロボットを幅広く手がけていて特許取得件数でも独走している鈴茂器工が最有力です。

助手 でも高級店向けのロボットって市場が小さそうです。

坂本 最近、インフレで回転ずしなどでは中価格帯店と高級店の境があいまいになってきた。それで中価格帯の店で積極的に高機能なすしロボットを導入するようになったとか。

助手 すし以外でも起こりえますね。

坂本 そう。さらに海外事業も注目です。最近、海外で日本のお弁当が注目されて惣菜として売られてるんだけど、その製造工場への販売が好調なんです。米飯関連ロボはニッチだけど、それだけに築いた地位は揺るぎにくい。しばらくは国内外の追い風を満喫できるんじゃないかな。

今週の実験結果 
高級店からの引き合いのほか海外からの需要も大きそう。しばらくは追い風が吹くでしょう

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坂本慎太郎

坂本慎太郎さかもと・しんたろう

こころトレード研究所所長。ハンドルネームは「Bコミ」。日系の証券会社でディーラー、大手生命保険会社で株式、債券のファンドマネジャー、株式のストラテジストを7年間経験。ラジオNIKKEIや日経CNBCなどの投資番組へのレギュラー出演多数。著書に『プロ投資家が教える副収入1000万円の最短コース』(BEST TIMES books)など
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